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職場でイジメられていた女の子を助けたのに気づいたら嫌われていた、というお話


「関心とはチャンスであり、無関心は出会うことすら拒否されることである」


本日の格言です。

この意味が、記事を読んで突き刺さることを祈ります。




1.社会人のイジメが見るに耐えなかったカースくん

私は委託業務として、あらゆる職場を転々としていました。

当時業界としてはベテランの域だった私も、今回のお話の職場では新人に位置していました。

基本的に男社会の業界(この時点で私がこの業界に入ったのは必然と言える)なので、女性はごく僅か。

たいては入社後にすぐ辞めてしまい、残った女性は逞しい人が割合を占めている印象です。

そんな中、件《くだん》の女性は珍しいタイプでした。

体は(グラマラス)大きいのに、態度はナヨナヨした感じ。

庇護欲をそそられるタイプです。

この子のことをBちゃんとしましょう。


この組織では、少数のチームを組んで販売店の売り上げに貢献します。

私のチームは、男3:女1(Bちゃん)でした。

事前ミーティングの時点で、リーダーの男性とBちゃんは険悪でした。

どうやら以前からBちゃんの仕事ぶりにリーダーが不満を持っていたようで、チームを組みたくないと上に進言すらしていたとのこと。

私としては女の子と共に働けること自体が非常に稀だったのでウキウキしていましたが……

フリーの女の子と同じ空間にいられたのは、この時を含めて(高校から)15年間で3回しかありませんからね……

転々とする職業柄、期間は短いです。

今回は1週間でした。


ちなみにこの時点では、Bちゃんに対してなんの感情も抱いていません。

どうせ彼氏がいるだろうと決めつけていたし(記事参照)、それ以上になんとかしてあげたいという気持ちのほうが強かったからです。



現場で働き始めると、リーダーは基本的にBちゃんをガン無視。

もう1人の男性もリーダーの腰巾着だったので、必要以上に会話をしようとしません。

Bちゃんへの指示は私を介してしか行わず、あからさまに直接の会話を避けていました。

こんな状態では、業務上の不明点があっても直接聞けませんから、私が対応するしかありません。

でも私も不慣れな職場だったので、Bちゃん⇨私⇨リーダー⇨私⇨Bちゃんといった不合理極まりないことをしていました。


しかも昼休憩は交代でするのですが、Bちゃんには与えない。

さすがにそれはよくないと、全員が終わった後に私が行かせます。

リーダーは自ら促すのが嫌だっただけで、私が自発的に行かせる分には問題なかったのが幸いでした。




2.非常に良い立ち位置にいたカースくん

私がBちゃんをフォローするのが当たり前という環境になった時点で、2人での会話も自然と増えていきます。

少女漫画のイケメン主人公の立ち位置です。

2日目からカースくんに下心が生まれてきます。


リーダーはわりとクズ人間的な存在で、仕事はできるけど多くの人から嫌われがちな人でした。


『女性と距離を近づけるなら愚痴を聞いて共感しろ』


ネットの情報で知っていた私は、リーダーの悪口を引き出すトークを中心にコミュニケーションを図っていきます。

すると、新参の私は周りが当然のように知っていることも知らないので、出るわ出るわのクズエピソード。

集合時間を知らされずに遅刻して怒られたなんてことも。

休憩時間がなかった日もあったようです。


「俺メッチャ救世主じゃん!」


と、漫画の主人公になれたことにはしゃぐカースくん。



そんなこんなで、カースくんのおかげで特に大きな問題もなく1週間の任務が終わりました。

最終日の終業後、私は意を決してBちゃんをご飯に誘います。

ネットでの出会いから食事に誘うことは何回かありましたが、リアルの出会いからの食事はこの時が初。

しかも1on1

メチャクチャ緊張しましたが、Bちゃんはいけると謎の自信に満ち溢れていました。


「いいよ」


っしゃああああああああああああああああああ!!


