記事一覧
第9話 スポンサー活動への同行
18歳の時だった。
静岡の港町から上京し、私は武蔵野にある大学に通っていた。はじめは自分でアパートを借りていたが、すぐに山岳部が共同生活をする古い木造一軒家に引っ越しをした。野口健、田附秀起、長尾憲明という先輩方がそこに住み、マネージャーの宮上邦子が、そこに入り浸っていた。
1998年当時、「七大陸世界最年少記録」を目指していた25歳の野口健は、その夏、七つ目のエベレストに登頂するという目
第四話 タルチョたなびく武蔵野の一軒家
入試で初めて訪れた武蔵野市は、地元の静岡よりも樹木が多く、東京とは思えないような緑に囲まれていた。
駅から大学までの道には「スタジオジブリ」があった。
それは木々に囲まれ、小さな森のようだった。
そして亜細亜大学は、より大きな樹木に囲まれ、受験会場の教室の窓からも木々の梢が何本も見えた。
高校の教室で感じていた無機質感はなかった。
付け焼刃での受験だったが、ここから何かが始まる良い予感しかしな