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緑の風に吹かれて【日常エッセイ】

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自由気ままに書いたココロのエッセイです。
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2018年10月の記事一覧

彼女のダイエット。

彼女のダイエット。

そういえば、うちの奥さんがダイエットにと通販で(勝手に)買ったワンダーなんとかという商品。

腹筋とか体を鍛える道具なんだけど、結局、彼女は2週間くらい使って、飽きてしまったみたいで放置状態に。で、まったく興味はなかったのだけど、もったいないと思った私が使い始めて1年以上経過している。

おかげで歳の割にはお腹は出ていなし、毎朝、体脂肪とか計れる体重計は、私の体年齢を実年齢よりも13才も若く表示し

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うれしいんだか、悲しいんだか。

うれしいんだか、悲しいんだか。

この頃、仕事が忙しくて、いつも帰りが遅くなる。うちの奥さんは、翌日のパートが朝、早いときには先に寝ている。(もちろん了解の上で。)

朝は朝で、彼女は早くに出掛け、私はそれからようやく起きて、テレビのニュースを、まだ、はっきりしない頭で、パンを食べながらぼんやりと眺める。

そんなすれ違いが少し増えてしまい、だめだなぁと思いつつ、しょうがないなぁとも思っている。だから、大切なことを知らせたいときは

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天気がいい日のヘンテコなルール。

今朝はとてもいい天気。
窓のカーテンを開けながら
私は元気に奥さんに言う。

「なんていい天気だー!」

そして続けて彼女が言う。

「仕事をしている場合じゃないぜー!」

そして私も言う。

「そうだそうだー!」

そして彼女が言う。

「遊びに行くぜー!」

そして私が言う。

「そうだそうだ!行くぜー!」

そんな高いテンションの中
二人はそれぞれに職場へ行く。
(彼女はパート勤め。)

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少し泣いて、少しうれしくて。

少し泣いて、少しうれしくて。

私の大好きなスーパー銭湯へ車を走らせた。

小一時間のその場所は、私の唯一の癒しの場所だ。2カ月に一度、訪れている。とてもいい天気だ。ここのところ仕事も忙しかった。この日を楽しみに頑張ったと言ってもいいくらい。

それくらい私のお気に入りのスーパー銭湯が・・・

潰れていた。

文字通り潰れていたのだ。まさか経営難だったとは。ショベルカーが数台、駐車場にあって瓦礫の山がいくつもあった。入口のあたり

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秋風と彼女のハミング。

秋風と彼女のハミング。

夕暮れの出張帰りの電車の中、相席の見知らぬ彼女は、とても幸せそうにハミングをしていた。小さな耳には、うすピンク色のヘッドホンが、子猫が膝で眠っているみたいに、具合よく収まっていた。

あんまりにも楽しそうなものだから、思わず歌い出してしまわないだろうか?と私はそんな心配をしていた。でも、針金をピンと入れたような、美しい姿勢の彼女にしてみれば、そんな心配はなく、ただ、流れる景色の中、その静かな時間を

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僕の心の旅が始まった。

奥さんに「明日、出張に行くから」と言った。

ちょっと大きな都会だ。

すると彼女が「わたしも連れてって」と言った。

「それは無理だ」と僕は言った。

当たり前だろう。

すると彼女は

「じゃぁ、ポケットに入れて連れってって」と言った。

そして、さらに

「顔だけ出していいから」とも言った。(なんだそれは?)

あれ?これって・・・と思った瞬間、

僕の心の旅が始まった。

あー、だから今夜

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こんな小さな幸せなこと。

こんな小さな幸せなこと。

こんな小さな幸せな出来事があった。たまたま朝の通勤ラッシュと時間がずれてたせいか久しぶりに電車の席に座れた。(これも私にとっての小さな幸せ。)

ふと気が付くと、私の目の前に、若い母親がやっと首がすわったくらいの赤ちゃんをひざに抱えて座っていた。それはもう目がくりくりっとしていて、本当にかわいい赤ちゃんだ。

