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【読書感想文】リード・ヘイスティングス/エリン・メイヤー「NO RULES NETFLIX and the Culture of Reinvention」

こんばんは!
映像コンテンツ配信プラットフォームでは、昔のアニメばかりみている男、小栗義樹です。

本日は、読書感想文を書きます!
僕が今読んでいる本、過去に読んだ本を用いて、その感想文を記すという試みです。この感想文を通して、今よりも本に興味を持っていただけたら、本当にうれしく思います。

本日の題材はコチラです。

NO RULES NETFLIX and the Culture of Reinvention

世界的なコンテンツ配信企業「NETFLIX」の創業者「リード・ヘイスティングス」が、ネットフリックスの企業文化について書いた本になります。共著者はエリン・メイヤー。ハーバード・ビジネス・レビュー誌やニューヨーク・タイムズ誌などでも紹介された「異文化理解力」の著者です。

この本は、創業者だけの視点ではなく、あえて外部の人間の視点も織り交ぜながら進行されます。客観的な視点が都度都度入るため、若干読みにくいですが、非常に理解はしやすいです。

2020年10月に発表された本で、当時一部のビジネスパーソンの間で話題になりました。youtubeなどでも取り上げられていた印象があります。

ネットフリックスは、今となっては無いと困るという人が多いのではないかと思います。映像作品を観る時は、ネットフリックスかアマゾンプライムかyoutubeなのではないでしょうか?

アマゾンプライムはGAFAの一角を担うAmazonが保有するサービス、youtubeも同じくGAFAの一角を担うGoogleが保有するサービスです。ネットフリックスはこれらのサービスとは違い、完全に映像コンテンツを世界に届けるために君臨し、GAFAに割って入り、拡大してきました。

そんな映像コンテンツモンスターのネットフリックスは、どのようにして拡大してきたのか?それが書かれているのがこの本です。

NO RULESってすごいタイトルですよね。会社や組織を運営していく上で、一番必要だと思っていたルール。それをネットフリックスは否定して、独自の企業文化を歩んできた。そんな事が書かれています。

ルールが必要な会社はある。でも、ネットフリックスはそうではなかった。ネットフリックスに必要なのは、時代の変化を敏感に察知しつつ、それに対応しながら、常にイノベーションを起こす事だった。そのためには、スピードを削いでしまうルールは邪魔で、素晴らしいアイデアに溢れた優秀な人材に自由に判断してもらった方がいい。

ただ、ルールを排除するためにはいくつかの条件を満たさないといけない。この本には、ルールを除外するための条件が書いてある。それらを実体験に基づきながら紹介していこう。

本の内容をざっくりまとめるとこんな感じです。

読む前は、アメリカの会社だから出来るんだろうなぁという印象を持っていました。しかし読み終わった頃には、良く出来てるなぁという感想に変わっていました。

ネットフリックスが圧倒的な成長を遂げたのは、コロナによる巣籠需要だけではなく、サービスに特化した企業文化があるからだということがよく分かります。まさに、これから流行るであろうコンテンツを圧倒的なスピードで伝えていくことが出来る企業文化です。

ネットフリックスがこの企業文化を維持している限り、後進の同業他社がネットフリックスに勝つのは難しいだろうなと思わざるをえませんでした。もちろん時代なんて、誰にも読むことはできません。だから何かの拍子に、ネットフリックスを追い抜く企業が出てくることもあるでしょう。それでも、この本を読んでしまったら、難しいのではないかと言わざるを得ない。そんな感じです。

コンテンツサービスは基本、参入障壁が低いと思います。使いやすい機能と、充実した面白いコンテンツが揃えば、人々は今まで当たり前に使っていたサービスを捨て、新しい方に流れていきます。それこそ、TSUTAYAやゲオがネットフリックスに飲み込まれてしまったのは、そういう事なんだと思います。

ただというか、だからというか、ネットフリックスは企業文化で高い参入障壁を築いたわけです。後進に成長を阻害されないように。これは本には書いていません。本を読んだ僕の感想です。

これは並大抵のことではないと思います。経営や運営の中で、狙った企業文化を浸透させるって、めちゃくちゃ難しいと思いますから。

コンテンツ配信事業において重要なことは3つあります。
目利き・配信ツールの機能・ニーズ
です。

この3つを維持し続けることが、参入障壁を維持することに直結します。

流行るコンテンツは何か?をきちんと見定めるのは才能です。こればっかりは、努力が反映される余白が少ないと思います。出来る人間を実績と人格で見定めたら、絶対に離してはいけません。

次に配信ツールの機能です。利用者にどれだけ素敵かつ楽な体験をさせることができるのか?ここは、常に競争力を磨き続ける必要がありますし、細部まで細かく見て、気づける人が求められるでしょう。

最後にニーズです。常に変化するニーズをちゃんと捉え、適切な広告を打ち、多くの人にコンテンツを届けた上で、満足してもらわないといけません。これは経験とセンスだと思います。そういう人材はなかなかいないと思うので、見つけたらとにかく離してはいけません。

とにかく優秀な人材が求めらるのがコンテンツ配信事業です。そして優秀な人間は、バリバリ働く環境と、自由と、満足いく報酬を常に求めています。

ネットフリックスはルールを廃止し、独自の報酬制度を導入し、条件を明確にすることで、こうした優秀な人材を逃さないようにしているみたいです。当然ですが、ニーズを満たせなくなると余裕で解雇されます。本にもそう書いてありました。

読んでいて純粋にすごいと思いました。でも同時に、どこか肌には合わない感覚も覚えました。恐らく、日本の企業の当たり前からは離れすぎていて、いまいち実感が湧かないのだと思います。そもそも日本では、解雇すらなかなか出来ませんからね。

読んでいる時にふと、日本の企業でネットフリックスみたいな企業文化を持ち込むべき会社はどこだろうか?と考えました。思いついたのは、テレビや出版、あとは新聞社でした。そして、そんな事を思い浮かべながら気づきました。だからネットフリックスに負けたんだなと。

決済も休暇も自由、報酬制度も市場主義。とにかくフェアだし、ひたすら実力主義です。自由な環境で、超一流が目利きをし、ひたすら良いコンテンツを制作・確保するネットフリックスは、まさにコンテンツ配信業界の新しい正解を出した初めての会社なのだと思います。

きっとこの会社は、この先の時代の変化にも対応し、様々なイノベーションを生んでいくことになるでしょう。ほとんどの社員がCEO並みの判断力と視野の広さを持っているわけですから、1人の優秀なCEOがいる会社では太刀打ちできないと思います。

読んでいて久しぶりに、日本を憂う気持ちになりました。これは日本人の習慣や特徴では、マネするのが難しい気がします。

日本が最も得意とするルールの中で、これと同じくらいの正解が出ることを願わずにはいられません。でないと、日本から生まれる凄い映像コンテンツの配信先は、そのほとんどネットフリックスになってしまうと思います。

全体的に、僕は肌に合いませんでしたが、読んでみて損はしないと思います。こういう文化もあるのかと知っておくだけで、自分が何かを始めたい時に役に立つはずですから。

450ページ以上とかなりボリュームがありますが、2週間あれば読めると思います。ネットフリックスの社員が赤裸々に会社のことを語っていたりするので、単純な物語としてはめちゃくちゃ面白いです。

僕はブックオフで買いました。多分ですが、お近くの古本屋さんに売っていると思います。興味があれば、ぜひ読んでみてほしいです。

というわけで、本日はこの辺で失礼いたします。
また明日の記事お会いしましょう。
さようなら~

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