海人

コトバになり損ねた想いのささくれを文章にしています。東京/'93/Sat.【…

海人

コトバになり損ねた想いのささくれを文章にしています。東京/'93/Sat.【icon】https://x.gd/uTGPX

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    あてもなく書き始めた、他愛もないエッセイ集。

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    心に残った映画やドラマを紹介するマガジン集。

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    想い出の一曲を紹介するマガジン集。

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    平凡だけど、なんとかして生活を面白がりたい。そんな毎日を綴ったエッセイ集。

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    才能あふれるクリエイターとの共作作品を収録。

記事一覧

飼い慣らされたハヌッセン

物語を書く端くれとして、また純粋なイチ視聴者として面白そうなテレビドラマを探す習慣のある僕だが、この夏最も惹かれたのがTBSで放送されていた『笑うマトリョーシカ』…

海人
3日前
106

スティーヴン・キング原作『ショーシャンクの空に』

名作映画と聞いて、この映画を思い出す人も少なくないのではないか。そう、1994年に公開された『ショーシャンクの空に』だ。 原作は『グリーンマイル』や『スタンド・バイ…

海人
10日前
140

ヨルシカ『忘れてください』

初めて聴いたはずなのに、ひどく懐かしい。 この曲を耳にした時、そんな想いが体中を駆け巡った。僕にとって、こんな体験をさせてくれる音楽家は数少ない。だからこそ、僕…

海人
2週間前
121

緊急アンチエイジング

それは6月某日。 鬱陶しい蒸し暑さのなか会社に到着すると、デスクには「健康診断結果」と題された封筒が置いてあった。 それを見て、2週間ほど前に受診していたことを思…

海人
3週間前
128

箱庭を生きる僕たち

たとえ大人になって変わり映えのない日々を過ごしていても、人は小さいながらに変化を続けている。 最近はそんな風に捉えている。相変わらず僕にとっては時間に追われるよ…

海人
1か月前
115

Aqua Timez『決意の朝に』

「どうせならもう ヘタクソな夢を描いていこうよ」   数あるJPOPソングの中でも有名な歌い出しで始まる『決意の朝に』。 手掛けたのはAqua Timez。宮部みゆき原作で、200…

海人
1か月前
114

香取慎吾・竹内結子共演作品『薔薇のない花屋』

テレビドラマの全盛といえば、トレンディドラマや『月9』というブランドが築き上げられ、軒並み25%~35%の高視聴率を誇った1980~1990年代だろうか。 その頃から30~40…

海人
1か月前
119

『つままれる』朗読

2022年1月に出版された、新潟のエッセンスがふんだんに盛り込まれた短編小説集『にいがたショートストーリー』。 本書ではありがたいことに拙作2作を掲載いただいており、…

海人
1か月前
86

パンチラインを捻りだせ!

大人は子どもに比べて時間経過を早く感じやすい生き物だ。   その理由には、実に様々な説が唱えられている。 一説によると、ありとあらゆることが新しい経験として記憶に…

海人
1か月前
96

海の声とノスタルジー

時間は一方向しか進めないのに、僕たちはなぜ過ぎ去った日々を思い返してしまうのだろう。 この世界に前しか見ていない人なんて、果たしているのだろうか。   前も後ろも…

海人
2か月前
88

2024/7/20 生きる意味

10代の頃につけていた昔の日記帳を読み返してみると、たびたび出てくる言葉がある。 それは「生きる意味って、何だろう」。 今思えば、そんな手垢まみれのようにも思える…

海人
2か月前
92

石田衣良著『空は、今日も、青いか?』

『池袋ウエストゲートパーク』や『美丘』、『娼年』など映像化された作品は数知れず、2003年には『4TEEN』で直木賞を受賞した経験もある小説家の石田衣良。 2006年、そんな…

海人
2か月前
70

チェスもエッセイも、一手先を読んでみたい!

心のうちだけに秘めている、最近特にこうなってみたい人物像として、「一手先を読める人間になりたい!」というものがある。 こう書くと少々大げさなようにも思えるが、時…

海人
2か月前
77

自由を描く

時折、「自由とは何だろう?」と思い耽ることがある。 言葉とは、その意味通りに当てはめようとすればするほど、一向に答えが見つからないことがある。 そんな体験をして…

海人
3か月前
76

新海誠監督作品『言の葉の庭』

寝食を忘れて取り組めることなんて僕には片手で数えるほどしかないが、新海誠監督作品を観ることは、僕の場合そのひとつに含まれる。まさに代えの利かない大切な時間だ。 …

海人
3か月前
61

noteのアイコンを変えました!

