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5ヶ月前、ねむくてつらくてしんどかった私へ

ああ、ねむい。とてつもなく、ねむい。


息子がこの世に産まれて2週間経った。
新生児と呼ばれる期間の折り返し地点だ。

毎晩泣き声で目覚め、落ちそうなまぶたを必死で持ち上げながら授乳して、オムツを替える。その一連の流れを1時間ほどかけて行っていると、目が覚めてしまって寝入ることができなくなる。ようやくうとうとする頃に、また泣き声が聴こえてくる。そんなことを2〜3回繰り返してたら、空が明るくなってくる。

夜は永遠に続くんじゃないかと錯覚してしまうくらい長い。そして昼間は何もしていないのに、時間が溶けたようにあっという間に過ぎ去っていく。

産まれて1ヶ月は外出しないように医者から言われているので、もうずーっと引きこもり生活。どんなに天気がよくても、ベランダに出て陽を浴びるのが精一杯。そんな生活を送っていると、気分も鬱々としてくる。

正直しんどくて、はやく1ヶ月経ってくれ、と、思う。そんな生活の折り返し地点。


息子はいま、わたしの身体に身をあずけて、すやすや眠っている。

おなかとおなかをぴったりくっつけて、片方のほっぺの下に枕のように手を敷いている。顔を近づけると、ミルクのあまいにおい。時々口のはじっこを持ち上げて、満足そうににやりと笑う。
たった3kgのふにゃふにゃの身体は、全身がわたしの胴体におさまってしまうほど、小さい。

この重みも、新生児特有のにおいも、口をすぼめてほーっとするリラックスした表情も、もうすぐ消えてしまう。

こんな風に胸の上でねむってくれるのは、ほんの1年ほどだということを、わたしは知っている。


どれだけ記憶に留めておけるだろうか。
さみしい、さみしい。
終わってほしいのに、終わってほしくない。
このあまいにおいと頼りない身体をずーっと抱きしめていたい。



・・・

これは、昨年の11月に書いた、息子の生後2週間の記録。

夜中にふと、そのときの記憶を残しておきたくて書いたものが、下書きに眠っていた。
タイミングを逃したけれど、せっかく大切な感情を文字にしたので、自分のために公開する。


息子は今5ヶ月。

頼りなかった身体はどんどん厚みを増して、立派なふとももができあがってる。
あの頃は寝るか泣くかって感じだったけど、よく笑うようになった。息子はとても愛想がよくて、目が合うといつもにっこりしてくれる。とっても可愛い!


こんな風に胸の上でねむってくれるのは、ほんの1年ほどだということを、わたしは知っている。

こう書いたけど、息子はうつ伏せ寝が嫌いで、もう胸の上で眠ってくれない。そうやって寝てくれたのは、たったの3ヶ月だけだった。



長くて短い新生児期。

あんなに忘れないように、と脳に焼きつけていたつもりだったのに、たくさんの記憶がこぼれ落ちている。

その中でも、はっきり覚えているのは、ねむくて仕方なかった夜の時間だ。 


授乳の後、腕の中にすっぽりおさまる小さくて温かいからだを抱きしめながら、しんとしたリビングですやすや寝息の音を聞く。
まるで世界が2人だけになったみたいな、私と息子だけの特別な時間。

この時間を、きっと私は一生忘れないと思う。


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カール・ホルソー「母と子のインテリア」



息子が生まれたときのお話はこちら

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