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写真家③アンリ・カルティエ・ブレッソン

今回は20世紀を代表する写真家であるアンリ・カルティエ・ブレッソンを自分の中でまとめてみる。

紙幅の関係からアンリ・カルティエ・ブレッソンをこれからはHCBと略して記載をする。
HCBは写真好きは知らない人がいないと思うくらいの超有名人であるが、一応紹介をしておく。
アンリ・カルティエ・ブレッソン(Henri Cartier-Bresson)は、1908年にフランスで生まれ、2004年に亡くなった写真家である。
HCBは元々デッサンが好きで、いつも物事や情景を書く前提でとらえていたという癖が、「決定的瞬間」と言われるまで妙技につながっているのであろう。また、HCBは写真を撮る瞬間のことを、「写真を射る」と表現しており、撮る瞬間の反動は写真家へのバックラッシュとなり、その影響で写真家自身もその写真に影響を与えると言っている。このようなその瞬間を射るという意識と、面白い構造を見つけ出す観察眼がHCBが稀代の写真家と言われる所以であろう。
ストリートフォトグラフィーの分野で多大な影響を与えたHCBであるが、捕虜になった経験から戦争写真などのジャーナリズム色が強い写真も多く撮っており、自分が写真家としてできることを総て全うする姿勢には痺れる。

今回は以下の写真集の中で特に良かった写真を紹介する。
アンリ・カルティエ=ブレッソン:20世紀最大の写真家 (「知の再発見」双書) | クレマン・シェルー, 伊藤俊治, 伊藤俊治, 遠藤ゆかり |本 | 通販 | Amazon

まずHCBと言えばの作品である「逃げ去る映像」である。
これの面白いポイントはちょうど真ん中の影が水面につく直前をとらえているという瞬間を捉える力と、後ろの壁面の汚れと写真中央の影が同じポーズを取っているという構造の面白さが同居しているところである。このように構図にも目を配りながら、その瞬間を捉えたというHCBらしさが前面に出た写真である。こんな写真を一度は撮ってみたい。

次はローマで1959年に取られた写真である。
たまたま走る少女に照明が当たるタイミングで取られており、その写真の構図は舞台演劇の演出のようである。少女の躍動感も含めて非常にお気に入りの写真である。

次はマンハッタンで1947年で撮られた写真であるが、見て分かる通り水の流れた跡が横たわっている男から流れている血のようである。一見犯罪現場のようであるが、その実は酔っぱらっているだけであり、その差が非常に面白い。これもある意味決定的な瞬間であり、世の中にはこんな面白い風景があると教えてくれる。もっと周りを観察しようという世界への興味を掻き立ててくれる写真である。

最後は、彫刻家ジャコメッティの姿をとらえた写真である。
彫刻と同じ姿勢をしているところを捉えるだけではなく、その写真からあふれ出る正体不明の悲壮感が個人的に大好きである。ジャコメッティのことは正直あまり知らいないが、気難しい人だったのかもということまで想像させてしまう作品である。

これまで個人的に好きなHCBの作品群をお伝えしたが、正直もっともっと面白い写真はあるので、皆様ももっと調べてみるのはいかがだろうか。以上。

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