詩「電車の片隅で」
私は
あの日
確かに
見たのだ
電車の片隅で
一人の人間の優しさが大気に溶けていくのを
見たのだ
(あの人の優しさは、ほんのりとした薄いピンク色でした。)
その人に直に触れていないのに
不思議と
人間の温かさを感じたのだ
人の罪を断罪するのとは違う勇気を
言葉ではない
あつい想いを
魂の救済を
ピンと張り詰めた車内の空気が
一気に
ほぐれた
その人の優しいリズムと共に
私は
電車に
揺られた
理不尽な感傷で
いつもは
足早に立ち去ろうとする
この道も
今日だけは
違う感情で満たされていた
私は
久しぶりに
悲しみではない
涙を流したのだった
″ありがとう″
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