ヒーロー映画とアイドル;MCUフェーズ5とDCU新体制に寄せて(アントマン&ワスプ:クアントマニア)
ふと思った。
なんかMCUってモーニング娘。と似てる気がする。
▼MCU=モーニング娘。論考:
アイアンマン1=サマーナイトタウン
アベンジャーズ1=LOVEマシーン
アベンジャーズ4EG=なっち、ゴマキ卒業
スパイダーマンNWH=矢口脱退
…結構良くないっすか?(笑)
モー娘。には「ラブマの法則」という都市伝説があって、CDジャケットの右上から順番にグループを卒業(スキャンダル等で身を退いた場合は「脱退」と表現するらしいが)しており、さらに最後に矢口真里が抜けた頃にグループのメディア露出もグッと減った。当時はインターネット黎明期で今よりSNSがクローズで、地上波テレビの影響力が大きかっただけにこれは痛手になった。
平成10年頃(20世紀末)に宇多田ヒカルや浜崎あゆみから始まった歌姫ブームも影響しているだろう。AI、中島美嘉、倖田來未、aiko、倉木麻衣、東京事変あたりが筆頭になると思う。そこから少し遅れてJ-Popのメジャーなアイドル市場はPerfume(中田ヤスタカ)が斬新なスタイルで掻っ攫った印象が強い。(※ここでは地下アイドルは考慮しない)
平成前期にリアルタイムでASAYAN(テレ東)やうたばん(TBS)を視聴していてた私(当時中高生)にとっては「辻加護加入くらいまではテレビでもよく見たけど、矢口が抜けたら後はもう殆ど知らない」というのが正直な感覚である。(熱心なファンには大変失礼だが敢えて本音で書かせていただく)
まあ一般層としては私の感覚(ラブマ、ピース、恋愛革命21で止まってる)に近い人が多いと思われる。発売当時の参加メンバーが全員退いてエンタメ界の第一線から退いた点でも、モーニング娘。はグループとしてもラブマの法則(卒業=終わり)が発動してしまっているような気がする。
だがしかし、モー娘。の場合は初期メンバーが抜けて一般層の人気は下がったものの、いわゆる「ガチの地下アイドル」とは状況が大きく異なる。彼女らは大手事務所に守られた存在であり続けている。むしろプロとしてのパフォーマンス力向上に傾倒したこの時期を現在は「プラチナ期」と呼んで、ファンも重要視しているらしい。これはそのままMCUマルチバースサーガに当てはまるかもしれない。
シャンチーやエターナルズなど新規IPを投入するも、現在のMCUは苦戦を強いられている。その原因にはファンにインフィニティサーガの幻影と比べられてしまう点や、パンデミックの影響もあって映画館での興行が難しい時代の逆風を受けている点もあるだろう。これらはそれぞれ黄金期メンバーの幻影やメディア露出減に悩まされたモー娘。と同じ構造ではないか。
少し調べると、プラチナ期に突入してメディア露出が減って以降もモー娘。は加入脱退を繰り返しながらホールツアーや武道館公演といった大規模な活動はずっと続けていたし、むしろ新陳代謝しつつも長年磨いたスキルで最近は「アイドルの枠を超えた超ハイレベルLIVEパフォーマンス集団」になって「女性が憧れるポップアイコン」としての地位を確立している(セールスポイントが素人アイドルからプロアイドルに変貌した)らしいことが知れた。たしかにYouTubeで比較的最近のハロプロ系の動画を拝見すると歌唱力に優れた映像ばかりだった。
また、当時は下火とも見做されていたポストラブマ世代の、主力選手としてプラチナ期を牽引した高橋愛と田中れいなは最近になって再評価されて露出が増えている傾向も見られる。
MCUは、アントマン3(クアントマニア)からいよいよフェーズ5が始まる。
案外、フェーズ4も数年後に今より高評価されるのかもね。
というか今では高評価されてるフェーズ1だって、日本では平成24年に『アベンジャーズ』がヒットするまで「人口の10%程度の映画ファン」の中でも特に限定された人達が愛好していただけ(ヒーロー映画なんて子供向けだしシリーズ物とか面倒臭い)だった。そこに、むしろそれまで映画を観てなかった人達(ティーンや若年層)を取り込んだのがMCUなので、フェーズ2で社会現象になってから後追いで観た人が大多数だろう。
▼じゃあDC映画は?
