ひがしすみだカウンセリングルーム

墨田区にある心理相談室です。臨床心理士・公認心理師資格を持つカウンセラーが、ご相談者に…

ひがしすみだカウンセリングルーム

墨田区にある心理相談室です。臨床心理士・公認心理師資格を持つカウンセラーが、ご相談者に適した心理療法を用いて、うつや対人関係などの心理的なご相談に応じています。土日営業。完全予約制。猫がいることがあります。https://higashisumida-counseling.com/

記事一覧

中高年期の自己再発見と人生の統合

中高年期に差し掛かると、多くの人々が人生の新たな節目で立ち止まります。自己の歴史を振り返り、過去の経験が現在にどう影響しているかを理解することは、これからの人生…

いわゆるポストコロナがしんどい

ポストコロナ社会の経済的変動と心理的影響 新型コロナウイルスのパンデミックは、世界中で社会経済構造に大きな変化をもたらしました。ポストコロナと呼ばれる現代におい…

アスペルガーとカサンドラ

「夫がアスペルガー、妻がカサンドラ症候群」という概念は、夫婦関係において特定の問題が生じた場合の一般的なラベルや理解としていくつかの文化やコミュニティで取り上げ…

自分だけの苦しみではない

生きる理由とは、なぜ死なずに生きていけるのかという問いかもしれません。 人生には辛いことが数多くあり、時には生きることに疲れ果て、死ぬことを考えることもあります…

猫とアスペルガー障害

ひがしすみだカウンセリングルームには猫先生がおり、私自身も別に猫を飼っています。地域ねこや野良猫が多い地域で、猫と暮らす中で気付いたことがあります。それは、アス…

精神分析以外の間主観的理解に興味がある。

ポストモダンの時代において、外側と内側の境界は曖昧になっていて「私」という存在も相互依存的相互作用的主体となりました。 その中で間主体的な考えも同時に出てきたわ…

「話を聞くために話を聞かない」

カウンセリングにおける個々の話には実は大した意味はなくて(ないわけではないけど)、その扱われ方、語られ方にこそ意味があるのではないかと私は考えています。話はり返…

言葉を使わず表現すること

非言語的アプローチやアートセラピーは、言葉で表現することが難しい感情や経験を扱うのに有効な手段です。特に、子供や言葉で表現することが難しい人々に対して効果的であ…

ただ聞くだけと言われるけれど

私達は聞くことが仕事だけど、聞くことは同時に相手に語ってもらうこと抜きには成立しません。カウンセリングは聞くだけと揶揄されることも多いけれど、その場で語った言葉…

自分は絶対に変わらないといけないか?

対人恐怖の方のお話を聞いていると、強迫的と言えるくらい、過度に自分は変わらないといけないと思い込んでいる方が多くいらっしゃいます。果たしてそういうものなのでしょ…

あなたと私の境界線

新型コロナウイルスの蔓延に伴う、私達の生活様式の変化は、家族関係のあり方にも大きな変化をもたらしました。リモートワークやリモート授業等、で、いつもいない人がいる…

アートを通じて創造的な部分を見出す

精神分析家のウィニコットは、子供の自己発達において、母親の鏡役割、つまり照らし返しが、自我の形成や発達に重要であることを指摘している。 子供の動きや表情、言葉に…

依存の問題は抑うつの問題と考える

依存の問題については、抑うつや空虚感などの感情や状態が影響している場合があります。依存行動は、そのような感情や状態を払拭したり、忘れたり、逃れたりするために行わ…

自己愛から対象愛が生まれるのではないよねという話

自己愛の人は他者を自分の延長の存在のように愛すると言います。自己心理学を提唱したコフートは、他者そのものと関係する対象関係、対象愛と対置して、自分の延長のような…

なぜカウンセリングが効くのだろう

一応専門家を名乗っているものとしては大変不明を恥じるべきなのだが、なぜカウンセリングが「効く」のか、いくつになってもわからない。何がしかの理由で効果があることは…

コーチングについて思うこと

考え方や捉え方を変える、という考えが正直あまり好きではない。今のままの状態が辛いおで、結果的に変わっていくことがその人に役に立つことはああっても、考えを変えるこ…

