技術と感情は相反するのか?(サロメ出演者紹介①きえる)
今週末、獣の仕業という劇団で「サロメ」というオスカー・ワイルド原作の演劇をします。ひとりでも多くの人に見ていただきたく、すこしでも告知になればと思いまして、出演する俳優たちの紹介をします。五十音順で行きます。
まずはきえる。「きえる」が名前です。きえるという名前です。
きえるという俳優のいいところは、常に演技に本人の感情が付いてくるところ。私は劇団で演出をしていますが、イチ演出家としての自分としては、演技に感情は必須ではないと考えているのです。それよりも演技のプランニングとか、アクションやリアクションのほうが大切。
そう考えているのですが、きえるを見ていると技術が感情に頭を垂れる……瞬間というか、私の演出理論がガラガラと崩れそうになります。
観客の誰もが、きえるしか見ていない瞬間を何度も見てきました。
稽古で指示したことと全然違うことをしているのに! あああ、でもそっちのほうが全然いいですね参りましたと、白旗をあげたこともありました(何年も前のことです。今じゃないですよ)
技術は、本物の感情の前には無力なのか?
いやいやそんなことはありません。演技は技術。大事なのはなによりも基礎。私はそう教わってきたのです。技術で培った自分なりの小さな成功体験もあるのです。でもきえるを見ていて、そうか感情の取り扱いにも「技術」ってあるんだなと思い直します。
技術と感情は相反するモノではないのだということです。
私はそのことを何度もきえるに教えてもらいました。
今週公演の「サロメ」でそんなきえるが演じる役は「ヨカナーン」。
サロメの物語を知らない人でも、サロメともうひとりヨカナーンという役がいるんだということはご存じの方もいるのではないでしょうか。
サロメが声を聞いて姿を見て一瞬で恋に落ちる相手、預言者ヨカナーン。
サロメの周りの人間関係は爛れた欲望に満ちており、有り体に言えばドロドロしています。その環境の中で突然に出会ったヨカナーンが、サロメの目にはより美しく高潔に映ったのでしょう。
息苦しい環境からの救いを求めるようにヨカナーンの唇を求めます。
そんなヨカナーンなので、きえるにはとにかく他の登場人物と違いを作ること、違う佇まいであることをリクエストし続けました。結果としてこれまでのきえるが演じた役の中でも抑制的な、クール目の作りになっていると思います。きえるファンの方にもおすすめです。カッコいいですよ。
ぜひ、劇場で配信で、見届けてください。
獣の仕業 第十五回公演「サロメ」
[■■■, ■■■, Lema Sabachthani?]
2/23(金祝) 20:00
2/24(土) 14:00/19:00
2/25(日) 13:00/18:00※生配信回
会場:シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京・王子神谷)
劇場チケット予約
劇場チケット:2,500円
劇場+紙脚本付チケット:3,000円
上演時間:約95分
受付開始・開場は開演30分前
未就学児童入場不可
舞台上で水を使用する演出が一部あります。意図的に観客席に水をかけることはありませんが、お席によっては飛沫がかかる可能性があります。ご了承ください
配信チケット購入
【配信での観劇購入(生配信+アーカイブ視聴)】
販売期間:1/7(日)20:00~3/24(日)23:59
配信期間:2/25(日)18:00~3/25(月)23:59
応援キャスト指定でのご予約をご希望の方は「備考」欄へのご記入をお願いいたします
作=オスカー・ワイルド
翻訳=森鴎外
脚色・演出=立夏
出演=
サロメ(ユダヤの王女 ヘロディアの娘)…雑賀玲衣
ヘロデ(ユダヤの王、サロメの義父)…手塚優希
ヘロデの穢れ ファサエリス(ヘロデの先妻)…小林龍二
ヘロディア(ヘロデの後妻、サロメの母)…柳橋龍(兎団)
ヘロディアの穢れ フィリポ(ヘロディアの先夫、ヘロデの兄、サロメの実父)…佐藤天衣(兎団)
ナアマン(首斬役)…古川ゆかり
ヨカナーン(預言者、イエスの洗礼者)…きえる
スタッフ:
舞台監督:小林龍二
照明:寺田香織
音響:新直人(salty rock/零'sRecord)
撮影・配信:U-3
衣装:きえる
写真撮影:加藤春日
宣伝美術:立夏
制作:手塚優希
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