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80'sの詩

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80'sの詩をまとめてみました!!読んでいただけたら、嬉しいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 宜しくお願い致しますm(_ _)m♡♡♡
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2024年1月の記事一覧

詩「彩、ふたたび」

詩「彩、ふたたび」

「この荒れ果てた大地に、また花が咲くとは思わなかった。」
彼女は、静かに、そう口にした
私達は、神妙な面持ちで、其の声の湿度を想った

この大地にどんな事が起ころうとも花は咲くのだ
(人間だけが、様々な手段で汚してきた。)
人の想像を超えた異常な事態は、未来を信じる力さえも奪った

人の記憶は消えて行く
しかし、大地は憶えているのだ
かなりの時が過ぎて行ったが
去るのは活動している者のみである

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詩「ガラクタに抱かれて」

詩「ガラクタに抱かれて」

吐き出したい言葉が
見つからなくて
ボールペンやシャープペン
紙の中で
私は眠った

使わなれなければ
ゴロゴロと頼りなく
転がっているだけ

日付が過ぎた新聞紙は
何百年後にはお宝だけど
忘れ去られた記憶の渦に
私と一緒に回っている
読まれなければ刻まれない
ただ、真っ白
私の頭の中

積もり積もった物の中で
私は生まれ
私は育ち
そうして
その欲望の数だけ
私は枯れる

目に映るガラクタで創造

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詩「スローリィ」

詩「スローリィ」

花の盛りを通り過ぎ
お互いを静かに見つめ合い
胸に灯火がともる
季節の移ろいと共に

ゆっくり時間を肌で感じて
最期を意識するのには
まだ
はやい

スローリィ
スローリィ
ゆったりとしたステップで
もう一度…
景色も
ゆっくりとくるくるまわる
優しい眼差しのあなたと

スローリィ
スローリィ
二人だけの日々を抱いて
生命の鼓動を刻んで
私達だけの独特な特別なリズムで

詩「大樹の根元で」

詩「大樹の根元で」

或る晴れた日
レジャーシートをひかないで
大樹の根元に
寝転んだ
土を全身に浴びて

眩しい光が
粒になって
私の顔に首に
いそがしそうに
降り注ぐ
私は
軽く
息を吸い込む

現代社会に付けられた
肩書きは
投げ捨てて
素のままの自分で
からだで唸ろう

右耳から左耳へ
白い龍が移動した
カセット時代の聴覚は奪い去られた
目の中に
ぼんやり曼荼羅模様が浮かんだ
ショーウィンドウに飾られた欲望が消

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詩「才能」

詩「才能」

使い古された机の上に
奇妙な点が
四つ、五つ、六つ

それは何かの暗号かい?
宇宙に助けでも呼んでいるのか?
「すぐ、消したまえ」
と先生は言った
意味もなく周囲は笑った
気味が悪いと私は眉をひそめた
それでも、彼は止めなかった

七つ、八つ、九つ
上に、下に、中央に
いつしか私は、彼の手の動きに合わせて
その奇妙な点を眺める様になった
書いている彼の口元は微かに微笑んでいた
それでも、私の目は冷

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詩「幕間」

詩「幕間」

ステージに立って
様々な役を演じてきた

主役
脇役…
そういえば
背景に溶けた日もあったっけ?
いつでも
私は
相手に
伝えようと
必死だった
我武者羅だった
何かを訴えようとしていた
聞いてもらえない日もあった
感情を投げつけられた日もあった

仕方ないのよ
言葉を着飾らなきゃ
誇張しなきゃ
誰も振り返ってはくれないし
目立たないと
そこにある意味を
感じようとはしてくれないから
化粧は嫌いじ

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詩「静電気」

詩「静電気」

廊下を歩いていた時に
ふと
手と手が触れ合った
完全に
意図しない接触
マイナスの電気があなたに移動して
バチバチッと
私の手にも電流が流れた
決して目には見えない刹那の煌めき
胸の疼きにも似た傷み
小さな雷に打たれた
運命という名の放電
私は酷く狼狽した
(いつも、あなたの存在が予定調和を狂わせる。)