こうなると私が愛するザックとノーランのDC映画も考えてしまう。
MCUがモーニング娘。なら…
クリストファー・ノーラン=安室奈美恵
ザック・スナイダー=globe(もしくはtrf)
ザックとノーランは小室ファミリーだろうね。笑
モー娘。が登場するまで一般層の人気を独占していた女性アイドルは小室哲哉プロデュースの面々で、安室奈美恵はその筆頭だった。これはMCUの『アイアンマン』の数年前に、世界中の映画ファンの脳みそを吹き飛ばした『ダークナイト』と似ている。
そして安室奈美恵の大成功を受けて小室哲哉が自ら参加してより自分色を出してきたglobeは、ダークナイトの世界観を受け継ぎつつ更に純度を高めた『ウォッチメン』や『マンオブスティール』とよく構造が似ている。残念ながらモー娘。に一般層をごっそり持って行かれた商業的評価(小室ファミリーはもうオワコンだと言われていた)も含めてね。
小室ファミリーをDC映画に当てはめると結構うまくハマる。
ダークナイト=安室奈美恵
ウォッチメン=trf
ZSJL三部作=globe
エアーカット=tohko
ワンダーウーマン=華原朋美
アクアマン=DJ KOO
フラッシュ=hitomi
シャザム=MAX
ジョスティスリーグ=軟式globe
後半になるほど小室ファミリーじゃなくなるのも再現度が高い。
あとDC映画には過去にもレジェンド級のスターが二人いるが
クリストファー・リーヴ=山口百恵
マイケル・キートン=松田聖子
って感じがする。
すべて理由をめちゃ詳しく語れるんだけど、長くなりすぎるから今回は止めておこう。もしコメントで要望もらえたら優先的に記事にします。(笑)
今回、真面目に考えたいのは令和7年以降に展開される新体制DCUである。
▼さて、DCU新体制ですよ?
私は、MCUがモー娘。ならば、、、
新DCUは、もしかしたらAKBになるかもしれない。
そしてAKBがモー娘。を倒したように、MCUマルチバースサーガをぶっ倒す可能性さえあると私は考えている。(爆弾発言)
ダークナイト=安室奈美恵
DCEU=globe;小室ファミリー
MCU=つんくプロデュース。
DCU=AKBグループ(?)
この展開は熱い!(笑)
ジェームズ・ガン=秋元康(!?)
前章で述べた通り、小室哲哉とつんくが提示した「素人がアイドルになるドラマ性」ブームは、本格派歌姫(宇多田;あゆ;林檎)と中田ヤスタカが提示した「プロの実力」によって一時的に下火になった。しかし、そこにもう一度「素人しか勝たん」を掲げてJ-popファンのマジョリティーを劇場に呼び戻したのが秋元康のAKB48である。
なんなら小室ファミリーや歌姫やPerfumeは見た目がアイドルらしくないので、日本人にはアイドルは大きく2つしかなくて、「モー娘。からAKBに移った」と認識している人も多いだろう。
つまり、過去には「一つの巨大なアイドルグループが栄えて沈んだ後に、別の同じようなアイドルグループが天下を奪った」という歴史があるのだ。これこそマーベルとDCのような「部外者から見てると違いが分からない」コンテンツには非常に当てはまりそうな話である。
これにはMCU側の事情とDCU側の事情の2面から説明できる。
●そもそも、なぜMCUはここまで売れたのか
マーベルファンを表す造語として海外でよく使われている「MCUキッズ」がある。これはやたらMCUばかりを称賛する若いファンを「映画なんてMCUしか見たことないような世間知らず」というバカにする文脈でも使われる表現だが、映画ファン全体の中では、MCUを好む人達の年齢層が低いというのは事実である。
MCUが始まって15年経っている今では若年層と呼んでも良いのかは微妙になりつつあるが、少なくとも10年前はティーンや学生だった人達は多いはずだ。実は彼らがMCUになぜあんなにハマったのかと言えば「多感な20代までに初めて観た映画がMCUだったから」という要素が大きい。(ビジネス的な視点をお持ちの方なら気付いてると思うが、これは吉野家の研修で社外講師が説明した「生娘シャブ漬け戦略」と同じ原理である)
以下で示すのは音楽に関する研究結果だが、原因が脳の発達であるということに着目すれば、映画でも同じようなことが起こると考えるのが自然である。
そういう意味では、何も知らない子供をキャッチすれば良かった時代は終わり、インフィニティサーガの直撃世代が大人になってしまった今のMCUは、既存ファンのノスタルジーを刺激するコンテンツを出し続けるか、次のティーン世代をちゃんと獲るかという「同時に実現するのが難しい」複雑なゲームになってくる。
