本の雑誌社
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「あなたにとってラジオとは?」 村上謙三久『いつものラジオ リスナーに聞いた16の話』試し読みページ公開!
まえがき
私がラジオ本を制作するようになったのは2012年のこと。当時は出版社に所属していたが、携わっていたアイドル雑誌が休刊となったため、新しい企画を立ち上げなければならなくなった。なんとか捻りだしたのが学生時代に熱心に聴いていたラジオ本のアイデア。知り合いのカメラマンから提案された声優案件と合体させ、声優×ラジオでムック本を作り始めた。
アニメや声優の知識がまったくなかった私は、実績
宮田珠己『明日ロト7が私を救う』試し読みページ公開
はじめに
この本は、私がロト7を当てるべく、約10 年間にわたって奮闘した日々の記録と攻略法について書かれたものだ。
もう少し詳しくいうと、奮闘した10 年のうちの後半4年に「私がロト7に当たるまで」と題して『本の雑誌』に連載したエッセイを一冊にまとめたものである。
当初はロトのことだけ書こうとしたのだが、期せずして大事件、すなわち世界的パンデミックが起こり、気がつけばコロナ下のロト攻略生
@osenti_keizo_lovinson著『センチメンタル リーディング ダイアリー』試し読みページ公開!
三月十日 『サキの忘れ物』 津村記久子(新潮社)
その夫婦の顔を見た瞬間、「あ。」と思って、一瞬、下を向いて視線をそらしてしまった。
間違いない、あの店のおじさんとおばさんだ。
少しの間、声をかけようか逡巡している間に、向こうから「あら。」と声をかけられる。「あ、覚えてますか?」と問いかけた僕に対して、おばさんは柔らかな笑顔で「あれだけ毎日、ずっとうちの本棚を眺めていた子のことを忘れるはず
橋本倫史『そして市場は続く 那覇の小さな街をたずねて』試し読み(パーラー小やじ)
市場に吹き込む東北の風 パーラー小やじ・新垣祐紀さん
沖縄の酒といえば、真っ先に思い浮かぶのは泡盛だ。こう書くと、復帰前を知る世代からは「アメリカ世にはウィスキーをよく飲んだ」と反論があるかもしれない。あるいは、ビール党からは「やっぱりオリオンビール」と声があがるだろう。沖縄で飲める酒も今や多様化しているけれど、「パーラー小やじ」で日本酒を目にしたときは新鮮な印象を抱いた。それも、扱っているの
本屋大賞ができるまで(仮)
第1章 それは飲み会から始まった第1話 朝の電話が世界を変える
午後は本屋大賞実行委員会の中野さんと内田さんがやってきて、20周年に向けての打ち合わせ。思い返せば20年前、この二人(+志藤さん)と新宿の陶玄房で飲んでいたところから本屋大賞は始まったのだった。
あのとき(2003年1月下旬)はこの「WEB本の雑誌」でPOP王の連載を始めるにあたって運営の博報堂の中野さん(43歳)とシステムのユ