渚フミ

『浅瀬でブギー、時には泳げよ。』とnote上のタイトルを冠します。 プロフィール画像は…

渚フミ

『浅瀬でブギー、時には泳げよ。』とnote上のタイトルを冠します。 プロフィール画像は、私が敬愛する、漫画家の杉浦茂さんのイラストから使わせて頂きました。展覧会に訪れた際に、「生きてるだけでいい」と、涙が溢れる程に強く感銘を受けたことが鮮明に思い出されます。

記事一覧

みじかい詩|さりげない朝

休日の早朝に目が覚める 昨晩はゆったり寝たのに 今朝はたっぷり眠っていたかったのに 外は雨降り 雨は写真に映らない 小窓からは 走る車や傘をさす人 ナチュラルなアヴ…

渚フミ
1か月前
17

美術館のガレージパーティに行ってきた。

先日、美術館のガレージで行われた、DJパーティに行ってきた。 会場は、千葉県佐倉市立美術館のガレージにて。 (なんと美術館だけではなく、佐倉市も協賛とのこと。佐倉…

渚フミ
1か月前
10

掌編|ほのかな出逢い

「どちらからいらしたのですか?」 菅谷龍介は答える。 「千葉県の小沼町というところです。」 菅谷が、小池朱美と初めて交わした会話である。 それは、お互いの知人が主催…

渚フミ
1か月前
16

みじかい詩|The Edge Of The Coin

コインの縁を歩く 一見異なる思想でも やり方が同じなら それはコインの表と裏の違いに過ぎない 何も変化は生まれない 広い面を歩いていれば楽だろう コインの縁を歩く ぐ…

渚フミ
1か月前
10

The Revolution Will Not Be Televised

戦争も内戦も終わらない。 社会システムはおかしい。 かつて、忌野清志郎は、ライブの最中、ジョン・レノンの「Imagine」のカバー曲を演奏する前にこう言った。 「おい、…

渚フミ
1か月前
7

Four Tet『Three』(2024):ただ音楽

通算12枚目のオリジナルアルバム。 フォーテットは、今やエレクトロニカの代表格と呼べるミュージシャンである。 本作は、エレクトロニカを基調としながらも、ブレイクビー…

渚フミ
2か月前
10

音楽日記|はっぴいえんど『HAPPY END』(1973)

ふと、はっぴいえんどが不意に聴きたくなって、とても久しぶりに本作を聴いてみた。 新鮮かつ豊穣な響きと歓びをもって、私の耳を、感覚を満たしてくれた。 やはり、現代に…

渚フミ
2か月前
10

みじかい詩|部屋

部屋をめいっぱい使う 普段あまり寄りかからない柱に身体を乗せる 開け放った小窓から入り込む夜風 メロウなビートに丁寧な韻 電子タバコをふかし 心の凪に目を凝らし 求め…

渚フミ
2か月前
7

宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』:宇多田ヒカルにとっての創作とはSF的な行為なのか?そしてアインシュタインの手紙。

宇多田ヒカルが初のベストアルバムをリリースした。 以下、ご本人のインスタグラムの投稿より、省略や絵文字の代わりの句読点も入れさせて頂きながら、コメントを抜粋した…

渚フミ
2か月前
44

相対性理論『調べる相対性理論』(2019):惑星づくり

通算5枚のオリジナルアルバムを経ての、初のライブアルバム。 相対性理論の集大成ともいえるが、その域を超えている。新作と呼んでも良い程、サウンドが変化・進化してい…

渚フミ
2か月前
33

星野源『POP VIRUS』(2018):今を創り、未来へと歩き出す勇気と愉楽をもたらす新たなスタンダード

通算5枚目のオリジナルアルバム。 大江健三郎云うところの「想像力の勢い」が喚起される作品。 歌詞、メロディ、ビート、リズム、構成が多彩に織り成す音楽。 生きることは…

渚フミ
2か月前
19

くるり『THE PIER』(2014):3.11を経た世界で鳴り響いた日本のポップミュージック

通算11枚目のオリジナルアルバム。 どこの国の音楽だか分からない。どこにも無いかもしれないが、有るかもしれない。国の概念では存在しない場所で鳴っている音楽。 ポップ…

渚フミ
2か月前
11

10(テン)年代ディスクガイド

以前(2022年)に、知人から依頼を受けて、ZINEに寄稿した3本の音楽レヴューをnoteに投稿してみようと思う。 依頼を受けた記事作成の条件は2点。 ①2010年代にリリースさ…

渚フミ
2か月前
7

選択肢はイエスかノーだけ?アラフォーの私がハタチの大学生と話して、考えたこと。

ある大学生と話す機会があった。その人は高校教諭を目指しており、大学の授業の課題に悩んでいる、という。 課題というのは、道徳の課題で、内容はざっくりまとめるとこう…

