Le silence-静寂か、沈黙か。静けさが先にあるのではなく、内なる沈黙が静けさを生むのではないだろうか。ブレッソンが描いた自画像をみつめるとき、その口元はかたく、意志を持ってつぐんだようにもみえる。静寂か、沈黙か。静寂の方が甘美な響きであろうが、私には後者であると思われる。
ブレッソンは言葉でしか出逢えなかった敬愛する人々の顔と出逢わせてくれた。その一瞬の沈黙は彼らの美をも写していた。記憶がこの手から零れ落ち続けた日々、思えばシャッターを切り続けていた。その日見つめたはずの世界と美しさをせめてフィルムに記憶し、ふたたび出逢い、確かめたかったのだろう。