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大衆本の世界史(3) ヨーロッパ編② : 「バラッド」 − 伝承からネタの宝庫に
今回は少し脇道にそれますが、ヨーロッパの大衆本と浅からぬ関係にある「バラッド」について紹介します。
バラッドは中世以前に起源を持つ詩の一種で、欧米の音楽や文芸を支える基層のひとつといわれます。ネットには専門的な研究や情報もたくさんあるので、ここでは大衆本との関係から今につながる歴史をみてみます。
バラッドと大衆本の関係
実は近世ヨーロッパの大衆本は、200年以上にわたり、コンテンツの多く
大衆本の世界史(2) ヨーロッパ編① : 人気コンテンツは?
今回から近世ヨーロッパの大衆本を3回に分けて解説します。
まず、国ごとの人気コンテンツとその違いをご紹介します。国によってはほとんど資料がないのですが、いくつか面白い発見もありました。
みんな物語が大好きだ!
まず18世紀のイギリスの大衆本「チャップブック」の分類を元に、庶民が求めたコンテンツをさぐってみましょう。なお、子供むけの童話、字の書き方などはそれぞれの分類の中に含まれています。
大衆本の世界史 (1) : 17世紀の謎・ヨーロッパと日本で大衆本が同時発生
江戸時代は、大衆本の文化が花開いた時代です。江戸には1000軒以上の貸本屋があり、武士も町人も新刊本を求めて詰めかけていたといわれます。
しかし、17〜19世紀の同時期にイギリス、フランス、中国など洋の東西で、よく似た大衆本ブームが起きていたことは、あまり知られていません。面白い現象だと思うのですが、近代の大量出版が始まるとほぼ忘れ去られてしまったため、これらを比較した研究はほとんどないよう