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【読書感想文】雨穴「変な家」

こんばんは!
動画・WEB連動型小説を「ミドルノベル」と称して流行らせていきたい男、小栗義樹です!

本日は読書感想文を書いていきます!
僕が読んだことのある本を、過去未来・ジャンル問わずに紹介し、その感想を述べていくという試みです。感想文を通して、僕が読んだ本に興味を持ってもらえたら最高だなと思っています!

本日は、

雨穴さんの「変な家」の感想を述べていきます!

雨穴さん、ご存知でしょうか?
WEBライター兼YouTuber兼作家というマルチクリエイターで、既にそれぞれの分野で大きな成功を納めている方です。

雨穴さんは、WEBライターとしてデビュー。コンテストで賞を獲得したのをきっかけにライターとして名が知られるようになります。その後YouTubeに動画投稿をスタート。現在の登録者数は90万人以上です。投稿頻度が少なめなのにも関わらず、動画の再生数アベレージがかなり高いです。新作を投稿すれば、あっという間に100万再生を超えます。

動画のジャンルも多岐に渡り、独特な雰囲気の動画・音楽・練り込まれたホラーミステリーなどが人気です。

ちなみにホラーミステリーはかなりの人気で、テレビ東京の番組に原案を提供したりもしています。

これらの人気を引っ提げて、とうとう出版された小説第一弾が「変な家」でした。これ、最初はWEBサイトに投稿され、その後動画化、この動画の再生数がえげつなく周り、その人気に後押しされるかのように書籍化された感じです。

その書籍の発行部数も100万部を超え、ついには映画化・コミック化されるという、もはや1種の現象的なものになっています。

ここまで経歴を並べましたけど、書けば書くほど才能がありますよね(笑) 時代をきちんと捉えつつ、色々な作品・エンタメに触れてきたことが伺えます。この人気、この現象は、確固たる下地がなければ起き得ないと思います。これらを「単なる偶然」として片付けることはできないでしょう。

現にこの「変な家」も面白かったです。ストーリーも練られているなと感じましたし、きちんとしたどんでん返しもありました。何より読みやすかったです。4時間くらいでサクッと読めました。

主人公が知人から、ある家の間取りを渡される所からお話がスタートします。知り合いの設計士に間取りを見せると、その間取りに隠された違和感や不思議を発見。その不思議や違和感から生まれたある仮説を検証し、謎を解き明かしていくと、そこには恐ろしい秘密が隠されていて・・・

みたいな話です。

これ、過去に僕が読書感想文を書いた題材の中でも、一番ストレスなく読み切れると思います。人物の心境も最後まで一環していますし、そんなに登場人物が多くないので、状況判断がしやすいです。最後に待っているどんでん返しも、いわゆるサプライズ的なもので、ちゃんとすべてが解消されるので、気持ちよく終わります。

読み取るというよりも、書いてある文章に身を任せればいいのですごく楽ちんです。

逆に言えば、読み取りや考察を欲している人には、少し物足りない作品なのかもしれません。登場人物の心境変化を察する必要性が薄いので考察余白が少なめだなと感じます。

また可能性として、もう一度読もうという風になりにくい作品でもあるなと思います。サプライズって、1回目の衝撃や感動を超えないじゃないですか? 「うわ!そういうことか!」が結末にくる作品の場合、どうしても2回目の「うわ!」が1回目を上回りません。結末のどんでん返しを知っているので、ネタバラシ状態になっちゃうなと思います。

こういう作品を僕は「ミドルノベル」と呼んでいます。

人気要素で展開していく小説を「ライトノベル」
人間観・思想・価値観で勝負しているものが「文学」
その中間、設定や妙で戦っているのが「ミドルノベル」

カテゴライズするならこんな感じです。

主人公や登場人物の人間性、思想、価値観を変化させず、出来事や試練でもって物語を推進させる作品が、いわゆるノベル郡です。これ、僕のカテゴライズなので押し付けるつもりはありません。そして何よりも、このカテゴライズに優劣は存在しません。

僕は文学もライトノベルもミドルノベルも好きです。疲れてる時、悩んでる時に、文学を読むのは苦しいです。それでも、その状況を放置したまま生きるのはしんどいから、なにかに没入したいときってあるじゃないですか? そんな時に採用するのが、ミドルノベルです。ライトノベルは、もっとリラックスしたいとき、作業の後の休憩時に読みます。

ミドルノベルは、比較的シリーズ化するのが難しいので、基本的に読み切りになることが多いです。要素と課題で物語を推進するライトノベルは、かなりシリーズ化に向いていると思うのですが、設定や発展を軸に物語を推進するミドルノベルは「実はあの時のこれが・・・」みたいなオチが多くなるので、シリーズ化が難しいと思います。サクッと読めて適度に驚けるので、とてもメリハリが付きますし、しばらく印象にも残るので、その間は楽しむことができます。

雨穴さんの「変な家」は、ミドルノベルの中でもトップクラスに面白いと思います。ストーリーに違和感がなくて、最後のオチもエッジが効いてます。出てくるキャラクターも魅力的ですから、この登場人物で別の謎解きをやって欲しいって思えます。

ミドルノベルに必要な、大事な部分を完璧に押さえた作品といえると思います。

また、人をワクワクさせる「お約束」をきちんと踏んでいますので、2次展開・3次展開がしやすいと思います。マンガ化、映画化に発展したのも、こういうお約束を丁寧にやったからなのではないでしょうか?

間違いなく、王道ホラーミステリーをやっていると思います。王道を、ここまで完璧にやれる人はなかなかいないです。読んで損することは絶対にありません。本屋さんに行った際は、ぜひ一度購入検討してほしいです。


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