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藤井満
2023年11月13日 15:46
奈良の大峯山、九州の英彦山とともに修験道の三大聖地とされる出羽三山には「生まれかわり」の信仰がある。先人は「生まれかわり」をどう信じたのか? ぼくらも生まれかわれるのか?……そんな興味をもって、2023年11月におとずれた。羽黒神社 御神体の池に数百枚の銅鏡 宿泊した鶴岡の町から羽黒山にちかづくと、そのふもとに手向(とうげ)宿坊街がある。鳥居のような冠木(かぶき)門をそなえた「○○坊」と
2023年11月12日 23:26
酒田市をはじめて意識したの1774軒が丸焼けになったという1976年の酒田の大火だった。その後、防災対策で道路を広くしすぎて殺風景な街になった、と聞いていたから、街を歩く気になれず、いつも素通りしていた。今回は「北前船」の痕跡をたずねることにした。北前船でかせぎ、土地に投資 市役所駐車場に車をおき、工事中の「鐙屋」をながめてから本間家旧本邸(見学料900円)を見学した。 間口が幅33.
2023年11月2日 22:47
13万点の写真を収蔵 鶴岡を後にして、鳥海山をながめながら北上する。海辺から長い裾野を形づくってそそりたつ山は典型的な神奈備だ。 30分ほどでたどりついた最上川の手前の公園の一角に、コンクリート打ちっぱなしの安藤忠雄建築を思わせる「土門拳記念館」(山形県酒田市)はあった。 1983年に開館し、土門拳の作品約13万5千点を所蔵し、ライフワークだった「古寺巡礼」「室生寺」「ヒロシマ」「筑豊のこ
2023年11月1日 08:21
福島県須賀川市の小さなビジネスホテルに泊まった夕方、「帰ってきたウルトラマン」のメロディーが町中にながれた。朝は「ウルトラセブン」だった。 そうだ、ここは円谷英二の出身地なんだ。「円谷英二ミュージアム」を訪ねることにした。 役場から歩いていくと、道路沿いのあちこちにウルトラマンやセブン、エレキング……の像がたっている。「ette テッテ 須賀川市民交流センター」は図書館やら学習ルーム、
2023年7月19日 09:25
■彩流社202307 東京新聞の女性記者が、阿武隈山地の里山の人々と、稀有な写真家の導きで成長する物語だ。 舞台は福島県の阿武隈山地にある旧都路村(2005年から田村市)。 都路は、全国でも有数のシイタケ原木の産地だった。「シイタケを栽培するための原木の一大生産地であったのに、放射能による汚染のために、生産ができなくなり、原木シイタケの生産もとまっている」 写真家の本橋成一さんのそんな
2023年6月8日 09:27
蔵の町をまもった写真店主 2021年5月、二本松市の有機農家の取材のついでに36年ぶりに喜多方を訪ねた。 「あづま旅館」(素泊まり5500円)に荷をおろし、まちを歩くと、土蔵の多さにおどろく。 酒蔵はもちろん、新聞販売店も飲食店もふつうの店も土蔵造りだ。蔵造りの寺もある。 白漆喰・黒漆喰・洋館風のれんが造りなど様式もさまざまだ。 そばどころだけあって、「そば打ち道具」を売る店もある。
2023年6月6日 17:43
日本一サメやメカジキがあがる魚市場 JR気仙沼駅から徒歩15分ほどの中心街「魚町」は、ちらほらと居酒屋がある程度だが、海沿いの堤防上にはおしゃれなカフェやFMラジオの放送局がならんでいる。 漁港は、近海の小型漁船から遠洋に行く大型漁船までずらりとならぶ。カツオ・サンマ・メカジキ・サメが有名で、脂がのった白い身が特徴のメカジキは全国の水揚げの8割、サメは9割を占めるという。 サメ、というのは
2023年6月3日 23:00
女川から車で50分ほどで、東北最大の河川北上川の右岸にある大川小学校跡に着いた。 雄大な北上川となだらな山のあいだにあり、山遊びも川遊びもできる。1985年に完成した二階建てと平屋の校舎は、こじんまりしていて1年生から6年生までがまじわるのにぴったりだ。 だが大河川に近く、低層の屋上のない校舎という環境が悲劇の一因になった。 五月晴れの青空が広がっているのに冷え冷えとした空気が重く肩にのし
2023年6月3日 09:33
津波と火災におそわれた校舎小 役だった避難訓練 松島から北上して石巻市にはいると、だだっぴろい平地に新しい住宅が無秩序に蚕食するようにひろがっている。太平洋から700メートルほどの山際に震災遺構の門脇小がある。震災前は、海までびっしりと町が広がっていたのだ。 3階建ての校舎は3階までボロボロにくずれている。低地とはいえ3階まで津波に破壊されるものなのか? よくみると「津波浸水高」のライ
2023年6月2日 14:41
福島は津波と原発事故におそわれた。原発事故がなくて津波の襲来をうけた地域となにがちがうのだろう? 宮城と三陸の海岸をたどってみることにした。まずは名勝の松島をめざした。 福島市から1時間も走ると宮城県にはいる。仙台を高速道路で迂回して松島に到着した。福島の浜通りから会津にむかうよりよほど近い。南相馬から宮城県に避難した人が多かった理由がよくわかる。 松島の中心部は観光客が多くて息がつまるか
2023年5月25日 12:29
プランターがない風景のやわらかさ 花巻は1998年3月と99年夏におとずれた。冬のイギリス海岸も、夏の風景も心にしみた。 1999年夏にYHで一緒になった関西のOLが、イギリス海岸周辺の風景に感動してしゃべりつづけていたのをおもいだす。「関東から神戸に引っ越して、山並みに住宅がとけこんでて海岸もあってきれい、と感動して以来の感動やわ。オーストラリアでもイギリスでも、こんなもんかってかんじや
2023年5月24日 10:47
おばあさんが展示物 1999年ごろ、出張ついでに遠野物語の里をサイクリングした。「伝承園」は、昔の曲がり家の農家などを移築した観光施設だった。「米もビールもおいしいよね。水がいいからかな」とおばあさんに声をかけると、「山梨の孫も、ばあちゃんのみそ汁がうまい。同じ具入れでも同じにはならんっていうだ。水がええんだろ。さみーけどよ。うぢのおどうさんも空気がええっていっでるだよ。……んだども、お
2023年4月18日 11:33
原子力災害伝承館「天災」であるかのような展示 「東日本大震災・原子力災害伝承館」(双葉町)は。福島第一原発事故の全体像を展示する中核的な施設だ。2020年9月にオープンした。 当初、「語り部」が話す内容について、「特定の団体」(国や東電)の批判をしないよう福島県が要請した、とメディアが報じた。 ぼくは開館1カ月後の10月にたずねた。入館料600円をはらって入場するとまず、巨大スクリーンで、
2021年11月13日 22:40
福島名物。「ざくざく汁」「(煮物の)ざくざく」と呼ぶ地域も。細かくざくざく刻むから煮物をつくる際の野菜の端なども無駄なく活用できる。 本来は、客の数が予想できない葬式の料理だったが、慶事や祭にも食べられるようになったという。葬儀には鮮やかなにんじんや生物の煮干しは避け、慶事には鶏肉などを入れることもある。 野菜からもだしが出て、滋味豊かなやさしい味。 会津地方にはよく似た「こづゆ」があるが