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言葉を使わず表現すること

非言語的アプローチやアートセラピーは、言葉で表現することが難しい感情や経験を扱うのに有効な手段です。特に、子供や言葉で表現することが難しい人々に対して効果的であることは言われていますが、大人にとっても非常に有益なアプローチと言えます。

現代社会では、自分の感情や思考を言葉で正確に表現することが難しいと感じる人が増えています。ストレスや心の問題に直面する場合、言葉だけでは自分の内面を十分に理解したり、他者に伝えることが難しいことがあります。そのような状況では、非言語的アプローチが言葉だけでは表現できない感情やイメージを解放し、深層にある気持ちにアクセスする手助けをします。

アートセラピーでは、絵画、彫刻、音楽、ダンスなどの芸術的表現を通じて自己表現を促し、内面にある感情や意識を探求します。言葉によるコミュニケーションが苦手な大人にとっても、アートセラピーを通じて自分自身と向き合い、自己理解を深めることが可能です。

また、心理療法において言葉がなくても十分な効果をもたらすことが研究や実践によって示されています。例えば、心理療法における心理的安定や統合をサポートする方法として、マインドフルネスや身体指向のアプローチが挙げられます。これらの方法は言葉に頼らずに自己観察や気づきを深めることに焦点を当てています。

例えば、私がよく行う、「今と将来」という描画法では、今の自己イメージとこう出会ったらいいなと思う理想の未来をイメージを使って描いていただく技法ですが、言葉ではうまくまとまらなかったカウンセリングの目標が定まったり、クライエント自身が自分がどういう感触の将来を望むのかが明確になり、「自分はこんなことを望んでいたのか」「この状態がゴールなのだとしたら、今はこの辺ですね」と未来から逆説的に今の状態を理解したりするといったことができます。

また、描画の良いところは、なにか書かなくても良く、色を塗るだけでも、自己表現に繋がります。ある感情を表現するときに色を使うにしても、ごく塗り込められた色なのか、薄くあっさりとした色なのか、色んな色が混ざっているのか、それによって表現されるものが違うことは、よくおわかりになるのではないでしょうか。そういった表現から、我々は自己理解を深めることができ、その体験を日常に還元していくことができるのです。

言葉に頼らずに自己を表現し、感情や気持ちを解放することは、自己成長や心の健康を促進する上で非常に重要です。そのため、非言語的アプローチは、言葉の限界を感じる大人にとっても有益であると考えられます。

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