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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#哲学

北川東子「ハイデガー」NHK出版

北川東子「ハイデガー」NHK出版

ハイデガーの「存在と時間」を前に途方にくれているのもつまらないので、入門書!ということで図書館でこの本を借りてきた。「シリーズ・哲学のエッセンス」の中の一冊だ。こういう入門書は大事だよなぁ^^!

「存在」の専門家がいてもいいじゃないか?

そんな問いかけから始まった。ハイデガーが試みた「基礎存在論」「現存在分析」。これで我々の存在をある程度考察できる。存在論とは「存在そのもの」について考える思考

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岡本太郎「青春ピカソ」新潮文庫

岡本太郎「青春ピカソ」新潮文庫


久しぶりに岡本太郎の言葉のシャワーを浴びた。爽快だ。彼は42歳にして晩年のピカソに会い、談笑し、アトリエに招待され、デッサンまで贈られている。ピカソも岡本に通常見せない親しみと愛情を降り注ぎ、熱く手を握り、二人のインスピレーションは見事に調和していた・・。

そんな岡本が吐いた言葉は

「ピカソに挑み、のり越えることが我々の直面する課題である」

「神はたおされなければならない」

「ピカソが今

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泉谷閑示「『普通がいい』という病」講談社現代新書

泉谷閑示「『普通がいい』という病」講談社現代新書


健常者と異常者の境目とは何なのか?
中原中也は「病的である者こそは、現実をしっているように私には思える」といっているように、正常を約束しているものは世間一般の常識などに過ぎない。

「ノラの家」で最後にノラが「妻、母親である以前に自分自身に対する義務」をもって家を出て行くとき、夫は「きっと病気だな、正常ではない」と切り捨てる展開も同じコンテキストだ。

健康にこだわっていること自体が実は非健康的

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コリン・ウィルソン「アウトサイダー」紀伊国屋書店

コリン・ウィルソン「アウトサイダー」紀伊国屋書店


1957年発行セピア色の古書を県立図書館で借りて来た。
表題がいい!俺は「永遠のアウトサイダー」だと思っているから、読んでみようと思った。

この本は中学も出ていないコリン・ウィルソン青年が昼は大英図書館で独学、夜は皿洗いという生活をしていたところ、ある評論家にスカウトされ、出版したところ、大変なベストセラーに輝いたという作品らしい。基本的にここでいう「アウトサイダー」は「インサイダー」の秩序に

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鈴木大拙「大拙つれづれ草」読売新聞社

鈴木大拙「大拙つれづれ草」読売新聞社

鈴木大拙は金沢が生んだ世界的な仏教哲学者。単なる国内研究者ではなく、英語で日本の仏教思想を広く翻訳し、広めたという点で他を圧倒している。キリスト教の素養もあり、仏教を客観的な視点から実に深く観察している。俺が一番面白かったのは「エデンの園」と「自由」に関する考察だった。キリスト教的な思想では必ず一神教の神が存在し、その対象あっての自由であり、幸福ということになるが、そうすると自然と人間の位置は確定

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千葉望「ワダエミ 世界で仕事をするということ」新潮社

千葉望「ワダエミ 世界で仕事をするということ」新潮社

黒澤明監督「乱」の衣装デザインでアカデミー賞に輝き、北京オリンピックでは開会式パフォーマンスの衣装デザインを中国の若手演出監督、陸川監督の情熱的なオファーで引き受け、中国のアーチスト達の尊敬を集めた。京都の実業家の家に生まれ、気鋭の演出家和田勉と結婚し、自分の哲学を貫き通してきた。ワダエミの哲学とは「自分の言葉で、自分の意見を語ること」「組織に頼らず、一人で立ち向かうこと」「一度信頼した人は徹底的

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