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現代語俳句への旅 41 〜えらんだ都市〜
「 えらんだ都市 」
~現代語俳句集~
地球とは孤児かもしれずあまの川
果てるのは一日果てないのは秋思
おむすびのおおきなことよ運動会
フライパン火にかけどおし豊の秋
風おとのすき間すき間よのこる虫
とうきょうが顔あげている初雪よ
熱燗よまさにだいとうりょう選挙
手をあげて待つタクシーか木枯か
行くみちのままにそだてよ七五三
釣鐘は打つもの雪はたまわるもの
◇
家いえのこえ開け透けに小春日よ
ふるさとよ雲すぎてゆく松手入れ
嶺に雪死ぬも生きるも身をもって
噛みあててさびしい芯よ冬りんご
冬耕よこつこつとただこつこつと
歩行者天国小春日和ということか
ぎょうれつか東寺が見える冬景色
しあわせな時間は湯気にすき焼屋
捕鯨とはなんだったのか海のおと
知命来るひとひらのふたひらの雪
◇
都市ひとつばくぜんとして初時雨
枯れ葉とは踏んでゆくもの寂光院
哲学のみちにも落ち葉しずけさよ
からからと鳴りだす絵馬よ神の旅
羽ばたくか三じょう河原の冬の鳥
にっぽんにふたつの京よ小夜時雨
スカイツリー全点灯か小夜しぐれ
東京もくにのまほろば小夜しぐれ
ホットワインむかしは昔遠くなれ
豪華客船都市そのものよ冬かもめ
◇
吹きわかれ行きわかれして木枯か
坊ちゃん団子マドンナ団子冬日向
見つめるは過去かみらいか返り花
画家は描け楽士は鳴らせからっ風
きのうよりちょっと長生き落葉焚
新婦のころ新郎のころ日なたぼこ
初霜の夜のボジョレーヌーボーか
金目鯛茶漬けながらもはなやかに
日本がわっと浮きたつボーナスか
光へとエスカレータークリスマス
◇
ぴしぴしと部屋鳴りはじめ立冬か
ぜんいんがえらんだ都市の初雪よ
浅草よめでためでたのたい焼き屋
だれしもがえらばれたひと小春空
おおかみが滅びた国のおとこらよ
林業かおーいあーいとふゆのこえ
だれか言えにんげんもみな風花と
灯ニ軒むかしながらのなべ焼き屋
飛鳥の湯えいえんとなれ初しぐれ
古町駅ひとしぐれまたひとしぐれ
いつも
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