中高年期の自己再発見と人生の統合

中高年期の自己再発見と人生の統合

中高年期に差し掛かると、多くの人々が人生の新たな節目で立ち止まります。自己の歴史を振り返り、過去の経験が現在にどう影響しているかを理解することは、これからの人生を豊かにするための重要なステップです。この記事では、自己史を振り返り、その教訓を現在にどう活かすかを探り、未来に役立つ洞察を得る方法について述べます。

人生の中期には、「私は何者か?」や「これから何を成し遂げたいのか?」といった重要な質問

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いわゆるポストコロナがしんどい

いわゆるポストコロナがしんどい

ポストコロナ社会の経済的変動と心理的影響

新型コロナウイルスのパンデミックは、世界中で社会経済構造に大きな変化をもたらしました。ポストコロナと呼ばれる現代において、これらの変化は、特に中間層における経済的な不安定さや格差の拡大、職場環境の変化という形で顕著に現れています。これらの経済的な変動は、多くの人々にとって不確実性を高め、将来への不安を引き起こしています。特に中間層の転落の恐怖は、心理的な

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アスペルガーとカサンドラ

アスペルガーとカサンドラ

「夫がアスペルガー、妻がカサンドラ症候群」という概念は、夫婦関係において特定の問題が生じた場合の一般的なラベルや理解としていくつかの文化やコミュニティで取り上げられることがあります。しかし、このようなラベルは単純化し過ぎている場合が多く、すべての夫婦関係の問題がこのカテゴリに当てはまるわけではありません。

アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム障害の一部として知られるもので、社会的な相互作用や

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自分だけの苦しみではない

自分だけの苦しみではない

生きる理由とは、なぜ死なずに生きていけるのかという問いかもしれません。

人生には辛いことが数多くあり、時には生きることに疲れ果て、死ぬことを考えることもあります。しかも、いずれは死ぬ運命なのですから。それが少し早まるだけのことではないかと思うこともあります。このような考えが浮かぶこと、その気持ちを理解できます。しかし、それを実行に移さないのは、何かこの世界に私たちを留めておく何かがあるからかもし

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猫とアスペルガー障害

ひがしすみだカウンセリングルームには猫先生がおり、私自身も別に猫を飼っています。地域ねこや野良猫が多い地域で、猫と暮らす中で気付いたことがあります。それは、アスペルガーの子供と猫の行動に共通点があるということです。

猫とアスペルガーの子供の類似点

待ち伏せ型の狩りと行動の類似性: 猫は待ち伏せ型の狩りを行う生き物であり、アスペルガーの子供と同様に特定の行動を待ち伏せることがあります。アスペルガ

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精神分析以外の間主観的理解に興味がある。

ポストモダンの時代において、外側と内側の境界は曖昧になっていて「私」という存在も相互依存的相互作用的主体となりました。

その中で間主体的な考えも同時に出てきたわけですが(こっちはポストモダン哲学よりちょっと早いけど)。精神分析もにたようなことをいいだして今食随分発展と広がりを見せてきています。

ただ同時に疑問なのは、その感覚は同時代人はすくなからず自明視していたはずで、精神分析だけが気がついて

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「話を聞くために話を聞かない」

「話を聞くために話を聞かない」

カウンセリングにおける個々の話には実は大した意味はなくて(ないわけではないけど)、その扱われ方、語られ方にこそ意味があるのではないかと私は考えています。話はり返し、繰り返し語られていくうちに、手垢にまみれ、棘の取れた物語になることで、自己対象化される。カウンセリ具における話というのは、そういうものではないかと思うのです。

これは決して話を聞いていないということではないし、はなしをききながしていて

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言葉を使わず表現すること

言葉を使わず表現すること

非言語的アプローチやアートセラピーは、言葉で表現することが難しい感情や経験を扱うのに有効な手段です。特に、子供や言葉で表現することが難しい人々に対して効果的であることは言われていますが、大人にとっても非常に有益なアプローチと言えます。

現代社会では、自分の感情や思考を言葉で正確に表現することが難しいと感じる人が増えています。ストレスや心の問題に直面する場合、言葉だけでは自分の内面を十分に理解した

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ただ聞くだけと言われるけれど

ただ聞くだけと言われるけれど

私達は聞くことが仕事だけど、聞くことは同時に相手に語ってもらうこと抜きには成立しません。カウンセリングは聞くだけと揶揄されることも多いけれど、その場で語った言葉は、自ずと語り手にとっても暗示となって、どこかで行動に影響するものです。それはカウンセリングの大きな機能の一つじゃないでしょうか。

確かに、カウンセリングや聴くことは相手に語ってもらうことなくしては成立しませんし、一方通行の聴き役では十分

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自分は絶対に変わらないといけないか?