日本の場合はもう一つ要因がある。『アベンジャーズ』があの有名な「日本よ、これが映画だ」というキャッチコピーで殴り込んできたのが2012年で、ちょうど東日本大震災の直後で日本のエンタメ界が自粛ムードで沈んでた所にMCUがドカンと当たった。そしてそのまま関連作品の映画やドラマとどんどん繋がっていく方式で、若くてお金や時間に余裕がない人達を上手く囲い込むことにも成功し、若年層ファンの経済的成長に伴い、MCUはエンドゲームまでに強大な社会現象までになった。本当に2012年ごろまで日本の若い子は日本映画ばかり観ている人が圧倒的多数派だった(民放テレビ局でゴールデンタイムの映画放送番組がなくなり洋画に接する機会が減ったのが原因だと思われる)ので、MCUは奇跡と呼べる。
しかし当時と現在での最大の違いは、今は日本映画も強いことである。特にアニメ映画は強烈で、ONE PIECEや名探偵コナンや鬼滅の刃や呪術廻戦という定番タイトルから、スタジオジブリや庵野秀明や新海誠や細田守といった作家名で集客できる名看板、そして最近ではTHE FIRST SLAM DUNKもシリーズ化の余白を見せている。このように日本のボックスオフィスが占領されている状態で、もう一度アメリカの黒船が乗り入れて社会現象までブームに持って行くのは、かなり厳しい気がする。
MCUがこのまま再ブレイクできなければ、「あの頃は良かった」と言うインフィニティサーガ懐古厨が出てきて、いよいよ最新のMCUの足を引っ張り始めるだろう。そこに令和7年からDCUは新体制のスーパーマンを皮切りにどんどん出てくるわけである。スーパーマンとバットマンは日本でも圧倒的に知名度が高いIPなので、もしかしたら若年層や新規ファンを掴んでヒーロー映画の勢力図がごっそり変わるかもしれない。
●DCが一度ぜんぶ捨てた方が良い理由
DCUがどれだけ大きなチャンスなのか、これまでの経緯を踏まえつつ考えてみる。
平成29年。先行して大成功していたディズニー社の「Marvel Cinematic Universe」に触発されて、ワーナー・ブラザース社(WB)は「World of DC」として進めていたザック・スナイダーのプランを途中で強引に変更した。結果的にWBのこのアクションは作品の質を大幅に落として、更にファンダムを分裂させるという最悪の大失敗をもたらした。私はザックの熱心なファンだが、ザックの作風に賛否両論あるのは避けられないと思っている。しかし、ここまで話がこじれたりDCファンがSNSで派閥に分かれて壮絶なバトルをするきっかけを作った責任の多くは間違いなくWBにある。このパワーゲームの中心人物と詳細な経緯は過去にもいくつか記事にまとめたので、興味があればそちらを読んでほしい。不謹慎な言い方になるけど、平凡な映画よりスタジオ騒動の方がよっぽど面白い。
子会社であるDCフィルムズ社の不振が親会社の経営にどこまで響いたのかは不透明だが、令和4年4月にWBはディスカバリー社に買収されてワーナー・ブラザース・ディスカバリー社(WBD)に変わった。
新会社WBDのCEOにはディスカバリー社のデヴィッド・ザスラフが就任し、WBの取締役だったトビー・エメリッヒ、アン・サノフ、そしてウォルター・ハマダは順次退社が決定した。ザスラフは取り急ぎDCフィルムズを含むWBの黒字の見込みが立たないプロジェクト(バットガールなど)を即時停止する損切りを断行し、今後のDCフィルムズのIPを用いたコンテンツの展開に関しては新任CEO(当時未定)に再度計画を作り直させることにした。
DCフィルムズ新CEOの人選はかなり難航したと思われる。それもそうだ、今やDCは燃え盛る火車である。誰が好んで火中の栗を拾うものか。4月の合併直後から9月ごろまで誰かの名前が挙がっては消える報道が相次いだ。11月になってようやく映画監督のジェームズ・ガンと映画プロデューサーのピーター・サフランが共同CEOに就任した。これについては新任が見つからないだけではなくて、『ブラックアダム』までは前任者ウォルター・ハマダに責任を持たせる(万が一にコケたら押し付ける)という意図があったのかもしれない。
サフラン&ガンの2名は計画策定とWBD取締役会での承認を取り付けるための期間を数ヶ月確保して、明けて令和5年1月31日(日本時間2月1日)に新体制でのDCフィルムズ社の新ブランド「DCU」の第1章のロードマップを発表した。
ここで示されたのは端的に言えば、DCEU(*)からの完全な脱却である。
平成30年以降、この世の春を謳歌するMCUとは対照的に、DCEUは新作を発表するたびに過激なスナイダーカルトと、同じく過激なスナイダーアンチがSNSで熾烈で醜い口論を繰り広げてきた原因は本質的にはただ一つ:スナイダー選定メンバーを起用したままスナイダーバースではない映画を作り続けてきたからである。
スナイダーバースの顔をしたキャラクターがスナイダーバースと異なることをしていても、頭では理解できても心では納得できるものではない。それに過去の人気だけはありがたく使っておいて、ザックのことは排除し続けるような合併前のWBの姿勢も泥棒猫のようで非常に嫌悪された。
