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源氏物語って何?

源氏物語って何?

大河ドラマの「光る君へ」が話題になっていて、じゃ、源氏物語を読むんだったら、与謝野晶子版か谷崎潤一郎かという話題になってしまっていた。

私にはどちらも難しく挫折してしまっていたのだった。

もう、昭和の文章でさえ、現代訳が必要なほど私たちはへだたってしまった。彼らは江戸文学の素養があり、それが理解出来ないと読み込めない。

私は大学で樋口一葉を現代訳して勉強した。そのあたりのことは皆ほとんど知ら

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豊かさの代償

豊かさの代償

大塚ひかりさんはかつて源氏物語の現代訳をされたらしい。
この本、嫉妬と階級の「源氏物語」は源氏物語の理解を求めることからはじまった歴史研究を踏まえての集大成だと思う。源氏物語は豊かさと権力を求めた人たちがどう変化していくかを描いた物語だと思う。

大塚さんが書いている通り、源氏は、義理の母と密通することにより、息子を天皇にまでした皇子、光源氏が妻に密通される若菜の巻まではさほど面白くない。たぶん、

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駅前のベンチ

駅前のベンチ

私の町の駅前の商店街にはベンチがたくさんある。
コロナのとき、コンビニの前のベンチが撤去されて寂しかった。
でも、今では復活し、それどころか増えたと思う。

元々寂れた商店街に来る人は老人が多かった。
駅前のお掃除しているお年寄りたちが配慮したのだと思う。

しかしながら、今は車を持たない若い人も多い。
そうなのだ。田舎は仕事が少なく、支え仕事をしている人は収入が低い。
よその町に行ってしまう人が

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好きな小説5

好きな小説5

柴原友香の「その街の今は」は大阪での青春を描いた小説だ。
私はこの一作しか読んでない。たぶん、彼女のファンはもっとこれがいいというのがあると思う。
だから、語るにはちょっとおこがましい感じがするのだ。

しかし、寂れきった上町台地を歩いていると、この小説になかにある写真の失われた家族の写真が蘇るのだ。

私は若い頃、本町界隈でバイトしたことがあるので、ヒロインが働くあたりに既視感がある。彼女の働き

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心に残る映画と名作は違っていたりする

心に残る映画と名作は違っていたりする

ちょっと、休憩。
川上未映子の小説を読んでいて思い出したのは、脚本家の山田太一の最終作の小説である「空也上人がいた」である。同じく性的な経験が乏しい中年女性の話だった。テレビドラマでできない話。たぶん、恋愛とは性的なあこがれをふくむから描けない世界なのだ。彼はそういった人も描きたかったんだなあと思った。

彼の小説はドラマではできないものに挑戦したものが多い。
その中で一番知られているのはオカルト

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好きな小説4

好きな小説4

一応、ベストテンということなので、続けます。
川上未映子は評判が良かったので、まず、読んでみようと読んだのが、彼女の「すべての真夜中の恋人たち」でした。ほーっと思って大好きになった。

かの小説は性的な接触が苦手な女性の恋愛の話だ。性的接触が、一生なかったり、遠のいている人は私の観察では結構多いと思う。
昔、小学生のころ公園で性器を見せつけられて、性が怖くなった女性の話を読んだ。
その程度のことっ

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好きな小説3

好きな小説3

ますます、ダラダラと書く。西村賢太が死んだあと、NHKが特集を組んでいた。再放送もされていたのだが私は見れなかった。

気になる作家だった。私は芥川賞を取った「苦役列車」といくつかの短編集を読んだ。色んなところに突っかかるので、だんだんメジャーな仕事は無くなったので、やがて読まなくなった。

彼はそれでもコツコツと作品を紡ぎ出していたようだ。
彼の話で思い出すのは「すき家とかのどこが悪い。今どきの

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好きな小説2

好きな小説2

好きをだらだらと書いていく。
最近に発見したなって思ったのは原民喜の「夏の花」。原民喜のことは昔の文壇もののエッセイで名前だけ知っていた。奥さんと白樺派の作家に応援を頼みに会いに行ったとき、引っ込み思案で喋れなかった話だった。
愛された人なんだなって感じだった。
原爆直後の様子のメモを元に描いた、「夏の花」で、これは東日本大震災のときの社会学者の方の聞き書きと同じだなって思った。人は自分の傷を隠す

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好きな小説

好きな小説

今まで読んだ中で好きな小説について言及してみたい。多分、その時の気分で変わるもんであろうけど。なんだろう、小説っていいですよね。こういうものはベストテンがいいのかな。

子供の時読んで好きだなって思った最初の小説は、シャーロック・ホームズの「パスカビル家の犬」古典すぎるけど。それからイギリスの推理小説が好きになった。
色々と読んだけど、AAミルンの「赤い館の秘密」とかが印象に残っている。暗いんです

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命とともに与えられたもの

命とともに与えられたもの

菊池真理子さんの神様の家に生まれましたを読んだ。
コロナ禍のなかカルトに戻っている人がいるという噂があった。私がファンだった、樹村みのりのヤマギシ会について警告した本が復刻されていたりした。その流れの作品だなって、この漫画についての評判を聞いていた。
そして、あの事件が起こってしまった。

信仰とはなんだろう。かつてあった、日常に殺戮がお互いに繰り返される中で何かにすがっていないと生きていけない世

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「ブスなんていわないで」を読んでみた

「ブスなんていわないで」を読んでみた

お勧めにあったので読み始めると夢中になった。特にミスコン編で某コンテストに物申すとこでそうだよなって思った。今、多様性っていうけど、美人を前提に障害者とかが選ばれる。
実際、今の障害のある人はきちんとしているけど。というか、今は化粧法とか栄養管理で努力すれば感じよくできるのである。そう努力すれば。
もちろん、それは大切だ。でも、できない人は必ずおり、そこで差別化される理不尽はたまんないのである。

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世の中は螺旋状に変化している

世の中は螺旋状に変化している

貧しさというのは諸悪の根源で代々に受け継がれてもいき、人の嫌がる仕事はどうしても必要な仕事であり、それをやりたくないという人の業があるんだと思う。その仕事に留めるために抜け出せないようにするのが一番だ。
貧しさとはそういう罠から始まったのかもしれない。
今の少子化というのは自分の子供にそういう目にあってほしくないという無意識の結果かなって思う。

残酷な言い方をすると人が簡単に死ぬ世の中では、どん

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