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古代の数学に「円周率」はあったのか?
序. 「円周と直径の長さの比率」である「円周率」は π とも呼ばれ,最も有名な数学定数の一つですが,この定数はいつ頃から数学で扱われるようになったのでしょうか.本稿では,最古の数学であるエジプト数学¹やバビロニア数学には円周率という概念はないこと,さらに西洋古代の数学にも見られないという話をしたいと思います.
しばしば,古代の円の面積を計測する議論(以降では「求積」と呼びます)の説明に,「エジプ
電卓で作るプトレマイオスの「弦の表」
序.『アルマゲスト』第1巻に収録されている「弦の表」の作成法について解説します.『アルマゲスト』における実際の「弦の表」の利用についてはこちらのnoteをご覧ください.
https://note.com/greekmathematics/n/nbe51ec97f4b5
1.「弦の表」とは 「弦の表」とは,半径60の円において,1/2°から180°までの弧に対する弦の長さを1/2°毎に計