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旅エッセイ。どこでなにを考える?

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旅中に頭に思い浮かんだことを並べています。
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#海外

冷房すらないロンドンに何故私は帰るのか

冷房すらないロンドンに何故私は帰るのか

2019年の1月にロンドンに経って以来、日本に帰ってきていなかった。そのため、コロナが落ち着いてきたタイミングと私のビザが切れる時期が重なった9月に一時帰国をすることに。実に、1年8ヶ月ぶりの帰国だ。

関西空港に到着した私を、家族全員で愛知から迎えにやってきてくれた。新型コロナのせいで公共交通機関は使えない。帰国して2週間は外界との隔離となった。帰国の間は実家にお世話になる。私の同僚がある日、I

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2時間遅刻してくるイギリス人と定時で帰れない日本人

2時間遅刻してくるイギリス人と定時で帰れない日本人

ロンドンにある今の会社で働き始めてから8ヶ月ほどが経った。せっかく国際色豊かなロンドンにいるのだから…との考えから多様性のある職場にいる。「色んな国出身の人と話をしたい」という夢も叶い、毎日楽しく仕事に向かっている。

多国籍な私のチームにはイギリス出身、イギリス育ちのギャルがいる。気が強いなぁと思うこともあるけど、優しくて礼儀正しいし、パーティ好きで派手だけど、誰にでもフレンドリーなところに好感

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だからお前は成長できないんだってば

だからお前は成長できないんだってば

英国時間午前4時半、私はロンドンの街中で途方に暮れていた。

空港行きのバスが停まるはずの道路は工事で封鎖されていて、一向にバスが来る様子を見せることない。玄関を出た時は空はまだ薄暗かったのに、次第に夜は明けて朝日が街を照らしだしている。

飛行機の時間は午前8:00。空港に着いていなければいけない時間は次第に迫ってくるのと裏腹に、バスがやってくる気配は全くない。どうにもこのままではヤバイ気がする

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普通

普通

平成最後のあの大晦日は、友人のスマホが鳴り止まない、2人で居るのに1人を感じるカフェでのブランチから始まった。

航空会社で働くその友人は、「普段はこんなに忙しくないんだけど」と言いながら、休みに入る前に犯してしまった大きなミスをカバーするべく、話の最中にメールチェックをしたり、電話で席を外さなくてはいけなかった。彼女を否定する気はない。私もこうやってiPhoneを開いては文章を打ち込んでいるのだ

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英語を話すことが好きで好きで好きで #とは

英語を話すことが好きで好きで好きで #とは

貴方にとって英語ってなに?授業科目?ビジネスツール?

英語、好き?私は好き。

英語を話すことが得意な人であれ、苦手な人であれ、英語を話すということはただのツールにしか過ぎない。

グローバル化に適応する為に、英会話教室に通うのをなんとなく社会に強いられる。でも、英語を学ぶことはそんなものの為にあるわけじゃない。(と、私は英会話教室のゴリゴリに押してくる広告をみるたびに思う。)

もちろん、英語

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クリスマスマーケットは夢の中。

クリスマスマーケットは夢の中。

雪は子供が喜ぶものだと思っていた。

「あぁ雪が降ってきた。」とけだるそうに窓の外を眺めるのが大人。

降り積もっていく雪を背景にして温かいコーヒーを片手に、赤チェックのブランケットを膝にかけ、読みかけの雑誌をめくるのが大人の冬の過ごし方だと思っていたんです。薪ストーブの近くには犬がいたりして。

そんな想像とも妄想とも言えるような私の未来はまだ遠いようで、現在の私は足元のドクターマーチンのチェリ

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さよならアイルランド。飛行機に乗るまでの話。

さよならアイルランド。飛行機に乗るまでの話。

普段オフィスに行くために乗るバスと同じバスに乗った。

向かう先はいつもと違う。あと車内の混み具合。何で大荷物の今日に限って、こんなに人が乗り込んで来るのだろう。他のバスがいるせいで、停留所に止まりきれずウロウロしている私のバスは魚の集団みたいな人の塊をあっちこっちに動かした。そんな人の波を横目にため息をつく。

荷物は取り敢えず詰めたけど、絶対カウンターで引っかかる。Ryanairの厳しさと追加

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記憶に呼びかける香りと音楽

記憶に呼びかける香りと音楽

ココナッツの香りをかぐと、オーストラリアで出会ったホストマザーを思い出します。

彼女からココナッツの匂いがしていたのか、彼女が作った料理に使われたココナッツオイルが私の記憶に刻まれてるのかは定かではありません。

むんとした熱帯の空気の匂いは、バリ島に旅行で行ったときに降り立った空港を、

金木犀の甘い香りは、幼少期に保育園まで通っていた地元の道を、

独特なナンプラーの匂いは、街中に屋

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認めることができる人になりたい。#やさしさってなんだろう

認めることができる人になりたい。#やさしさってなんだろう

優しい人になる。

これは私が掲げている目標の一つであり、いつになったら達成することができるのか判断が難しい目標でもある。

「優しい」の定義は人によって違うし、同じ人でも時が経てばきっと言葉が持つ意味は変わるからだ。

私はこれまで、「優しい」というのは「何でも許せる人」だと思っていた。

でも時に大切な人達がした間違いを許せないこともある。許せない人は優しくない人なのだろうか。本当の意味で「や

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きっと秋の夜長が癒してくれる

きっと秋の夜長が癒してくれる

私事で申し訳ないのだが、最近心がささくれている。

勿論ささくれた私の心のせいでケガをした人には大変申し訳ないと思ってはいるのだが、今は他の人に気を留める余裕もないくらい自分の心のケアで手が一杯だ。

特に自分がイラつく理由も見当たらないし、怒ってしまった事柄も冷静になれば大したことではないのも理解できるのだが、その瞬間はそこまで頭が回らない。

実は生理中である、と言えばそれが理由でそれまでのこ

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人生は会わなきゃいけない人に会わなきゃいけないタイミングで会うように出来ているという話

人生は会わなきゃいけない人に会わなきゃいけないタイミングで会うように出来ているという話

人の訃報を聞いた。
アルゼンチン人の同僚のお父さんが、母国からアイルランドまでわざわざ会いに来て一緒に旅行をし始めて2日経ったときの出来事だったそうだ。

同僚のその後の話によると、心臓発作が起きた彼女の父親は、そんなことがいつ起きてもおかしくない状態だったと医者からは伝えられたらしい。

最後にお互いの顔を見れた、と思うとこの悲しい事実を人伝いで聞くよりマシだとその同僚は言った。



こんな

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好きという引力

好きという引力

丁寧に整えられたグリーンの芝に並ぶ、赤と白のユニフォーム。スタジアム中に響くのは両サイドのサポーターの大きな歓声だけど、選手の真剣な顔からはその声が届いているのかもわからないくらいの集中と熱気が滲み出ている。

世界中の人が固唾をのんで見守るのは欧州チャンピオンズリーグのファイナルマッチ。私も例外では無く、アイルランドの首都ダブリンにあるスパニッシュスタイルのパブで、試合の行方を見届けていた。

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