違う者同士が惹かれ合う昔からの因果
教科書にも載っている自然界の理科の法則
最初から
上手く

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詩「再放送」

詩「再放送」

テレビに向けて
リモコンのスイッチを押すと
ふいに
ドラマの再放送
タイムマシンなんかなくても
いきなり
あの頃の自分にタイムスリップ
心は宙に浮いたまま

再放送を観る度に
何度も
甘酸っぱくて
あの形容しがたい感情が
バイオリズムの様に
上がったり
下がったりした

テレビの画面から
青春の香りがする
セーラー服のスカーフの三角の部分を
最後まで出せなかった
口を横に結ぶのが癖だった
ドラマの

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詩「宇宙ステーション」

詩「宇宙ステーション」

トランク一つ持って
宇宙ステーションに降り立った

宇宙が果てしないって
知らなかったら
地球が丸いって
理解していなかったら
もっと
もっと
大切に出来たのかな?

地球は限界だった
私は居場所を失った
此処は
息が続かない
何処からか
風も吹かない
湧き出る様な
汗もかかない
だから
喉も渇かない
私の故郷は地球だった
青い
青い
水の惑星

宇宙ステーションで立ち尽くす
包囲磁石は役に立たな

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詩「空想指定都市」

詩「空想指定都市」

現実から
逃れて
はるばるやって来た
誰かが
造った
空想指定都市

建物の外観は
素晴らしく
感動すら覚えるけど
中身は恐らく未完成
現実とリンクする価値感
内面重視される日はいつか

突き抜けろ
じゃないと面白くないだろ?
弾けろ
生命を燃やせ
飛ばして行こうぜ
常識の壁をぶち壊せ
奇人変人
称号だろ?
そんなの
意味不明が当たり前
文字も記号も
解読出来ない位が心地良い
結末も
二転三転した

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詩「残したいもの」

詩「残したいもの」

私が
最後に
残したいもの

他愛ないあなたとの笑い話
今まで受け取ってきた沢山の人々の優しさ

それが
ここに生まれてきた証
私は
そう
信じている

風が今までの苦しみを連れ去り
暁の空が胸いっぱいに広がる
夜の闇を星が優しく照らし
月は姿を変える
この世に全く同じ瞬間は
二度と巡っては来ない
私にも
同じ感情は二度とない
魂に何かを残すのなら…

辺りが静寂を包む
この選択は間違ってはいない

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詩「自転車」

詩「自転車」

このペダルを漕げば
私の気合い次第で
どこまでも
どこまでも
遠くへ行けると信じていた
坂を下れば

風とひとつになる

道すがら
人に助けて貰った優しさが
タイヤと一緒に
くるくる回る
絶え間ない人の想いが
強い
強い原動力となる

風を切って
前へ
進め


まるごと
自分自身を好きになって
ぐんぐん
加速していくの

詩「後ろ姿」

詩「後ろ姿」

君の白く大きな手は
いつも
不安定に宙を彷徨っている
口から
溜め息と一緒に
使わない方程式を吐く

虚ろな目は
私なんか見ないで
黒く光ったアスファルトばかり

駅のホームの階段で
肩を落として
座っているんだろう?

未完成な黒い後ろ姿を
横目で見ながら
「ここにいるよ?」
と呟いた

きっと
優しい形をして
棘のないようなモノの方が
刺さった時
抜けなくて
苦しいのを
僕は
知っている

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詩「電車の片隅で」

詩「電車の片隅で」

私は
あの日
確かに
見たのだ
電車の片隅で
一人の人間の優しさが大気に溶けていくのを
見たのだ
(あの人の優しさは、ほんのりとした薄いピンク色でした。)

その人に直に触れていないのに
不思議と
人間の温かさを感じたのだ
人の罪を断罪するのとは違う勇気を
言葉ではない
あつい想いを
魂の救済を

ピンと張り詰めた車内の空気が
一気に
ほぐれた
その人の優しいリズムと共に
私は
電車に
揺られた

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