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アスペルガーの恋【小説】

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アスペの女の子の恋愛物語。ひとよりも多くの困難を乗り越えたラブストーリーの結末は?
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#アスペルガー

アスペルガーの恋〜恋愛を知らなかった自閉症の私

恋愛なんてハマるものじゃないと思っていた。
ステキな恋愛なんてないたと思っていた。
コウちゃんに出会うまでは。

当たり前にお見合いでもして、生活のために稼ぎのある男とつまんない生活を送っていくのだろうと思っていた。

私の人生の延長線をコウちゃんは大きく曲げた気がする。

世の中には女の子をドキドキさせる能力がある男も一定数いるんだなぁと思った。

その一人がコウちゃんで、そうい

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私の正体〜アスペルガーの恋〜

私の正体〜アスペルガーの恋〜

自閉症を生きた半生をついに小説化!!シリーズ
「私、自閉症なの。」

私はついにコウちゃんに全てを打ち明けてしまった。

私の秘密全てを。

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アスペルガーの恋 〜序章〜

もしあのとき、当時ネットに疎かった私があのツイッターアカウントを登録していなかったらと思うとぎょっとする。

(今でこそこんなネット投稿をして、知らない人に自分を公開することが当たり前になっているが、当時の自分は友人にも自分のプライベートなど一言も喋らないような表面的な奴だった。)

そしてM氏が偶然私にメッセージをしてくれなかったら私は恋愛という青春ものとは縁の無い人生だったんじゃないかと本

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アスペルガーの恋 〜M氏との出会い〜①

2015年夏

私がM氏と初めて会ったのは渋谷のとある中華料理店だった。
大学の卒業から2年近く経過していた。

同じ大学に通い同じ大講義室(何百人単位の座席がある)で授業を受けていたにも関わらずツイッターでしか繋がっていないという奇妙な関係性。

数年にわたり会話し続けたにも関わらず顔を見せることも会うことも渋っていた私との初対面だった。

オフ会なんて言葉も当時から使われていたみたいだが私に

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女子大生の秘密 〜卒業式〜

2013年春
卒業式の日に、私は偶然久しぶりにあったクラスメイトと写真が撮れた。

「大学時代の友人とパシャリ」
「この四年間色んなことがあってー友達と沢山の思い出を作りました!」
みたいな顔をする。

嘘だ。

「私たちはなんの友情も深めないまま、傷つかないよう表面的な付き合いで、偶にしか会わないようにしてました。」が本当だ。

そして、何のお別れ会もなく解散する。

「〇〇大学卒業式

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アスペルガーの恋

〜私〜

私は変わるんだ!
変わらないと本当に死んでしまう!
生きたまま死ぬんだ。生き地獄をまた味わうことになる。

私は感情を殺し続けた。

どんなに辛いことがあっても一瞬で立ち直る!
自分に暗示をかけた

切り替える!
切り替えて手を動かす!

かなり異常だが、私は世界史で見たアウシュビッツ収容所に収監されてる人になったつもりで辛いとか生きることを諦めた瞬間にもっと酷い仕打ちを受けるこ

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社会人の私!?

大企業を辞めて、ブランクをあけたものの親のつてで転職をした私は辛うじて正社員という立場にいた。

おじさんとおばさんしかいないけれど、ニッチな分野で生産性を保っていたその企業で私はかなり甘やかされていた。

私はゆりかごの中でしか生きていけないんだ。

同世代が切磋琢磨してプロフェッショナルを目指していた意識の高い環境から一転した。

同世と接することをしなくなった私は益々幼いまま

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アスペルガーの恋〜光太との初対面〜

光太とラインをするようになって一週間が経過していた。

ラインってすごいものでテンポよく話していると一週間しか話してないのに、かなり長く話してるように距離感を縮めることができる。

光ちゃんと初めて会うことになったのはそんな一週間後だった。

今日光ちゃんと会うことをM君に言ったら「ドキドキする〜」と言っていた。
M君は完全に私と光ちゃんの橋渡しをしていた。こういう風に「誰か紹介して」なんて言

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〜私の人生って〜

〜社会人一年目〜
大手金融機関での研修生活がスタートした頃

何百人といる同期の雰囲気は久しぶりの高校生活みたいに、クラスに分けられてスタートした。

メモにとる情報量に溢れ時間内で処理しきれない上に、集団での行動は会話が通じないこたが徐々にばれ始めていくのがわかった。

いつの日か転校したあの日みたいに、クラス替えが行われたあの日みたいに私を見る人の目が変わり始めた。

注目されていただけ

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「初めまして彼氏のいる私」

〜告白までの距離〜生まれて初めての恋人

3回目に会ったのはフランス料理の店だった。仕事帰りに2人ともスーツを着ていた。

ラインでしょっちゅう話してるから私の性格も少しずつ漏れていたかもしれない。でも、未だに仲良くしてくれていた。

料理屋を出て駅の改札で普通に手を振って別れた。

「来週から三週間出張に行く…」
M君にも光太にもこのことは伝えてあった。

その夜いつものようにラインを

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