スナイダーバースの顔をしたスナイダーバースでない何かを作り続けても、DCフィルムズは永遠にスナイダーカルトから叩かれ続けるし、永遠にファンの派閥争いは終わらない。であれば、痛みを伴ってでも「もうスナイダーバースとは違います」と明確に示して、まずは余計な争いを避けるのが得策である。
スナイダーバースについては少しでも匂わせる(同じキャストを使う)と、スナイダーバース支持者とそのアンチが寄ってきてバトルを始める。だからWBDとしてはスナイダーバースの可能性をエルスワールドで確保しつつ、DCU本体ではスナイダーバースと異なるものを作るしか炎上を避ける方法がない。従って、エズラフラッシュが次の映画で終了を迎えるのは必然だし前進でなのである。
WBがすぐにザックを呼び戻さなかったのは、WBから見れば「離婚した元嫁がすでに別の男と再婚していたので今更ヨリを戻すことは無理だった」という側面もあったかもしれない。そして今でもザックとNetflixの婚姻関係(事実上の専属契約)は続いている。
しかし当たり前だが、DCはザックが戻ってくるまでスナイダーバースを作れない。だからそれまではスナイダーバースに執着しない人にもウケる映画を、スナイダーバースに無関係なキャストとキャラクターで展開するしかないのだ。
個人的な推測ではあるが、ジェームズ・ガンの狙いは以前からMoSとの繋がりが曖昧だった新スースクとピースメイカーだけ切り出してDCEUは終了させることであり、ザックの復帰はNetflixとの契約次第だと思っている。報道ではブラックアダムも打ち切りになりそうな雰囲気があるが、やはりカヴィルスープスを強引に登場させたことがネックになるのだろうか。これについては過去にも記事にして、そちらのコメントで有識者から情報を頂けたので気になる方は参照してほしい。
とにかく、せっかく親会社が生まれ変わって、DCフィルムズもCEOが変わったので、旧経営陣(ジェフ・ジョーンズ&ウォルター・ハマダ)が作ってしまった「負の資産」は一度清算するべきである。そしてこの生まれ変わりのショックが晴れた頃に、まずは令和7年に『スーパーマン:レガシー』からDCUは再始動する。
地獄のような失敗を経験したDCEUも10年を経て、今やファンも一世代若返るチャンスである。これからヒーロー映画を見始める次世代のティーンがまずはターゲット顧客になるし、古参のDCファンも心穏やかにDCUのフレッシュな再スタートを支援する雰囲気を作れば、マルチバースサーガの不発に喘ぐMCUを尻目に、一気にヒエラルキーを覆せるかもしれない。(あの時、アイドル戦国時代に突入したJ-Pop業界でモー娘。を倒してAKB48が天下を取ったように…)
懐かしいなあ。
あの頃は、会社の新人で入ってきた子が「私の趣味はAKB劇場に行くことです!」って公言してて、それも一人とか二人とかではなくて、猫も杓子もAKB状態でびっくりしたものだ。一般人がアイドルを応援してるなんて10年前のLOVEマシーン以来だったからジェネレーションギャップを感じたわ。
●そして彼に再び「チャンスの神様」が微笑んでくれる?
閑話休題してDCに話を戻そう。
そしてWBDの資金力に余裕が生まれて、ちょうどザックがNetflixでRebel Moonのプロジェクトに一区切りが付いた頃、それこそがスナイダーバース復興のチャンスである。そもそもZSJL2は5年後の世界が舞台だし、ちょうど良い頃合いなのではないだろうか。主要キャストが全員売れっ子だからスケジュールもそのくらい先じゃないと多分取れないし。
因みに、もしスナイダーバース復活の計画がすでに水面下で動いてても、まだまだ発表はできないと思う。Netflixがザックを手放すか?それともWBDがNetflixへのDCのIPレンタルを認可するか?どちらかが纏まる必要があるし、どちらを選んでも契約者数や株価に影響を出しそうな話題であり、簡単に話せるものではない。 (ZSJLとかマジで法務的にどうやってクリアしたのか摩訶不思議レベルだよ;笑)
…と私は今後の展開に期待しているので、
そのためにも新体制DCUには大成功していただきたい。
私がDCEUを嫌いになったのはWBが「スナイダーが選んだキャスト」を泥棒して作った映画ばかりになったから。生まれ変わったWBDが「スナイダーが関与してない新しいキャスト」で新しいDCUの作品群を作ることには何もケチつける理由は無いよ。
(結局は、他の会社やシリーズはどうなっても良いからSnyderverseの続きが見られるなら嬉しいよ、といういつもの結論に落ち着くのであった。いやあ、私ってブレないわあ;笑)
了。
最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!