渚フミ
2か月前
6

会話と対話。酒場のマナーと見極めること。

最近、バーや大衆居酒屋で、さほど親しくない人や初めて会った人と話すのが面倒になってきた。 以前はむしろ好きだった。色々な人がいて、その人生模様や様々な考えを聞く…

渚フミ
2か月前
3

やべえっ!人生がうまくいっていない時期に、私が陥りそうになったこと。

あぶねー。リア充の罠に引っかかるところだった。それと、思想の欠乏。 ここ最近の私の志向性は、どこかしっくりとしていなくて、何かに振り回されているような感覚を覚え…

渚フミ
2か月前
7
みじかい詩|さりげない朝

みじかい詩|さりげない朝

休日の早朝に目が覚める
昨晩はゆったり寝たのに
今朝はたっぷり眠っていたかったのに

外は雨降り
雨は写真に映らない
小窓からは
走る車や傘をさす人

ナチュラルなアヴァンギャルドにアンビエント
リフレインする雨音
湿った車走音

ふとあの本が読みたくなる
SFと純文学が交差するあの小説
机にぽんと置いてみる

こんな朝はさりげない

美術館のガレージパーティに行ってきた。

美術館のガレージパーティに行ってきた。

先日、美術館のガレージで行われた、DJパーティに行ってきた。

会場は、千葉県佐倉市立美術館のガレージにて。
(なんと美術館だけではなく、佐倉市も協賛とのこと。佐倉市すげーぜ。)

なんかもう「ガレージパーティ」という響きだけで、胸踊る。

会場の雰囲気はこんな感じ。
(人数は20〜30人程。)

イイですね〜。
この打ちっぱなしのコンクリ壁面とレンガフロア。
ライブハウス、クラブハウス、バーなど

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掌編|ほのかな出逢い

掌編|ほのかな出逢い

「どちらからいらしたのですか?」
菅谷龍介は答える。
「千葉県の小沼町というところです。」
菅谷が、小池朱美と初めて交わした会話である。
それは、お互いの知人が主催する小規模なDJパーティでのことだった。

菅谷はバーテンがセレクトした、甘みのあるベルギー産のビールを片手に。
小池はその店特製のジンを使用した、ジントニックを片手に。

二人は、共通の知人がいるものの、初対面だった。
それから、二人

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みじかい詩|The Edge Of The Coin

みじかい詩|The Edge Of The Coin

コインの縁を歩く
一見異なる思想でも
やり方が同じなら
それはコインの表と裏の違いに過ぎない
何も変化は生まれない
広い面を歩いていれば楽だろう

コインの縁を歩く
ぐるぐると孤を描きながら
水平線を眺めながら
丸い地表を踏みしめる
太陽系の惑星が周回する
うねりを上げるエレキの残響

The Revolution Will Not Be Televised

The Revolution Will Not Be Televised

戦争も内戦も終わらない。
社会システムはおかしい。

かつて、忌野清志郎は、ライブの最中、ジョン・レノンの「Imagine」のカバー曲を演奏する前にこう言った。

「おい、全然世界は平和にならないじゃないか。戦争がずっと続いている。21世紀になったのに。21世紀になったら、世界が平和になると思ったのに。ますますひどくなってる。」

https://www.youtube.com/watch?app

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Four Tet『Three』(2024):ただ音楽

Four Tet『Three』(2024):ただ音楽

通算12枚目のオリジナルアルバム。
フォーテットは、今やエレクトロニカの代表格と呼べるミュージシャンである。
本作は、エレクトロニカを基調としながらも、ブレイクビーツ、アンビエント、ダンス、フォークトロニカ、ミニマルテクノ、ダウンテンポ、シューゲイザーなど、多彩な音楽的要素で彩られた、一大音楽絵巻のような作品となっている。
これだけ様々な音楽的要素を取り込むと、取り散らかったアルバムになりそうなも

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音楽日記|はっぴいえんど『HAPPY END』(1973)

音楽日記|はっぴいえんど『HAPPY END』(1973)

ふと、はっぴいえんどが不意に聴きたくなって、とても久しぶりに本作を聴いてみた。
新鮮かつ豊穣な響きと歓びをもって、私の耳を、感覚を満たしてくれた。
やはり、現代においてもはっぴいえんどは偉大だった。
通算3枚目のオリジナルアルバムにして、最後のスタジオアルバム。
私はこのアルバムが好きだ。
1作品目の『はっぴいえんど』(通称「ゆでめん」)は、「日本のロックを確立させるのだ」という音楽的野心が溢れる

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みじかい詩|部屋

みじかい詩|部屋

部屋をめいっぱい使う
普段あまり寄りかからない柱に身体を乗せる
開け放った小窓から入り込む夜風
メロウなビートに丁寧な韻
電子タバコをふかし
心の凪に目を凝らし
求めている
私の中の小さなユリイカ

宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』:宇多田ヒカルにとっての創作とはSF的な行為なのか?そしてアインシュタインの手紙。

宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』:宇多田ヒカルにとっての創作とはSF的な行為なのか?そしてアインシュタインの手紙。

