生きよ堕ちよ、絶望こそが光である
20代、何者かになりたくて、何者かにならなければいけない気がして、動き続けている時期があった。
資格取ってみたり、セミナーに参加してみたり、講座を受講してみたり。
いろんな仕事にも挑戦して、お金も稼いで、沖縄住んで、海外住んで。
すごい私になりたかった。
すごいと言われる私でありたかった。
でも、動き続けて気づいたのは、「何者にもなれない」ということだった。
どれほど看護師として仕事が出来ても、海外に住んでも、どんな資格があっても、私は何者にもなれなかった。
その事実は、壮大な無価値観として私に襲ってきた。
「何者にもなれない私は無価値なのだ」
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あれほどやりたいことをやり続けた私が、動き続けた私が、無気力になった。
「なにもやりたいことがない」「なにもやりたくない」
自分を見失い、生きる気力も失った。
仕事もやめた。仕事というものが出来なくなった。
朝起きてから、夜寝るまで、「やらなきゃいけないこと」が何一つなくなった人生。
それは、想像をはるかに超えて、辛くて、しんどくて、苦しいものだった。
一見すると、やらなきゃいけないことが何一つない人生は、「楽しくて軽やかで最高なんじゃん!」と思うかもしれない。
家族や友人にも「いいなあ」と羨ましがられたり、「最高じゃん!」と言われたりした。
でも、私にとっては苦痛でしかなかった。
そこから、自分に問いかける日々が始まった。
「私は何で生きているんだろう?」
「私はなぜここに存在しているんだろう?」
「私がやりたいことはなんだろう?」
「私は何者だろう?」
「私はどうしたらいい?」
そして、同時に「私は何者にもなれない」ということを受け入れるようになった。
無価値な自分を愛するようになった。
今ここに生きているだけでいいのだと、自分の存在を認めるようになった。
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そうして過ごしていくうちに、自分に問いかけ続けたことに、少しずつ私の答えが見えてきた。
私は愛に満たされるというのを感じられるようになった。
そして「わからない」ということに関しても、苦痛の感情を抱かなくなった。
どんどん生きやすくなっていった。
自分の見えている世界が変わっていくのを感じた。
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絶望とは望みを絶たれた状態、理想の消えた状態、目標を見失った状態。
こんな時、どこへも行く事が出来ず、ただそこにいるしかない。
目標もないから行くべき先もない、泥に足が埋まっている状態。
苦しさから逃げようとあらゆることに手を伸ばすも、どんどん絶望の淵へ落ちていく。
深い深い沼の底で、私たちは、自分というものを知ることができる、本来の自分が見えていく、と感じた。
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絶望を見るのは怖い、暗闇に落ちるのは怖い、とコーチングをしていてよく聞く。
それはよくわかる。だって私も怖かったから。
でも、「私は今、絶望のどん底だ!」という話を聞いたとき、「おめでとう、良かったね」「これからが本当の人生の始まりだね」と私は声をかけたい。(実際にはそんな声はかけないけれど。笑)
闇に落ちて、あなたは本当の光を見つけることができるでしょう。
闇に落ちて、あなたは本当の自分と出会うことができるでしょう。
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最後に坂口安吾の一文を紹介する。
この一文がものすごく本質をついていて、私はこの言葉に何度も救われた。
生きよ堕ちよ。by坂口安吾。
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