覚えていたいよ

涙は急に溢れるからまだまだ修行が足りないな
こんな日は子どもみたいに泣き喚いて、花畑の真ん中で晴れきった空に慰められたかった
最近は春の風が心地いい 17回目の春だ 桜は散るから綺麗だ  いつか春から追い出される日が来ても喜んでそれを受け入れるよ
神様の助けがなくても、僕は生きていける。

世界中で雨が降った日があれば戦争なんて無くなっていたのかな
雨のベールが地球を包んでどこが青くってどこが緑だったか 誰も分からなくなってしまう
そんな日が1日でもあったなら僕ら手を取り合えたのかなって みんなで晴れを願うんだ どうか どうか晴れますように
戦争がなくなっても僕はきっと幸せを受け取れないままだ

塔のない街のことを考えていた
昨日この街で1番高い家に住んでいた男が死んだらしい
ああきっともうあの家は取り壊しだなぁってどこか他人事
果たして高い建物を端から潰していけば人は死なないのだろうか
雨の日は想像力が加速する
また一層窮屈になった街で 空の高さを確かめていた

砂の城 僕の意識を例えるならこれだろうか
土台は大きく広い砂浜 そこからゆっくりゆっくり慎重に
サラサラ流れる砂を掬って 少し水をつけて推し固める 漸くできたと思えば 作っている間に潮が満ちていたようで
波が攫ってしまえば跡形もなく何もかも消えてしまう 少し寂しいなんて思いながら 考えて 考えて
流れる砂を無理やり固めているのだから 上手くいかないことも多くて 何度も何度も同じことを考える
あぁ、海へ行きたい

さて僕たちは明日死ぬかもしれないのだけど
それでも今いなくなれたらいいなと思う夜は少しまずいと思う
もう何度も振り切ったこんな夜
大人はみんなどこで泣いているの?
泣かないことが大人の条件になったならずっと子どものままでいられるのに
僕らの涙は準透明だね

肩に力が入って 肺の手前で酸素を手放すような呼吸の仕方
誰にも気づかれないように息を潜めることを誰もいないのに繰り返してる
よく大人は思春期だからだねって言う 今が苦しいんだってあなたたちも知ってるだろうに
今日は希望が見えない夜
目を凝らしてもほぼやける視界
いらない音ばかり拾う耳

どうか明日は晴れますように

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