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[短編小説] わたしの世界(2)
いつもの電車をホームで待っていると後ろで学生らしき2人が喋っている。
「昨日昼間にこの線で事故があったの知ってる?」
「えっ?事故?」
「踏切に人が入り込んで急停車した時に網棚の荷物が女の子を直撃したんだって。衝突事故は回避したけど車内で事故ったわけだよ」
「ケガしたの?」
「背中直撃で気失って救急車来たらしい」
「詳しいね」
「誰かがネットにあげてたよ。どこに災難があるかわからないよな」
[短編小説] わたしの世界
目を覚ますたびに人は昨日と同じ世界に生きているのだろうか。何事も無く日々が過ぎていくのは奇跡のような幸運の積み重ねなのかもしれない。
じっとりとした蒸し暑い6月、午後からの講義に出るため、身支度を整える。コロナ禍ではほとんどがリモート授業で、朝からパソコンの前に座ってる日も多かった。対面の授業が再開してからは、キャンパスは改めて大学生という身分の確認をさせてくれる場になった。
その日の気分で洋服