ご報告が遅くなってしまいましたが、2024年5月よりnoteのアイコンを変えました! 以前よりファンでもある、むらまつしおりさんの『三頭身』キャラクターのフリーアイコンを…

海人
3か月前
42
飼い慣らされたハヌッセン

飼い慣らされたハヌッセン

物語を書く端くれとして、また純粋なイチ視聴者として面白そうなテレビドラマを探す習慣のある僕だが、この夏最も惹かれたのがTBSで放送されていた『笑うマトリョーシカ』だ。
 
原作は早見一真の同名小説。名門高校の同級生として出会い、その後将来を嘱望されるほどの政治家になった清家一郎と、彼の有能な秘書として傍に仕える鈴木俊哉の奇妙な関係を描く。原作では清家が主人公だが、ドラマでは鈴木周辺を取材していたジ

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スティーヴン・キング原作『ショーシャンクの空に』

スティーヴン・キング原作『ショーシャンクの空に』

名作映画と聞いて、この映画を思い出す人も少なくないのではないか。そう、1994年に公開された『ショーシャンクの空に』だ。
原作は『グリーンマイル』や『スタンド・バイ・ミー』でも知られるスティーヴン・キング。監督は本作でその名を轟かせたフランク・ダラボンが務める。
 
物語は、若くして大銀行の役職に就く銀行員・アンディの、妻とその愛人を射殺した罪を裁く法廷シーンから始まる。アンディは無実を訴えるも終

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ヨルシカ『忘れてください』

ヨルシカ『忘れてください』

初めて聴いたはずなのに、ひどく懐かしい。
この曲を耳にした時、そんな想いが体中を駆け巡った。僕にとって、こんな体験をさせてくれる音楽家は数少ない。だからこそ、僕はこの二人がたまらなく好きなのだ。

 
ヨルシカは、作曲家のn-bunaとボーカルのsuisによって結成された二人組。
現代の類まれなる詩人なのだと思わせてくれるn-bunaの詩と、一度聴いたら耳から離れないメロディーを、唯一無二の澄み切

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緊急アンチエイジング

緊急アンチエイジング

それは6月某日。
鬱陶しい蒸し暑さのなか会社に到着すると、デスクには「健康診断結果」と題された封筒が置いてあった。

それを見て、2週間ほど前に受診していたことを思い出す。「そういやあったな」と、そのままカバンに入れようとしたが、「まあ異常ないだろうけど、一応確認しておくか」と気楽な気持ちでその封を切った。
 
しかし、現実はいつも非情なものである。
そこに書かれていたのは総合判定F。11ある項目

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箱庭を生きる僕たち

箱庭を生きる僕たち

たとえ大人になって変わり映えのない日々を過ごしていても、人は小さいながらに変化を続けている。
最近はそんな風に捉えている。相変わらず僕にとっては時間に追われるような毎日だけど、以前とは異なり、心身ともに前のめりで目の前の物事に集中できているからだろうか。
 
今年に入ってからは特に、周りにいてくれる人たちと前向きに付き合いができているような感覚がある。
やはり新しい出会いは大きい。30歳になって1

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Aqua Timez『決意の朝に』

Aqua Timez『決意の朝に』

「どうせならもう ヘタクソな夢を描いていこうよ」
 
数あるJPOPソングの中でも有名な歌い出しで始まる『決意の朝に』。
手掛けたのはAqua Timez。宮部みゆき原作で、2006年にアニメーションで映画化された『ブレイブ・ストーリー』の主題歌として書き下ろされたのが同曲だ。

この曲がリリースされたのが、僕が小学校を卒業し中学に上がった頃。
仲の良かった友人たちがもれなく近隣の区立中学校に進学

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香取慎吾・竹内結子共演作品『薔薇のない花屋』

香取慎吾・竹内結子共演作品『薔薇のない花屋』

テレビドラマの全盛といえば、トレンディドラマや『月9』というブランドが築き上げられ、軒並み25%~35%の高視聴率を誇った1980~1990年代だろうか。

その頃から30~40年ほどが経ち、録画視聴や見逃し配信といった多様な選択肢が増えた現在、今や視聴率は15%も取れれば大ヒットと捉えられるようになった。
 
だが、視聴率など作品の良し悪しを絶対的に評価するものでもない。それぞれが「どうしようも

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『つままれる』朗読

2022年1月に出版された、新潟のエッセンスがふんだんに盛り込まれた短編小説集『にいがたショートストーリー』。
本書ではありがたいことに拙作2作を掲載いただいており、そのうちの1作『つままれる』が、本書プロジェクト委員長でアナウンサーの遠藤洋次郎さんにご朗読いただいております。

洋次郎さんとは、かつて存在したボイスブック配信サービスであるWritoneで出会い、拙作を数多く朗読いただきました。

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パンチラインを捻りだせ!

