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白いシャツの店レタルのデザインと経営の話

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白いシャツの店レタルのデザインや経営についての考え方をまとめたマガジンです。
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2018年11月の記事一覧

他人の「美しくなりたい」という切実さを笑うな。

他人の「美しくなりたい」という切実さを笑うな。

ドルチェ&ガッバーナでの中国での炎上が大問題になっています。

一晩で中国市場を全て失ってしまったドルガバ炎上事件の衝撃(徳力基彦)
https://news.yahoo.co.jp/byline/tokurikimotohiko/20181123-00105139/

箸でピザやパスタを食べるCMが中国文化を侮辱しているということで批判を受けましたが、その後創業者のステファノが個人宛のInsta

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詩を書くように、音楽を作るように、白いシャツを作る。

詩を書くように、音楽を作るように、白いシャツを作る。

今作ってるシャツの名前は『私は海を抱きしめていたい』。

これは私が好きな坂口安吾の小説のタイトルだ。

レタルのシャツには一枚一枚名前がある。

一番初めに作ったシャツは『はじめましてのシャツ』。

セーラーなのに大人っぽい、を目指した『ちょっと大人っぽいセーラーシャツ』。

メンズのフォーマルシャツの形をそのままレディスに落とし込んだ『オトコマエなシャツ』。

ビッグシルエットの『ガリバーのシ

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軽やかな炎/雨宮まみさんの思い出

軽やかな炎/雨宮まみさんの思い出

ある人は雨宮まみさんのことを「東京が歩いてくる」と言った。

軽やかな炎のような、水の中をスイスイと泳ぐ金魚のような、雨宮まみさんの第一印象はそんな人だった。

少年アヤさんの『焦心日記』のトークショーで見た雨宮まみさんは、真っ赤なワンピースを着ていて、嬉しそうにアヤさんの本を持っていた。

サインなんていつでももらえるはずなのに、少女のような気恥ずかしさと、悪戯っ子のようなユーモアと、だけどそれ

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レタルの経営について

レタルの経営について

私のブランド「白いシャツの店レタル」はまだたいして売れてないんだけど、一丁前にコンサルタントみたいな人がいる。

まぁ、そんな人がいてなんで売れないのか?という話だけど、それは今私がレタルを動かす余裕がないからだ(笑)。

うちはなぜか、この人手不足の時代に人材が集まってしまうブランドで、それはすごくいいことだろうと私自身は考えている。

お客様も大事だけど、働く人間がいなければ会社(うちはまだ会

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服は機械で作られていると思われている。

服は機械で作られていると思われている。

一昨日、学生時代の恩師、横田先生と、先生の学生さんと食事をした。

私は先生の服装史の授業が大好きで、年度末の授業が終わってから、先生に手紙を渡したことがある。

それから先生と仲良くなり、卒業して考えてみたらもう10年以上経つことに今驚いているけど(笑)、いつも「最近はどう?」とメールをくださる、正に恩師である。

一昨日は、「急だけど今日の夜空いてる?」という連絡があった。

行ってみると、そ

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ファッションはアートに成り得るか?

ファッションはアートに成り得るか?

ファッションの人間は、「ファッションはアートだ」と語ることがある。

アート側の人間からそんな言葉を聞いた記憶がない。

ファッションはアートに成り得るか?

これからのファッションは何を目指すべきか考えたときに、多分アート的なものを目指さなくてはいけないのではないかも思う。

アートとファッションの決定的な違いは何か。

それは価値観の違いだと私は思う。

村上隆の美術手帖か何かに「歴史に残るも

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バブルのトラウマによる、消費への冷笑的な態度。

バブルのトラウマによる、消費への冷笑的な態度。

「賢い消費者になろう」

今の世の中、そういう謳い文句が沢山転がっている。

では、賢い消費者とはなんなのか?

バブルがはじけて30年になる。

未だ日本はデフレから抜け出せず、ずっともがき続け、政府は「好景気」と謳うが、市民感情としては、全く好景気どころか、沈む船に乗っている感覚しかない。

もうあまりにデフレが長過ぎて、我々にはデフレマインドが染み付いて、第二次世界大戦の戦時中のようなしみっ

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