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芥川賞直木賞作家がいない、宮崎県

宮崎県出身の芥川賞直木賞はいない。
なぜか? それは日向神話があるためである。 
私は宮崎出身で、せっせと物書きをしているアマチュア作家。 
10代の頃に発達障害への誹謗中傷のため、解離性障害と複雑性PTSDを発症し、閉鎖病棟に17回入退院を繰り返し、今も療養中。

今年もまた、芥川賞直木賞発表に向けて盛り上がっているが、宮崎県民には無縁の話。
なぜなら、戦後文学は古事記や日本書紀に書かれた伝説などを否定するところから、始まったからだ。 
前に大阪文学学校に出向いたのだが、その合評会でとんでもない目に合ってしまった。 
開口一番、初対面の人から『宮崎県の人は小説を書いてはいけない』と叱責されたのだ。 
よく分からない。
そう言えば、世間話で宮崎神宮の話になり、神宮大祭の話をしたのだ。
その合評会に参加した一人は左翼的な活動をする人で、宮崎県からわざわざ飛行機に乗ってきた、私に激怒したらしい。

宮﨑神宮とは|宮﨑神宮(公式ホームページ) (miyazakijingu.or.jp)

ここは山幸彦と豊玉姫を祀っている青島神社。

宮崎県民なら一度は参拝したことがある、宮崎神宮。
近くには県立図書館や芸術劇場もあり、文化施設も整っている。
この神宮に祀られているのは、初代天皇・神武天皇。

子供の頃に、神武天皇の幼名である狭野尊が遊ばれたという、御池の近くにある少年自然の家で遊んだり、霧島神宮の近くにある高千穂牧場、宮崎神宮の中にある県立博物館の庭でドングリを拾ったりしたが、当時は、いわゆる日向神話が文学や歴史、政治において、どれだけのタブー視されているなんて、ちっとも思わなかった。 
けど、大阪文学学校で初対面なのに叱責されて、その重すぎる重みを痛感した。
私の文学的な原体験は、私の故郷に伝わる神話や伝説などをイメージとして、空想を膨らませるのがいちばん、古い記憶だ。 
御池には森の中を駆け巡る皇子さまが住まわれて、星や月や花を愛でられているのだ、という神話を大人から語り継ぎ、聞いて、空想に耽っていた6歳の私。
数ある文豪の名前を知る前から日向神話は身近だったわけだ。

高千穂神社の御神木。厳か。

宮崎県出身で華々しくデビューした、新川帆立さんの講演会に行ったときも、新川帆立さんは『日向神話をモチーフに小説を書きあげるだけでもすごいと思う』と壇上で言われ、こうも言った。

『相当な覚悟がないと難しいと思う』

同じような言葉を中学時代の国語の先生も言っていた。

『宮崎県から芥川賞直木賞作家は出にくいのは、日向神話があるからだ。どう足掻いたって、リベラル派の作家が多い文壇では、有無を言わさず、疎まれる。ノーベル文学賞を採るような意気込みと覚悟がないと書けない聖地に君たちは住んでいるんだよ』
 
多くの小説を書いている中学生の夢を砕くようなことを先生は言った。
大人になった今、その重みはよく分かる。

実際、河合塾の日本史の先生からも同じように疎まれ、そのせいで私は河合塾を辞めた。
故郷の悪口を聞きたい人なんていない。
その先生は、沖縄県のことは大きくかばっていたが、沖縄県も宮崎県も同じ南国で、てげてげ精神マックスな共通点も多く、多くの県民は似た者同士と思っているが、政治的な意味合いでは随分、違う。

天岩戸神社の前を流れる清流。ここであの天岩戸開きは行われた。

日向神話があの戦争で沖縄の歴史と文化を傷つけ、今でも従兄弟のような沖縄県に軛を差しているからだ。

神武天皇と一度でも検索したら、その重みでどうか、なりそうだ。
宮崎県出身の物書きなら、永遠に逃れられない、それが日向神話。

新人賞でも何度も落選したのも頷ける。
タブーが大きすぎて、自分の筆力と追い付かないのだ。

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日向神話および、神話的なインスピレーションを得て、執筆した拙作も純文学の新人賞に何度も応募するも、一次落ちを繰り返した。
もし、あの大阪文学学校で宮崎出身だから小説を書くな、といったリベラル派の下読みに当たったら、即座に内容の有無や完成度に関係なく、落選だ。

不思議なことに、monogataryで発表すると、総合ランキングで1位を採り、あのYOASOBIの『夜に駆ける』の原作となった『タナトスの誘惑』を抜いて、それからもBEST3位に何度も入った。

私は学歴もなければ、コネもない。
大阪文学学校で言われたように、小説を書く資格はないかもしれない。
それでも、誰かの背中をさするように投稿し続けたい。

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