小窓

通り雨のような情動を

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記事一覧

世界は綺麗だった

蒔いた愛想の分だけ花が咲く。なんてことはなくて、釣り合わないなと苦しいような_____ 僕の目はきっとサファイアでできてたんだ 目に入るものすべてが愛しくってた…

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7日前

こわいもの

「巨大地震注意」 この字面を見たとき、頭のてっぺんから血の気が引いて体が嫌に冷えていく感覚を僕は知っていた。 2024.01.01それは世間が元日の、柔らかく平和に微睡んで…

小窓
2週間前
1

あはん

誰かが、あなたの考え方は綺麗だねって言った。 心臓の 凹んだ音がした。 僕はきっと、また、綺麗であり続けようと微かな、穏やかな呼吸を手放す。 旅に必要なのは愛想…

小窓
3週間前
1

神様を見たことがありますか

高2になって、電車にも荒い運転と安全な運転があることに気づいた。毎朝同じ時間だけ電車に揺られて、工場ロボットのように足を進める。本当に行きたかった場所は海馬の蜃…

小窓
2か月前
5

月の君

「今朝、月が出ていたからまだ夜だと思ったの」 そう言ってはにかむ彼女が登校してきたのは5限が始まる直前だった。 あの大人にも同じように言ったのか「先生に呼ばれたか…

小窓
3か月前

昼下がりの雨上がり

概念としての雨上がり。草花や鉄柵から滴る雫、アスファルトの水溜まり、雲間から覗く薄光は木漏れ日みたいなおひさま。頭の中はこんなに綺麗なのに現実はきったないね。濡…

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3か月前
4

木端微塵

突風が吹いた。櫛でとかしたこの長い髪。玄関のドアを開けた瞬間から嫌な予感はしていたんだ。30分前の後悔。あぁ考えるだけ無駄。音楽がファッションならそれだっていいし…

小窓
3か月前

覚えていたいよ

涙は急に溢れるからまだまだ修行が足りないな こんな日は子どもみたいに泣き喚いて、花畑の真ん中で晴れきった空に慰められたかった 最近は春の風が心地いい 17回目の春だ …

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4か月前
1

顔を知らないあなたと話したい

そろそろ人と会うのが疲れてきたこの頃。早く春が来ればいい。毎日同じ顔みてると飽きてくるなあ。学校が休みなだけ救いなのに相も変わらず現状に満足しない。夜空が降って…

小窓
5か月前
4

夏よ来い

今日、テストが終わった。たった5日でも地獄であることに変わりはなかった。でも案外、友人としんどいしんどいって言いながら眠らない夜を過ごすのは楽しかったりする。こ…

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5か月前

人はひとりじゃ生きられないんだって

うーん、今日は何を書こうかなと思って。日々考えること、感じることを書き留めているメモを見ていた。メモを開いてすぐ、過去の自分がおもしろい発見をしていたので紹介し…

小窓
6か月前

夜明けの海を想像してみて。

一日が始まる瞬間、あまり好きではないです。でも、夜明けという言葉は綺麗です。 そして、海。海は美しいけれど、大きすぎて同時に怖くもありますね。畏れという言葉がし…

小窓
6か月前
2

無印のマサラチャイが美味しいらしい

言葉が好きだ。日本語が好きだ。音楽が好きだ。私は音楽家である。ここでくらい胸を張って言わせてほしい。一歩外に出れば、競争社会の一員で負け犬なのだ。作曲家で、浪費…

小窓
6か月前
4

あの世までの遠回り

耳なんてなければ、誰かの泣き叫ぶ声を聞かなくて済んだのかい。 口なんてなければ、言葉で傷つけ合わずに済んだのかい。この目がなければ、孤独で悲しい夜の底に落ちてい…

小窓
6か月前
1

山あり谷あり、嬉嬉鬱鬱鬱

きっとこうも高頻度で書くものではないと思うのだけど、しょうがない、言いたいことで溢れている。 ここをみんなはどんな場所として使っているんだろうか。教えてくれ。無…

小窓
6か月前
1

NOと言うこと

歳をとるごとにだんだん人にNOと言えなくなる。 ある日は友人から、またある日には家族から言われた「優しいね」。ぼくはその言葉を聞くたびに心底死にたくなる。ぼくはや…