すでにタメ口で話す関係。

愚痴も話してくれる関係。

2人で食事に行ける関係。


今回こそはいける!

あの心臓の高鳴りは今でもよく覚えています。


社会人2年目。

20代前半。

若かった…………




3.突然の変貌に困惑するカースくん

最終日の食事も楽しい会話で終わり、下心を見せることなく帰った2人。

いけると思いながらも、こちとら恋愛初心者。

慎重に慎重を重ねなければなりません。

そしてなんと、3日後が誕生日だと言うではないですか。

2日の休日を挟んだ初日が誕生日なんて、グッドタイミング。

誕生日という口実であらゆるコミュニケーションハードルも下がるというもの。



さて、続きを話す前に説明しなければならないことがあります。

そう、カースくんの呪いについてです。

カースくんの呪いは、ある一定のラインまでは発動しません。

恋愛における一定のラインとは、カースくんが明確な恋愛感情を抱くことでデッドゾーンへと突入します。


共に仕事をしていた5日間は、実際のところ恋愛感情を抱いてはいません。

好みのタイプではなかったし、恥ずかしながら当時は恋愛感情というものを明確によく分かっていなかったからです。

だって近くに女の子がいなかったんだもん。


しかしお休みの間、ヒーローだった自分の記憶が美化されます。

そして今までにないチャンスでいけると、そう思った途端に恋愛感情が芽生えたのです。

童貞なんだからしょうがない。



出勤途中の電車内で、「誕生日おめでとう!」のLINEを送ります。

席は空いていたのに、入り口付近の手すりに寄りかかって携帯を握っていた記憶は、今でも鮮明に覚えています。

※ここから先はカースくんの心の中のセリフです。


……


既読がつかないなあ


…………


既読ついた!


………………


返信がないなあ


…………………………


そんなに文章を考えなくても///


職場到着


…………あれ?



まあBちゃんはまだいないみたいだし、寝坊でもしてそれどころじゃないのかな。

と思っていたらBちゃんも入室。

真っ先に女友達のところへ。

ま、まあ、もうすぐミーティング始まるし?

昼に話しかけてみようかな。



昼休憩になったらBちゃんは女友達と2人でご飯へ。

僕もご飯食べよう。


食後、エントランスでコンビニ弁当を食べ終わったばかりのBちゃんとその友達を発見。

第三者がいることに躊躇う気持ちはあったものの、この時にはすでに気が気ではなかったので意を決して挨拶を。


「おっつー。次のチームはリーダーと別になれた?」

「あ、はい」


敬語?

何かがおかしい。


「ええと、次の現場はどこになったの?」

「○○です」


人を間違えたかな?


「そういえば今日誕生日だったよね? おめでとう」

「ありがとうございます」


LINEですでに送っていることに関しては?


「あの、お手洗いに行きたいので先に行きますね」

「あ、うん」




この日を境に、カースくんとBちゃんの会話はなくなった。




4.本当に心当たりがないカースくん

最終日も当たり障りのない会話で終え、お互い笑顔で帰ったのは確かです。

ホテルに誘うなんて挙動はもちろんせず、「来週からもよろしくねー」の挨拶に「こちらこそまた助けてください」とのお返事まできたほど。

恋愛云々は置いといても、通常のコミュニケーションすら拒否られる覚えはありません。

休日に変なLINEをしたんじゃないかって?

こちとらリアルの女の子とLINE交換をしたのが初めてなもんで、1通目をどうしたものかと考えている間に休日が明けましたよ。

もちろん助けたことを恩着せがましくもしていません。

性格的な問題で、対象が同性でも同じことをしたでしょうし。


あらゆるパターンを考えましたが、爆発的なヘイトの高まりに納得できる解には辿り着けず。

しかしこの理由が、約5年後に判明しました。



次回は、カースくんの呪いの元凶についてです。

お楽しみに!


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