宇多田ヒカルが初のベストアルバムをリリースした。

以下、ご本人のインスタグラムの投稿より、省略や絵文字の代わりの句読点も入れさせて頂きながら、コメントを抜粋したい。(原文をお読みになりたい方は、ご本人のインスタグラムをご覧下さい。)

「ただのヒット曲のコンピレーションじゃない、過去があっての今の私が伝わる特別なアルバム。新たなミックスで生まれ変わった10曲、トラックも歌も全部作り直した新録の3

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相対性理論『調べる相対性理論』(2019):惑星づくり

相対性理論『調べる相対性理論』(2019):惑星づくり

通算5枚のオリジナルアルバムを経ての、初のライブアルバム。
相対性理論の集大成ともいえるが、その域を超えている。新作と呼んでも良い程、サウンドが変化・進化している。新たな相対性理論の音楽的アティチュード。
ノイズミュージックや即興・実験音楽を消化したポップネス。
世界に向けて、忽然と現れて鳴らされている音楽。堂々と姿勢を律して、世界と向き合う覚悟が決まっている音。
センチメンタルなハードSFの様相

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星野源『POP VIRUS』(2018):今を創り、未来へと歩き出す勇気と愉楽をもたらす新たなスタンダード

星野源『POP VIRUS』(2018):今を創り、未来へと歩き出す勇気と愉楽をもたらす新たなスタンダード

通算5枚目のオリジナルアルバム。
大江健三郎云うところの「想像力の勢い」が喚起される作品。
歌詞、メロディ、ビート、リズム、構成が多彩に織り成す音楽。
生きることは、「歌い、踊ること」と同義であること。人が豊かな生命力を喚起させ、サヴァイブしていくこと。先人たちのたすきを抱いて、繋いでいくこと。
普遍的でありながら、価値観の深化と進化を促すような感覚。
ポップとオルタナティブを見事なまでに両立して

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くるり『THE PIER』(2014):3.11を経た世界で鳴り響いた日本のポップミュージック

くるり『THE PIER』(2014):3.11を経た世界で鳴り響いた日本のポップミュージック

通算11枚目のオリジナルアルバム。
どこの国の音楽だか分からない。どこにも無いかもしれないが、有るかもしれない。国の概念では存在しない場所で鳴っている音楽。
ポップミュージックにおける、無国籍性音楽の先駆けとして、The Beatles『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』が金字塔を打ち立てているが、このアルバムはその系譜にある。
雷雲が空を覆う景色から、雲を

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10(テン)年代ディスクガイド

10(テン)年代ディスクガイド

以前(2022年)に、知人から依頼を受けて、ZINEに寄稿した3本の音楽レヴューをnoteに投稿してみようと思う。

依頼を受けた記事作成の条件は2点。
①2010年代にリリースされた新譜であること。
②300文字以内であること。

音楽アルバムを選定するにあたって、私が設けた条件は4点。
①日本産(いわゆる邦楽)であること。
②自分が愛聴している(きた)こと。
③オルタナティブな音楽性をポップミ

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選択肢はイエスかノーだけ?アラフォーの私がハタチの大学生と話して、考えたこと。

選択肢はイエスかノーだけ?アラフォーの私がハタチの大学生と話して、考えたこと。

ある大学生と話す機会があった。その人は高校教諭を目指しており、大学の授業の課題に悩んでいる、という。
課題というのは、道徳の課題で、内容はざっくりまとめるとこういうものだ。

「ある仲の良い夫婦(年齢不詳)がいた。その妻が大病にかかり、医師は治療に必要な薬を提示する。ところが、それは夫が一生働いても支払えない程の金額であった。あなたなら、どうしますか?諦めますか?それとも薬を盗みますか?」

この

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会話と対話。酒場のマナーと見極めること。

会話と対話。酒場のマナーと見極めること。

最近、バーや大衆居酒屋で、さほど親しくない人や初めて会った人と話すのが面倒になってきた。

以前はむしろ好きだった。色々な人がいて、その人生模様や様々な考えを聞くことが面白かったからだ。

ところが、最近は面倒に思えることが増えてきた。

「似たような話、聞いたことがあるな」、「この人、自分の話しかしないな」、「その話題に興味ないな」、「そのノリ、ノれないな」、「面白くないな」。などと感じることが

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やべえっ!人生がうまくいっていない時期に、私が陥りそうになったこと。

やべえっ!人生がうまくいっていない時期に、私が陥りそうになったこと。

あぶねー。リア充の罠に引っかかるところだった。それと、思想の欠乏。

ここ最近の私の志向性は、どこかしっくりとしていなくて、何かに振り回されているような感覚を覚えていた。
その要因が先日分かった。

無意識に「リア充という幻想への羨望」を抱き、「思想の欠乏に対する迎合」を受け入れていたのだ。いや、そうしようとしていたのだ。

私もそれなりに年齢を重ね、「しっかりした大人」にならなければならないとい

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