時空の変化に身を任せて。『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』
ポーラ美術館は、観光や温泉目的で箱根にやってきたであろう家族連れやカップル、グループ客でそこそこ混雑していた。「鑑賞」するためにここにいる人は少ないのだろう。しかしながら、それぐらい肩の力が抜けている方が、フィリップ・パレーノの特質を感得するには有利に働くと思われる。
1964年生まれで、フランスの現代アートを代表するパレーノの主要な作品はインスタレーションである。そこでは、完成形として固定化されたものは少ない。オブジェが動いたり、映像や音が流れたり、不意に光が入り込んだり