自分は絶対に変わらないといけないか?

対人恐怖の方のお話を聞いていると、強迫的と言えるくらい、過度に自分は変わらないといけないと思い込んでいる方が多くいらっしゃいます。果たしてそういうものなのでしょうかと問いかけると、酷く驚かれることがあります。

心理的な側面から見ると、変わろうと焦ることが現在の生活を難しくすることはよくあることです。変化を望む気持ちは自然なものであり、自己成長や目標達成に向けて努力することは良いことですが、焦りや

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あなたと私の境界線

あなたと私の境界線

新型コロナウイルスの蔓延に伴う、私達の生活様式の変化は、家族関係のあり方にも大きな変化をもたらしました。リモートワークやリモート授業等、で、いつもいない人がいることによって、これまで確保されていた個人空間が損なれることが増えましたし、生活空間と仕事の空間が重なり合うことで、生活空間が領海侵犯されていくと言ったことがしばしば増えました。

在宅ている夫が家事のやり方にいちいちケチを付けてくるとか、外

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アートを通じて創造的な部分を見出す

アートを通じて創造的な部分を見出す

精神分析家のウィニコットは、子供の自己発達において、母親の鏡役割、つまり照らし返しが、自我の形成や発達に重要であることを指摘している。

子供の動きや表情、言葉に対して母親が示す、応答の中の自己を知覚することで、子どもは自分の姿を知るとし、まなざされることで、まとまりのなかった自己が、まなざす主体としてまとまっていく。ウィニコットは「見るー見られる」ことを通じた、子供の自己の形成過程における、母親

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依存の問題は抑うつの問題と考える

依存の問題は抑うつの問題と考える

依存の問題については、抑うつや空虚感などの感情や状態が影響している場合があります。依存行動は、そのような感情や状態を払拭したり、忘れたり、逃れたりするために行われることがあります。
一般的に、依存行動は問題として捉えられることが多いですが、それが本人の自律性の問題だと言われることで、さらに抑うつを深めることがあるかもしれません。自律性の問題とされると、自分がコントロールできない、弱い、無力だと感じ

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自己愛から対象愛が生まれるのではないよねという話

自己愛から対象愛が生まれるのではないよねという話

自己愛の人は他者を自分の延長の存在のように愛すると言います。自己心理学を提唱したコフートは、他者そのものと関係する対象関係、対象愛と対置して、自分の延長のような存在の他者、つまり自己の一部の存在と関係する対象との関係を「自己対象関係」と記述しました。

よく、子どもは自己愛が満たされることで、自己愛的な世界から抜け出し、大人の対象愛を獲得し、他者と交流できるようになり、自己愛が消えていくようなこと

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なぜカウンセリングが効くのだろう

なぜカウンセリングが効くのだろう

一応専門家を名乗っているものとしては大変不明を恥じるべきなのだが、なぜカウンセリングが「効く」のか、いくつになってもわからない。何がしかの理由で効果があることはわかっているし、経験的にこうやって行くことが良い結果を生むことも予想はできるし、そのとおりに実践している。しかし、そもそも、なぜ、カウンセリングという営みが、人を変えるのかということを説明するのは極めて難しい。測定もできない。

もちろんカ

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コーチングについて思うこと

コーチングについて思うこと

考え方や捉え方を変える、という考えが正直あまり好きではない。今のままの状態が辛いおで、結果的に変わっていくことがその人に役に立つことはああっても、考えを変えることを目的にすることの、人生における費用対効果はいかほどだろうかと考えてしまう。

先日、日本のある心理学者が、昔、ストレスコーピングといえば、問題解決型のコーピングが重要視されてきた(情況を変えたり、話し合って解決を図ったりといったストレッ

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