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世界は綺麗だった

蒔いた愛想の分だけ花が咲く。なんてことはなくて、釣り合わないなと苦しいような_____

僕の目はきっとサファイアでできてたんだ

目に入るものすべてが愛しくってたまらなかった
人も動物も草花も、空も海もこの世界に生まれたことが本当に嬉しくて嬉しくって仕方がなかった
生きている価値なんて考えなくて目の前のキラキラが世界だった

声をひとつ震わせる、それだけで喜んでくれたパパとママの顔
しあわせってきっとこんな色だ。


曇りきった眼は空の青さも満足に映せやしない
いつもと変わらない色の世界、変わらない幻想

知らないことが知りたかった

疲れきった世の中じゃ
毎日生きて偉いねって誰も褒めてくれないから
全部全部どうでも良くなくて嫌になっちゃった
きっとただ生きてるだけじゃ自分を許せないんだ

1日くらい生きない日あっちゃダメかな。


あなたのエゴで産まれたんだよ
偶にねそれが酷く憎らしい
愛されたくて差し出した両の手は
風に晒されて錆びれていた

あなたの幸せを喜べないなら
いっそ死んじまおうか

許さないよ 許さないよ
明ける夜があったとしても

貴方の幸せの一部になるから
どうか泣いてないで
私を愛(あや)してよ ねえ
世界はそんなに醜いんじゃないと
あなたが教えてよ
あなたが教えるの。


生まれてこないことが一番の幸せだったって、そうかもしれない。ゴミみたいな世界で、ゴミみたいな社会で、ゴミみたいな人間だと溺れる景色をずっと見ている。それはもう濁って、濁って汚れて何枚ものフィルターで覆われたこの眼。現実を直視するのが怖くて、本当にどうしようもない世界だったら困るから。

うん、でもきっとこの世界はそんなに醜くはなくって。愛したいことを愛せるように、そうできるくらいにはなってるんじゃないかなって思うんだ。冬の夜明けの車窓が素晴らしく澄んでいることを僕はまだ愛している。

小さい頃、いろんなものが大きくていろんなものがきれいだった。美化された思い出の中でも一際光ってるのはやっぱりあの頃のこと。だから今がこんなにも苦しい。歳をとる事に視力が落ちていって世界は不鮮明になっていった。それなのに世界はだんだんだんだん醜くなって、これでもかと現実は近づいてくる。悲しいよ。生きているって悲しいことだよ。長く生きれば生きるほど錆びて、錆びた眼はなかなか元には戻らなくて。くるしいよ。

でも、この眼さえ愛したいんだ。まだ諦められないんだよ。僕の言葉で世界を愛したいように愛して、何度だって殴られて、泣いて喚いて喘いで。その泥臭さにも疲れ果ててどうしようもなくなったらそのときは、死ぬから。どうかそれまでは。

世界は思ったよりきれいだったんだって言ってやれたらいいな

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