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芝居の時間

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芝居や演劇のつくる・みるにまつわるマガジン。 人生は歩き回る影帽子、あわれな役者だ!
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受け身を取れれば痛くない(サロメ出演者紹介⑤手塚優希)

受け身を取れれば痛くない(サロメ出演者紹介⑤手塚優希)

 本日2/25まで、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作の演劇を上演しています。ひとりでも多くの人に見ていただきたく、出演する俳優たちの紹介をします。五十音順で行きます。
 第四回佐藤天衣はこちら▼

 第五回は手塚優希。一緒に芝居を作っている期間が最も長いメンバーの一人です。主演もできるし助演もできる。シリアスもできるしコメディもできる。台本芝居も即興芝居もできる。多種多様

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生きていくのが困難なほどの(サロメ出演者紹介⑥古川ゆかり)

生きていくのが困難なほどの(サロメ出演者紹介⑥古川ゆかり)

 2/25まで、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作 森鴎外翻訳の演劇を上演していました。劇場公演は終了しまして今は配信アーカイブの販売とDVDの予約を受け付けているところです。

 トークイベントも開催が決定しました。獣の仕業「サロメ」の収録映像を肴に製作秘話やここだけの話など盛りだくさんに詰め込む予定です。会場兎亭ではドリンク片手に参加いただけます。ほぼ全編見ることができ

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知性は野心と手を繋ぐ(サロメ出演者紹介⑦柳橋龍)

知性は野心と手を繋ぐ(サロメ出演者紹介⑦柳橋龍)

 2/25まで、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作 森鴎外翻訳の演劇を上演していました。劇場公演は終了しまして今は配信アーカイブの販売とDVDの予約を受け付けているところです。

 トークイベントも3/25の開催が決定しました。獣の仕業「サロメ」の収録映像を肴に製作秘話やここだけの話など盛りだくさんに詰め込む予定です。会場兎亭ではドリンク片手に参加いただけます。ほぼ全編見る

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絶対に穢すことができない美しさのこと(サロメ出演者紹介③雑賀玲衣)

絶対に穢すことができない美しさのこと(サロメ出演者紹介③雑賀玲衣)

 今週末、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作の演劇をします。ひとりでも多くの人に見ていただきたく、出演する俳優たちの紹介をします。五十音順で行きます。
 第二回小林龍二はこちら▼

 第三回は雑賀玲衣。主演です。大主演です。

 第二回の小林龍二の紹介ですでに触れたのですが、私は主演をやる劇団員の「素材としての魅力」と「作品のテーマ」をミックスしたくて、いつも劇団員の魅力と

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客観と主観のギャップを埋めていく(サロメ出演者紹介④佐藤天衣)

客観と主観のギャップを埋めていく(サロメ出演者紹介④佐藤天衣)

 今週末、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作の演劇をします。ひとりでも多くの人に見ていただきたく、出演する俳優たちの紹介をします。五十音順で行きます。
 第三回雑賀玲衣はこちら▼

 第四回は佐藤天衣。サトウアマイと読みます。砂糖が甘いからサトウアマイ。嘘みたいですが、本当の理由だそうです。

 今回の座組の中では、一番最近出会ったのが佐藤天衣です。4年前。流行り病が始まっ

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パートナーを輝かせる(サロメ出演者紹介②小林龍二)

パートナーを輝かせる(サロメ出演者紹介②小林龍二)

 今週末、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作の演劇をします。ひとりでも多くの人に見ていただきたく、出演する俳優たちの紹介をします。五十音順で行きます。
 第一回きえるはこちら▼

 第二回は小林龍二。オモシロお芝居マンです。

 私は主演をやる劇団員の「素材としての魅力」と「作品のテーマ」をミックスしたいタイプです。劇団員の魅力と作品の魅力の交点で公演を打っていると言えばい

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技術と感情は相反するのか?(サロメ出演者紹介①きえる)

技術と感情は相反するのか?(サロメ出演者紹介①きえる)

 今週末、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作の演劇をします。ひとりでも多くの人に見ていただきたく、すこしでも告知になればと思いまして、出演する俳優たちの紹介をします。五十音順で行きます。
 まずはきえる。「きえる」が名前です。きえるという名前です。

