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永澤 護 /dharmazeroalpha
2021年11月15日 08:21
詩誌「潮流詩派」掲載作品 その日の放課後 学校で あいつは「生徒指導係の人」に突然呼び出された「いったい何があったんだ! なぜそういつまで黙ってる! お前なあ、この俺と話すの嫌なのか? あァ?」(……何が起こったのかなんて いったいどうして話せるんだ? 誰一人そんなこと望んでやしないじゃないか! そんなことを俺が話すことなんか 誰も 要するに やつらの思う通りに「大したこ
2021年11月14日 13:39
詩誌「潮流詩派」掲載作品夜 子どもが部屋にいる その部屋の窓に 見知らぬ顔が現れる 見知らぬ顔? いや それはいつか別の日の 子どもの顔だ 知らぬ間に その傍らを通り過ぎてしまった 別の日の顔 ちょうど独り部屋にいて ふと気づくと ついさっきまでそこにあったはずの何か 例えば机の上の 一枚のスナップ写真が どうしても見つからなくなってしまったような そしていつしかそこには 見知らぬ
2021年10月31日 10:35
*179号(1999.5/18-19作成) 詩誌:潮流詩派 掲載あの街にもう一度出逢いたい もう三十年以上も前のこと夕暮れ時になるといつも角の駄菓子屋で僕は牛乳を一気飲みした街で初めてのスーパーができた駄菓子屋もスーパーも楽しかったでもいつしか駄菓子屋だけがどこかへいってしまった怪獣のカードが毎日毎日増え続けていったTVもどんどん面白くなるウルトラマンやウルトラセブ
2021年11月6日 11:39
詩誌「潮流詩派」190号 [状況詩篇] 掲載やがて回帰する少年Aの傍らで 彼が一体誰なのか 私は何も知らないただ私は 彼に関わる言葉の断片から彼の喉の奥底に刺さった 微かな時間を思う母親は 「この子を生んで…」楽しかっただろうかこの子といるだけで幸せだと感じるときがあったのだろうか母親は彼に聞いた「これ本当にあったことなん?」彼は答えた「いいや。違うけど、こないして書い
2021年11月7日 09:32
詩誌「潮流詩派」191号掲載 [2000年頃作成]休日買い物に出かけようと思った脳裏に最寄のキャッシュカードコーナーの映像が浮かんだいつもの様にそこには笑顔にみちた店員たちがいるその点については今でも疑い得ないその明るい部屋にはいつもの様に多くの人々がいて静かに金を出し入れしていくそんな光景が絶えることなく繰り返されていたはずだった今彼は突然「責任」を
2021年11月8日 13:07
*詩誌「潮流詩派」掲載 (1999作成)舗道の上に放置された 行き倒れの人々は誰の眼差しも求めはしない ただ黄昏の中で 誰も知らないバラックへと運び込まれていくだけだ たとえ その場で息絶えなかったとしても いずれ 消えていく 我々の すべての 眼差しから我々だって? そうじゃない 思い出せ バラックは いつの日か 廃墟となった病院だった お前は覚えているのか
2021年11月8日 13:47
あの空にもう戻れないあの土と草と砂にあの浜辺で君と出会うことはできないそこで君と語り合うこともないいつか君とそこにいたはずの世界はもうここにはないでも もうないというそのことを君はなぜわかるのか?僕にはまだわからないのだあの日以来君と僕がそこでなにを感じてなにを失ったのかまだ---2012/05/30作成
2021年11月8日 15:10
詩誌「潮流詩派」189号掲載もし 終わり無き記憶が終わり無き悪夢だとしたらいつもと変わらない透明な午後の日差しのもと人々を不可視の戦いへと駆り立てる聖なる言葉が一瞬の閃光とともに繰り返し 果ても無く降り注いでくるこの閃光と言葉との終わり無き絆ああ もしそれをこの私が断ち切れるのなら…いつもと変わらない透明な午後の日差しのもとやがて閃光に包み込まれる街角で俺
2021年11月9日 10:35
詩誌「潮流詩派」193号掲載作品『エチカ』第四部定理五私たちの感情Passioの力が増大することその感情があくまで自らに固執することそれは私たち自身の力によってではなくむしろ私たちの外にある何かの力よって決定されるその何かが他者だアジアの大地を旅するカップルがいた一人旅の途中で男は女に出逢った女の意識は遠い彼方のいつの日かすでに「途切れ」ていて家族は女を二度と帰れない旅
2021年11月9日 17:08
似顔絵作りの(偽)技法は 宇宙の居所など何にも (Naa--nnimo)気にしてなーいうら若き 懐かしの裏路地の床屋の娘 だけが 密やかに知っている と まだ実際「乳」臭いスーパーマーケットの誕生などには 本当の話たーいして小躍りすることもなかったこのうら若かった私は 心の奥底で 言い換えれば 「母=女神(ディーヴァ)」の背中で 赤き否青白き?)乳
2021年11月10日 05:43
詩誌「潮流詩派」202号掲載作品(タイトル改変)誰もいない街路で半透明の貝殻を握りしめる音も光もない部屋で玩具を捨てるテレビが点いて消えた夢の中で子どもが叩かれている今砂浜から鳥が飛び立つこれら言葉たちに私は再び出会ったあたかもデ・キリコの描く 予感に満ちた街角で自転車に乗った物言わぬ少女に偶然出会ったかの様にこれら言葉たちに私は暫くぶりの挨拶を交わすもしこ
2021年11月11日 09:22
今は無き下水の地平から 蚯蚓のふやけた腹が覗く 隣の飼い犬に踝(くるぶし)を噛まれた裏路地 そのとき私は何一つやるべきことが無かった小一の遊び人で だるいダリを尻目にフェルメールの水差しの女が 路地裏の銭湯で水浴しているのを知ってはいたのだが ベル研究所に勤務するその飼い犬は グラハム・ベルが鳴らす ベルに涎を垂らす代わりに あの日の午後この踝を噛むように 条件付
2021年11月12日 15:56
詩誌「潮流詩派」196号掲載作品 その少女は 実父とその遊び仲間から受け続けていた性的暴行から逃れるため保護された 当初は呼びかけにも応えなかったが 周囲の者たちの支援と 本人の努力により 自分自身のことを書き 話すことができるようになった 今は青果市場で働いている その市場での彼女の話だ 「ここにきて 毎日いろいろな人と話します私には初めてのことです 今までは一緒に話す人が全然いませ