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2022年10月の記事一覧

祝福

生まれ落とされ
捨てられた新生児は
親の声も知らずに
大人へとすげ変わる
その心が幾ら荒もうとも
周りは気に掛けない
皆が何かに追われ
見えない物を恐れながら
明日へと流されて逝く
何時か祝福されると信じて

サバティ

残酷な現実から
逃れる様に目を閉じて
眠れない日々を過ごす
孤独な少年は今日も
パソコンの前に座り
プログラムを打ち続ける
違う次元に繋がって
悪魔を召喚出来る日が
来る事を願いながら

ファンタジー

メルヘンな夢に
溺れる少女は
麻薬を打ち続ける
何度捕まっても
薬の魅力から
離れられずに
今日も虚ろな瞳で
腕に麻薬を打つ
老いから逃れられずに

星が落ちる

光年の彼方で
燃え尽きた星が
落ちるのを眺める二人
コストコに止められた
高級車をぎって
夜明けまで乗り回す
まだ知らない幸せは
無垢で純粋な姿の
青い酉が奪ってしまった
だから二人は
幸福を知らない
死が二人を抱擁するまで

ヴァルターの銃弾を

やさぐれた夜に
ヴァルターの銃弾を
受け倒れる悪人達
射撃が上手いだけで
戦争へ駆り出された狩人
戦場でもがきながら
国へ帰還した時に
待ち受けていた物は
無垢な民衆の圧力だった
耐え切れず自殺する友を
横目に写しながら
彼は祝福されるだろう
願わなくとも定めならば

灰塵

レーサー仕様のベンツが
燃え盛るのを眺めて
美しいと貴方は囁く
貴方のその感性が
どうしても
私には分からない儘
貴方は離れて逝く
私の心を見透かす様に

闇と夜の子供

バラブシュカのキューを
両手に抱いて眠る
闇と夜の子供は
親の顔を知らない
生まれ落とされた
その瞬間から
孤独を歩むよにと
定められたから
夜と闇の子供は
親の愛を知らない
それはまやかしだと
震える命が囁くから
意味なき生を
歩み続けて
彼は化物に為るだろう
闇と夜の様に

貴方を探している

冷たい夜に
貴方を探している
騙された日々に
貴方を探している
窮屈な時代に
貴方を探している
ミサイルが落ちた朝に
貴方を探している
何処にもいないと
分かっていても
僕は今でも
貴方を探している

狼はさらばえない

法を逸脱した者達を
静かに狩る狼は
決してさらばえない
人知れず消え逝くのみ
幾ら時代が変わろうが
それは不変なのだから
人は老いさらばえても
狼はさらばえない

雪虫が舞う中

季節の変わり目に
人を殺した男
誓いを守れずに
街を彷徨う女
雪虫が舞う中で
二人は手を取り合えず
雑踏へと消えた

ラスト・バイブル

誰かの人生の
幕引きをするのが
彼の仕事だった
夜も昼も朝も
凍れる冬だろうが
彼は仕事を続けた
ラスト・バイブルに
書かれていた話を
現実にする為
彼は働き続ける
己の信仰に
疑問すら抱かない
狂信者みたいに

レイピア

貴方の浮付く心を
細く鋭いレイピアで
貫いてしまえば
私だけを真摯に
眺めてくれただろうか
その影すら今は
遠過ぎて辿れない
時に思い出を
振り返り泣いてしまう
誰にでも優しかった
貴方の声が
體から離れない夜に

アンラッキーk6

上手く行く事なんて
そうは無いんだぜ
あいつは囁いて
k6と呼ばれる
単車に跨り
高速道路へ消えた
気違いじみた
運転技術で
車の波を縫いながら
流れるよに爆走する
余りに速過ぎて
誰にも止められない儘
明日へ消えちまう
アンラッキーk6

パイソンハンター

鬼火と呼ばれた
殺し屋が腰に差す
パイソンハンター
鬼火に狙われた者は
逃れる事など叶わず
怯えながら命を散らす
ゆらりと揺れる
焔みたいに彼は
何処からか現れ
消えて逝くだろう
誰にも捕らえられずに