 きえるという俳優のいいところは、常に演技に本人の感情が付いてくるところ。私は劇団で演出をしていますが、イチ演出家としての自

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脚本の「段落」をつかんでみる。

脚本の「段落」をつかんでみる。

 近頃稽古で使う言葉がある。それが脚本の「段落」である。
 脚本や小説や映画など、物語はいくつかの段落がある。そして段落の境目は、物語が展開したり、シーンの雰囲気が変わる境目に等しい。脚本を読むときに自分が演じる役柄の感情だけではなく、物語の段落がどこにあるかを意識して読み、それを演技のプランに取り入れてみる。私が好んでやる脚本の読み方なのだが、この記事ではそれを紹介する。

「段落」って? では

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太宰治の「裏返しのナルシシズム」

太宰治の「裏返しのナルシシズム」


太宰治を読む。 太宰治はセーラー服のようなものだ。みんな好きなのに、そうだと言えない。というのは今ふと頭に浮かんだフレーズなので特に妥当性はない。
 かくいう私も兼ねてから太宰作品が好きだ。

 ああ、なよなよしていて、どきどきする。

 太宰治と言うなよなよした魂が今にも消えてしまいそうで、どきどきする。危うく、それ故に儚く、純粋に見える。純粋なあまり死に傾倒し身を持ち崩していくような生き方。

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脚本をつくるときに大切にしている「時間と場所」のこと。

脚本をつくるときに大切にしている「時間と場所」のこと。


書く時間と場所を限定する 脚本家として自劇団の脚本を書き続ける中で、今までずっと続けてきたことがある。
 それは「脚本を書く場所と時間を限定する」と言うことだ。

 理由は明快である。人の手によって書かれた文章は、それが書かれた時間や場所の影響を少なからず受けるはずだ、と私が信じているからである。

 例えば携帯で打ったメール。その時の感情はもちろん、何時に・どんな場所で作られたものかによって手

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台詞の情報ウェイトを整理する

台詞の情報ウェイトを整理する

 以前、こんなnoteを書いたことがある。

 この時、台詞に感情以外の要素が入ってくるという話にも触れた。
 時間とか、場所とか、状況とか。発話する登場人物周辺の事情たち。
 
 しかし今回は、感情でも事情でもない、新たな要素。台詞の発話ならではの「情報ウェイト」のお話。

情報ウェイトとは 例として、こんなセリフを用意した。

 この台詞にどんな感情を込めて言うかとか、このキャラクターはどんな

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大切なのは、台詞がないときの芝居

大切なのは、台詞がないときの芝居


サッカーのオフザボール サッカーの「オフザボール」という考え方をご存じだろうか。
 なんでも、試合中における「ボールを持っていない状態」をそう呼ぶそうだ。

 サッカーにおいてひとりあたりの選手がボールをキープしている時間はとても短いらしい。各チーム11人、2チームで戦う中でボールはひとつしかないのだから、それもそうか。ポジションにもよるだろうがどうやら1試合中、1分から3分ほどしかボールには触

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日本文學を・改作する

日本文學を・改作する

 私は獣の仕業という劇団の主宰をしているが、その劇団としての活動とは別に「逆翻訳ハヤブサ」という遊びをnoteでやっている。青空文庫にある小説を短歌に翻訳し、短歌だけを別の人に共有して再度小説に逆翻訳してもらうというものだ。

 小説を読むこと、短歌を詠むこと、小説を書くこと。これらの行為を経てできあがった逆翻訳小説にはいつも、以外なほど原作の小説のエッセンスがしっかりと残っている。

 何十年も

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語り継がれる物語たち~グリムレプリカに寄せて~

語り継がれる物語たち~グリムレプリカに寄せて~

ご来場・ご視聴御礼 新年一発目の演劇公演として「グリムレプリカ」を上演した。兎団×舞台芸術創造機関SAI×獣の仕業の共催ユニット「エコダ動物園」での企画である。楽しかった、殊更楽しかった。
 いやあ共催は良い。自団体っぽくない仕立てにも挑戦できつつ、それぞれの団体の得意分野は持ち寄れて。

其ノ零「BRICOLAGE THEATER 3x3」(2019年)

其ノ壱「とりかへばや地下戯園」(202

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