パンチラインを捻りだせ!

大人は子どもに比べて時間経過を早く感じやすい生き物だ。
 
その理由には、実に様々な説が唱えられている。
一説によると、ありとあらゆることが新しい経験として記憶に刻まれる子どもとは違い、大人は日々の中で目新しい体験が少ない。そんな風に同じような毎日を繰り返していると、脳はその反復行動をひとつの記憶として集約してしまうから、時間が短縮されたように感じるのだという。

大人になっても適切に時間を認識し

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海の声とノスタルジー

海の声とノスタルジー

時間は一方向しか進めないのに、僕たちはなぜ過ぎ去った日々を思い返してしまうのだろう。
この世界に前しか見ていない人なんて、果たしているのだろうか。
 
前も後ろも、右も左も、何もかもを目にしたくない時、僕は海へと足を運ぶ。
顔も知らない世間の声に惑うのではなく、何も考えずに、寄せては返す波の音だけに耳を傾ける。そうしているだけで、気づかぬ間にこびりついていた心の汚れは、ゆっくりだが着実に洗い流され

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2024/7/20 生きる意味

2024/7/20 生きる意味

10代の頃につけていた昔の日記帳を読み返してみると、たびたび出てくる言葉がある。
それは「生きる意味って、何だろう」。

今思えば、そんな手垢まみれのようにも思える言葉を、10年以上前の僕はあきれるほど、何度も何度も書き綴っていた。
 
社会に出て10年近く、30代に突入した僕の考えることでさえ、大体が「目覚ましをかけずに、ずっと寝ていたい」だとか「美味しいものでも食べて、ゆっくりしたい」くらいな

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石田衣良著『空は、今日も、青いか?』

石田衣良著『空は、今日も、青いか?』

『池袋ウエストゲートパーク』や『美丘』、『娼年』など映像化された作品は数知れず、2003年には『4TEEN』で直木賞を受賞した経験もある小説家の石田衣良。
2006年、そんな彼が初めて上梓したエッセイ集が本書『空は、今日も、青いか?』だ。
 
本書は元々、かつてリクルートが発行していたフリーペーパー・R25に連載されていた著者のエッセイを1冊にまとめたもの。
掲載先がビジネスパーソン向けの媒体とい

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チェスもエッセイも、一手先を読んでみたい!

チェスもエッセイも、一手先を読んでみたい!

心のうちだけに秘めている、最近特にこうなってみたい人物像として、「一手先を読める人間になりたい!」というものがある。
こう書くと少々大げさなようにも思えるが、時代の寵児や唯一無二のカリスマ性を放つ人たちはきっと、少し先の未来を予測して動いてきた人種なのではないか、と思ってもいるからだ。
 
実のところ、「一日でも早く、そうした人たちになりたい!」というよりかは、「このままだと将来的に自分が困る」「

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自由を描く

自由を描く

時折、「自由とは何だろう?」と思い耽ることがある。

言葉とは、その意味通りに当てはめようとすればするほど、一向に答えが見つからないことがある。
そんな体験をしている最中は、不思議でたまらない。まるで、「考えたってわからないのだから、“不思議”という言葉があるんだよ」と、声なき声に諭されかのような感覚で。
 
自由の扱い方が未だわからず仕舞いの僕にとって、誰にも気を遣わずありのままでいられる場所。

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新海誠監督作品『言の葉の庭』

新海誠監督作品『言の葉の庭』

寝食を忘れて取り組めることなんて僕には片手で数えるほどしかないが、新海誠監督作品を観ることは、僕の場合そのひとつに含まれる。まさに代えの利かない大切な時間だ。
 
新海作品については過去別記事に書いたことがあったが、今回は特に好きな作品、『言の葉の庭』を語りたい。そう思えたのは、今年も例に漏れず梅雨の訪れを感じたからだろうか。

 
物語の主軸は、靴職人を目指している高校生の孝雄と謎の女性・雪野の

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noteのアイコンを変えました!

ご報告が遅くなってしまいましたが、2024年5月よりnoteのアイコンを変えました!
以前よりファンでもある、むらまつしおりさんの『三頭身』キャラクターのフリーアイコンを使用させていただいております。ありがとうございます🙇

なんてステキで、愛くるしいキャラクターばかり!
単にアイコンを使わせていただくのが申し訳ないので、本noteアカウントのプロフィール欄にむらまつさんインスタグラムURLを掲

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