それにしても、赤ちゃんって、どうしてあんなに人の目を見つめるんだろう。目の前にいる私をじ

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自分に近い同じつながり。

自分に近い同じつながり。

電車の中で、時々なんだけど
女性を見て、”はっ”となることがある。

別にきれいな人だとか、好みのタイプだとか、そういう意味とはまったく別で(もちろん、そういうときもあるけれど。)これはうまく説明出来ない。その人の雰囲気というか、まわりの空気というか、その瞳から感じるオーラみたいなものとか。そういうものが”自分に似てる”と感じ取り、瞬時に”はっ”となってしまうのだ。

もちろん、容姿も性別も、まっ

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風と彼女とコスモスと。

風と彼女とコスモスと。

うちの奥さんと車に乗って
コスモスのきれいな場所へと出かけた。

窓を開けて朝の心地よい風が流れると
彼女の髪がサラサラと揺れた。

窓から道端のコスモスを見つけて
もう彼女は、はしゃいでいる。

そして、急に思いついたように
僕にこう聞いてきた。

「ねぇ、コスモスって漢字、なんて書くかわかる?」

ドライブと音楽に夢中だった僕は
いきなり聞かれて、すぐに思い浮かばなかった。

「えぇと桜があっ

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村上春樹氏による被害

村上春樹氏による被害

駅前に私のお気に入りの古本屋があって、ちょっとした時間があると、私はそこでよく時間をつぶしている。もちろん、気に入った本を見つけると買ったりもしている。

最近そこで買ったのは、村上春樹氏の”TVピープル”という短編小説。昔、買ってはいたのだけど、どこかなくしてしまった。もう一度読み直してみたいと思った。

私は村上春樹氏の大ファンだ。特に彼のエッセイや短編モノは、まるでマンガ本を読むかのように、

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新しい朝と希望の朝。

新しい朝と希望の朝。

いつもより早く目が覚めてしまって
仕方がないので、パソコンをつけて
誰かのエッセイを読んでいたら
なんだかとてもうれしい気持ちになって
気づけば知らないうちに
窓の外が明るくなっていた。

そんなとき、ふと、このメロディが心に流れた。

新しい朝が来た。希望の朝だ。

あの夏、子供の頃には
たぶん、気づいていなかったけれど
なんて力強い言葉なのだろう。
なんて素敵な詩なのだろう。

もしかしたら、

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時の海辺から。

時の海辺から。

海が見たいと思った。

満員の通勤電車の中
ぼんやり僕は考えていた。

ガタン、ゴトンと揺れるその度に
誰かのしかめっ面がまたひとつ増える。
そんなに面白くないのかなぁ。
僕たちがいるこの場所は。

いつから僕たちは
海を見なくなったのだろう。
いつから僕たちは
海に背を向けたのだろう。

幼い頃、あんなに好きだったはずなのに。

このままあの海辺まで、”帰りたい”と思った。
別に今の仕事から逃げ

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おはようのまほう。

おはようのまほう。

今朝は随分と冷え込んでいる。
やっと、秋本番といったところか。いや、少し秋を通り越して、冬の足音が聞こえてきそうな感じだ。吐く息が、もう少しで白くなりそう。

昨夜、奥さんが街の指定のゴミ袋にたまったゴミを入れて玄関に用意してくれていた。それを今朝、私が指定の場所へと出しにゆく。その場所は家から少し離れたところにある。朝の冷たい空気の中、ゴミ袋を片手に歩いていると、中学生くらいの男の子が、自転車で

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ほうきにまたがって彼女は。

帰りの電車で、よく見かける女の子がいる。

中学2年生くらいだろうか?私服だからよくわからない。学生服でもわかんないだろうけど。まぁ、それはともかく、大きな黒い瞳がとても印象的な女の子だ。

たぶん、そのカバンから思うに塾の帰りなのだろう。夜10時に近いというのに、こんな遅くまで勉強とは。なんて世の中だ。

電車の中でいつも彼女は、ひとりで本を読んでいる。

それで気になるのが、その彼女の読んでい

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