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現代語俳句への旅 41 〜えらんだ都市〜


「 えらんだ都市 」
~現代語俳句集~

地球とは孤児かもしれずあまの川

果てるのは一日果てないのは秋思

おむすびのおおきなことよ運動会

フライパン火にかけどおし豊の秋

風おとのすき間すき間よのこる虫

とうきょうが顔あげている初雪よ

熱燗よまさにだいとうりょう選挙

手をあげて待つタクシーか木枯か

行くみちのままにそだてよ七五三

釣鐘は打つもの雪はたまわるもの


家いえのこえ開け透けに小春日よ

ふるさとよ雲すぎてゆく松手入れ

嶺に雪死ぬも生きるも身をもって

噛みあててさびしい芯よ冬りんご

冬耕よこつこつとただこつこつと

歩行者天国小春日和ということか

ぎょうれつか東寺が見える冬景色

しあわせな時間は湯気にすき焼屋

捕鯨とはなんだったのか海のおと

知命来るひとひらのふたひらの雪


都市ひとつばくぜんとして初時雨

枯れ葉とは踏んでゆくもの寂光院

哲学のみちにも落ち葉しずけさよ

からからと鳴りだす絵馬よ神の旅

羽ばたくか三じょう河原の冬の鳥

にっぽんにふたつの京よ小夜時雨

スカイツリー全点灯か小夜しぐれ

東京もくにのまほろば小夜しぐれ

ホットワインむかしは昔遠くなれ

豪華客船都市そのものよ冬かもめ


吹きわかれ行きわかれして木枯か

坊ちゃん団子マドンナ団子冬日向

見つめるは過去かみらいか返り花

画家は描け楽士は鳴らせからっ風

きのうよりちょっと長生き落葉焚

新婦のころ新郎のころ日なたぼこ

初霜の夜のボジョレーヌーボーか

金目鯛茶漬けながらもはなやかに

日本がわっと浮きたつボーナスか

光へとエスカレータークリスマス


ぴしぴしと部屋鳴りはじめ立冬か

ぜんいんがえらんだ都市の初雪よ

浅草よめでためでたのたい焼き屋

だれしもがえらばれたひと小春空

おおかみが滅びた国のおとこらよ

林業かおーいあーいとふゆのこえ

だれか言えにんげんもみな風花と

灯ニ軒むかしながらのなべ焼き屋

飛鳥の湯えいえんとなれ初しぐれ

古町駅ひとしぐれまたひとしぐれ





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