小窓
6か月前
世界は綺麗だった

世界は綺麗だった

蒔いた愛想の分だけ花が咲く。なんてことはなくて、釣り合わないなと苦しいような_____

僕の目はきっとサファイアでできてたんだ

目に入るものすべてが愛しくってたまらなかった
人も動物も草花も、空も海もこの世界に生まれたことが本当に嬉しくて嬉しくって仕方がなかった
生きている価値なんて考えなくて目の前のキラキラが世界だった

声をひとつ震わせる、それだけで喜んでくれたパパとママの顔
しあわせって

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こわいもの

こわいもの

「巨大地震注意」
この字面を見たとき、頭のてっぺんから血の気が引いて体が嫌に冷えていく感覚を僕は知っていた。
2024.01.01それは世間が元日の、柔らかく平和に微睡んでいた夕方突如発生した。根っこから地面が震える感覚に子供が木を揺さぶる景色が見えて、場違いにもなんだか優しい情景だった。揺れている間床にへたりこんで呼吸が浅くなっていくのをどこか他人事のように眺めていた。身体が震えて上手く力が入ら

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あはん

あはん

誰かが、あなたの考え方は綺麗だねって言った。

心臓の 凹んだ音がした。

僕はきっと、また、綺麗であり続けようと微かな、穏やかな呼吸を手放す。

旅に必要なのは愛想といらないものを捨てる覚悟と勇気。

阿呆みたいに蝉が鳴く。俺を見つけてくれよ、と泣く。相手にされないと躍起になって何でだよ!と一際泣く。全部全部お前らのせいだ。
狂おしいほどに愛してたあのメロディ。今じゃ飽きてしまったけれど捨てるに

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神様を見たことがありますか

神様を見たことがありますか

高2になって、電車にも荒い運転と安全な運転があることに気づいた。毎朝同じ時間だけ電車に揺られて、工場ロボットのように足を進める。本当に行きたかった場所は海馬の蜃気楼に溶けていった。規則正しく動く社会で軋む歯車の音が聞こえた。

さて、人生はつまらないという。しかし、つまらないことは人生を悲観する理由にはならないのである。つまらないとは案外素晴らしい。ぼくらはどこにでもあるような道を歩く。しかしずっ

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月の君

月の君

「今朝、月が出ていたからまだ夜だと思ったの」

そう言ってはにかむ彼女が登校してきたのは5限が始まる直前だった。
あの大人にも同じように言ったのか「先生に呼ばれたからちょっと待ってて!」と言って、足早に教員室に向かった彼女はもう30分も帰ってこない。
さて、どうしたものか。部活は疾うに始まっているだろうし彼女が戻ってくる気配もない。先に行くことにしようと思い、ペンを持つ。"先に部室に行っています"

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昼下がりの雨上がり

昼下がりの雨上がり

概念としての雨上がり。草花や鉄柵から滴る雫、アスファルトの水溜まり、雲間から覗く薄光は木漏れ日みたいなおひさま。頭の中はこんなに綺麗なのに現実はきったないね。濡れた土の匂いはあの頃を思い出す。ほら顔を上げて。

最近いろんなことを覚えていられない。昨日何をしたとか、何を食べたとか。あの頃本当に欲しかったものとか。がんばらなきゃ思い出せない。乾いた砂のように両手からこぼれ落ちていく。怖くてたまらない

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木端微塵

木端微塵

突風が吹いた。櫛でとかしたこの長い髪。玄関のドアを開けた瞬間から嫌な予感はしていたんだ。30分前の後悔。あぁ考えるだけ無駄。音楽がファッションならそれだっていいし、恋ってそんなに尊いもの?どうしたってもう生きている!

京都へ向かう。
愛想を纏う。第1ボタンまでちゃんと閉めるよ。外は息苦しいくらいがちょうどいい。肺に少しの僕を残して揺られる満員の電車、座れやしない。ふざけんな。
ただ今日は空が晴れ

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覚えていたいよ

涙は急に溢れるからまだまだ修行が足りないな
こんな日は子どもみたいに泣き喚いて、花畑の真ん中で晴れきった空に慰められたかった
最近は春の風が心地いい 17回目の春だ 桜は散るから綺麗だ いつか春から追い出される日が来ても喜んでそれを受け入れるよ
神様の助けがなくても、僕は生きていける。

