今は無き下水の地平から
今は無き下水の地平から 蚯蚓のふやけた腹が覗く
隣の飼い犬に踝(くるぶし)を噛まれた裏路地
そのとき私は何一つやるべきことが無かった小一の遊び人で
だるいダリを尻目にフェルメールの水差しの女が
路地裏の銭湯で水浴しているのを知ってはいたのだが
ベル研究所に勤務するその飼い犬は グラハム・ベルが鳴らす
ベルに涎を垂らす代わりに あの日の午後この踝を噛むように
条件付けられていたのか いや 真相は呆気ない程に単純だ
自らは受け取った手紙を読むことはない電話局 その傍らに佇む
詩人が 言霊に呼びかけられ醒めることの無い夢を見るように
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