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IDx | IDL magazine

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多様な背景を持つIDLメンバー(=IDLists)が、国内外のデザイントレンドや、仕事や生活するうえで日々感じているちょっとした「問い」や「気づき」を、わかりやすいストーリーとと…
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#Design

デザインストラテジストとは何者なのか

デザインストラテジストとは何者なのか

私は「デザインストラテジスト(Design Strategist)」という肩書で仕事をしている。
いわゆる”デザイナー”の肩書としては「UXデザイナー」あたりは、いまや市民権を得て、通りがよくなってきているように思うが、デザインストラテジストはまだまだ知名度は低い。
はたして「デザインストラテジスト」とは何者なのか?

高度デザイン人材育成ガイドラインの定義2019年3月に経産省と株式会社コンセン

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デザインリサーチ:デザインとリサーチの絡まり合い

デザインリサーチ:デザインとリサーチの絡まり合い

Research Canferenceに登壇させてもらった関係でアドベントカレンダーに参加させてもらってます。何年か前からアドベントカレンダーなるものがあるなぁと思ってましたが初めてお呼びがかかって参加している次第です。
木浦さんからデザインリサーチやらユーザーリサーチやら自由にお題を設定していいと言うことで気が楽になるなか、最近書いている論文のことが頭から離れず、それと関係するリサーチとデザイン

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プロジェクト遂行の「盲点」とは?
──〈想定外〉に陥らないための思考法

プロジェクト遂行の「盲点」とは? ──〈想定外〉に陥らないための思考法

ビジネスの現場であっても、人生と同様に不確かなことばかりである。
本稿では、その不確かさに向き合ってみようと思う。私たちは少なからず、人生のどこかの時点で──それは職場でかもしれないし、プライベートでかもしれないが──、その不確実性に襲われることを避けられないからだ。
考えてみよう。あなたは今、成功が確実視されたプロジェクトに取り組んでいる。調査は済み、このプロジェクトはイケる、などと考えている。

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贈り物を作り感じたこと、作ったから感じられたこと

贈り物を作り感じたこと、作ったから感じられたこと

こんにちは。IDLのデザインエンジニア、阿部です。
私は手触りのあるプロトタイプの設計を専門に、昨年IDLメンバーに加わりました。

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先日惜しまれながらもIDLをご退職された先輩へ感謝の気持ちを込め、IDLメンバーと一緒にちょっとした贈り物を作りました。

その制作の過程と、そこで感じたことを少し書いてみようと思います。

ラジオ型音声再生プレーヤーの制作
私たちは今回、ラ

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可視化を通じて仕組みを再構築するVisual Discourse Method(仮称)の検討とその過程

可視化を通じて仕組みを再構築するVisual Discourse Method(仮称)の検討とその過程

2021年春頃から、これまで行ってきたグラフィックレコーディングなどの可視化手法を用いて、新しいプログラムを開発できないか試行錯誤してきた。何回かプログラムを作って→壊すを繰り返していて、現時点でもやっている本人たちにとってはまだまだとっちらかっているが、備忘録的に残しておこうと思う。

瞬間的なコンテンツとして消費されてしまう難しさグラフィックレコーディングは、それを実施することもそれを周囲に理

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車座になって議論する。IDLユーザー会「Round」開始

車座になって議論する。IDLユーザー会「Round」開始

IDLに新卒配属されました川原です。

2021年7月20日、IDLはユーザー会「Round」の第1回を開催しました。zoomで各地のクライアントの方々と東京・京都のIDLメンバーが集まり、IDLの取り組みを中心に議論する、和気藹々とした会となりました。本記事では、Round 第1回で行われたプレゼンテーションやディスカッションの内容をダイジェストでお届けします。

Round をRounders

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ムナーリのデザイン・アルゴリズム  みんながデザイナーになれるように

ムナーリのデザイン・アルゴリズム  みんながデザイナーになれるように

私はイタリアでデザインを学び、プロダクトデザイナーとしての経験を積み、現在はIDLでデザインエンジニアリングに取り組んでいます。イタリアのアーティストでありデザイナー、ブルーノ・ムナーリのデザインアプローチは、私がデザインプロセスを理解するための最初の足がかりのひとつであり、当時驚きをもって受け止めていました。そして、それはおよそ40年前の手法でありながら、なんと現在のデザインシーンにも応用可能で

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グラフィックファシリテーションが表す「視点」と「場の土台」

グラフィックファシリテーションが表す「視点」と「場の土台」

「4月21日晴れ。テレワークをしながらふと窓の外を見ると、隣家のゆらめく洗濯物とどんどん伸びていく樹木の枝の端っこが見えてくる。そんなとき春っぽさから、初夏に移るような、季節の変わり目を感じて、嬉しいなあって思ったんです」

あなたは、とある会議のグラフィックファシリテーションの描き手になった。その場で、こんな誰かの何気ない会話を他の人にも共有し会話を膨らませていくとき、ここからどんな言葉をつまん

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[転載]ユーザー視点+未来の視点からイノベーションを生むデザイン(後編)

[転載]ユーザー視点+未来の視点からイノベーションを生むデザイン(後編)

新しい意味を持ったサービス開発のヒントをお伝えした前編に続き、後編では実践とディスカッションの様子をお伝えします。(2018年9月 IB channelにて公開)

2018年8月に行われたセミナー「強度の高い仮説による『この世にまだない価値』のデザイン」。前編では、現在求められる製品・サービス開発におけるエクスペリエンスデザインや、仮説を検証する視点をお届けしました。後編では、その実践の様子とク

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[転載]ユーザー視点+未来の視点からイノベーションを生むデザイン(前編)

[転載]ユーザー視点+未来の視点からイノベーションを生むデザイン(前編)

2018年8月に行われたイベントレポートを再録します。約2年前のイベントですが、新しい意味を持ったサービス開発、その視点のヒントとしてお楽しみいただける内容です。ぜひご覧ください。(2018年9月 IB channelにて公開)

顧客の目線に立って、製品・サービスを開発する。多くの企業が実践するこのアプローチでは、もう足りない!? そんな「これからのユーザーに選ばれる製品・サービスづくり」のヒン

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イノベーションを生み出すための面倒だけど数少ない確実なやりかた(サービスデザインとジョブ理論との交差点)

※2017年11月29日に自社サイトのコラムに掲載した記事の再掲です。ここしばらく取り組んでいる「意味のデザイン」について自分自身の思考の経緯を振り返る中で、自分が過去に書いたものに改めて向き直しています。

イノベーションってなんなんだ?日本ではイノベーションが生まれづらい、といわれて久しいですが、そもそもイノベーションって何なんでしょう?

イノベーティブな製品やサービスを生み出したひとや企業

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企業にとって「デザイン」はどのように扱われるべきか?ーデザインを研究開発対象として捉えるコンセプト“デザイン R&D”ー

このところ、『企業においてデザインはどう扱われるべきか?』について考えています。

デザインは、従来(特に日本企業においては)製品やサービス、そして事業自体を構成する企業にとって、一連の活動のほんの一部を指していました。マイケル・ポーターが著書『競争優位の戦略』で提唱し、広く使われるようになった言葉を用いるなら、それは『バリュー・チェーン』におけるプロセスですらなく、「付加価値」のひとつのようにし

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