世界中で雨が降った日があれば戦争なんて無くなっていたのかな
雨のベールが地球を包んでどこが青くってどこが緑

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顔を知らないあなたと話したい

そろそろ人と会うのが疲れてきたこの頃。早く春が来ればいい。毎日同じ顔みてると飽きてくるなあ。学校が休みなだけ救いなのに相も変わらず現状に満足しない。夜空が降ってでもくれば少しは楽しいかも。夜空の水溜まりを歩いてみたい。

ぼくらにずっとなんて有り得ないんだけど、人間の苦悩はあまり変わっていなかったりする。明治くらいから人は自分の幸せについて考えて、その過程に生まれる不条理や理不尽な不幸にもみくちゃ

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夏よ来い

今日、テストが終わった。たった5日でも地獄であることに変わりはなかった。でも案外、友人としんどいしんどいって言いながら眠らない夜を過ごすのは楽しかったりする。これもあと何回できることなんだろうと考えると少し寂しい。

最近は寒い。なんなら1月とかより寒い気がする、何故。そろそろ夏が恋しいな。キラキラした記憶の中の夏。ぼくは馬鹿だから、夏の暑さを忘れてしまう。きっと夏になっても同じように冬に思いを寄

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人はひとりじゃ生きられないんだって

人はひとりじゃ生きられないんだって

うーん、今日は何を書こうかなと思って。日々考えること、感じることを書き留めているメモを見ていた。メモを開いてすぐ、過去の自分がおもしろい発見をしていたので紹介します。

自分の本当の顔って見たことがない!ていうか一生見れない!!
これは当時結構な発見だ!とめちゃ上がりました。何とか細胞を見つけたあの研究者も、超長い横文字昆虫を発見したどこかの昆虫学者も、こんな気持ちだったのかなって少し分かった気に

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夜明けの海を想像してみて。

夜明けの海を想像してみて。

一日が始まる瞬間、あまり好きではないです。でも、夜明けという言葉は綺麗です。

そして、海。海は美しいけれど、大きすぎて同時に怖くもありますね。畏れという言葉がしっくりきます。

では、夜明けの海。
なんでなのか分からないけど、夜明けの海の言葉のイメージは晩夏、夏の終わりです。薄明かりの中、淡い夢みたいなグラデーションの空。寒色の空気が昇る朝日に照らされながらだんだん暖かい雰囲気を帯びていく。海は

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無印のマサラチャイが美味しいらしい

無印のマサラチャイが美味しいらしい

言葉が好きだ。日本語が好きだ。音楽が好きだ。私は音楽家である。ここでくらい胸を張って言わせてほしい。一歩外に出れば、競争社会の一員で負け犬なのだ。作曲家で、浪費家で、馬鹿だ。馬鹿だけど馬鹿なりに少し自信を持てるのが音楽だった。

もう何年になるんだろう。
苦しかった。生きていけない、もう無理だと思ったあの日から。

初めは単なるストレスの発散だった。抗って、もがいて、走っても進まない逆向きのエスカ

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あの世までの遠回り

あの世までの遠回り

耳なんてなければ、誰かの泣き叫ぶ声を聞かなくて済んだのかい。

口なんてなければ、言葉で傷つけ合わずに済んだのかい。この目がなければ、孤独で悲しい夜の底に落ちていかずに済んだのかい。鼻がなければ、この両手がなければ、足も、脳も、記憶も、思い出も。

ぼくなんていなければ。

きっと違うだろう。そんなことが言いたいんじゃない。耳があるからあなたの哀を抱きしめられる。口があるから苦しいよって泣けるんだ

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山あり谷あり、嬉嬉鬱鬱鬱

きっとこうも高頻度で書くものではないと思うのだけど、しょうがない、言いたいことで溢れている。
ここをみんなはどんな場所として使っているんだろうか。教えてくれ。無知は危険だ。

妄想性障害というのがある。簡単に言えば思い込みが激しい。
ぼくは他人に思考を読まれていると思い続けている。今これを電車で打ち込む瞬間も周りの人間に全てを晒しているんじゃないかって。ずっとそんな気がしてならない。何とも厄介であ

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NOと言うこと

歳をとるごとにだんだん人にNOと言えなくなる。

ある日は友人から、またある日には家族から言われた「優しいね」。ぼくはその言葉を聞くたびに心底死にたくなる。ぼくはやさしくなんかない。そうやって言われるたびに自分の醜さと人から向けられる好意のギャップに耐えられなくなるんだ。

ぼくはNOと言わない。それは自分でも気づいている。むしろ意識的にそうしている。人を否定しない。マイルールと言ってもいいかもし

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