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農家の視点

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スイカ直売オンラインショップ4期目の振り返り。当たり前のことを当たり前にやろう。

スイカ直売オンラインショップ4期目の振り返り。当たり前のことを当たり前にやろう。

今年も無事に「福賀すいか」の収穫・販売が終了。
毎年恒例となったオンラインショップの販売について振り返っていこう。

今となっては農産物のEC販売はひとつも珍しくない。大手ECサイトも盛り上がっているし、SNSを使って個人で注文をとっている農家も増えてきた。

その気になれば今この場で始めることだって出来てしまうわけだけれど、当然ながら上手くいく人とそうでない人が出てくる。なんならプレイヤーが増え

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スイカ直売のオンランショップ3年目の振り返り。農産物EC直販の戦い方。

スイカ直売のオンランショップ3年目の振り返り。農産物EC直販の戦い方。

毎年、夏の終わりは「福賀すいか」のオンラインショップの成果と気づきの振り返りをしているので、今年もちゃんと振り返っておこう。

農業は作る品目によって色々と事情が変わってくるから全てを網羅するノウハウなんてないけれど、「農作物のネット直販」のアプローチのひとつとして間違いなく参考になることがあるので興味ある人にはぜひ読み進めてほしい。

ただ、基本的なことは昨年の振り返りでかなり厚めに書いてあるの

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スイカのオンラインショップの価格表示を変えてみた。

スイカのオンラインショップの価格表示を変えてみた。

この度、福賀すいかのオンラインショップの価格表示、特に送料の表示形式を変えることにした。

これまでの表示価格は、送料も消費税も全て含めたものを記載していた。その代わりにオンランショップのシステム上では「送料無料」という形で販売。

それを今回から、送料別の価格で表示することにした。
お客さんが商品を見るときはスイカの本体価格のみの表示、そして商品を選んで決済するときに送料を追加した合計金額が表示

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SNSと販売の戦い方。(スイカオンラインショップ2年目の振り返り)

SNSと販売の戦い方。(スイカオンラインショップ2年目の振り返り)

今年も無事、スイカの収穫が終わった。

2021年は梅雨も短く、スイカの味を高めたい時期にガッツリ晴天が続いたので、過去にないくらい高クオリティなスイカをお届けできたと思う。

例年にも増して、強気の発信ができた。

そんな今年は、昨年に引き続くオンラインショップも2年目で、昨年以上に伸ばしていこうと頑張った。

結果…

注文件数、売上共に、昨年のほぼ2倍の成績で着地。

着実に成果が出せたと思

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目先の利益を追いかけて情熱が目減りする。

目先の利益を追いかけて情熱が目減りする。

スイカ農家の僕にとっては梅雨の季節=スイカが割れる季節。

大雨の後にスイカの根が水を吸って、その水分が一気にスイカの玉に送られちゃうと割れてしまう。

割れたスイカを放置するとグズグズに腐って、大変なことになるのでせっせと運び出して廃棄。

この時間は気が狂いそうなほど辛く、一銭にもならないのですが、農家の仕事の本質でもある…みたいな話は以前にも記事にしたのでそちらもぜひ。

毎年、スイカが割れ

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次の10年に向けて。

次の10年に向けて。

あれから10年経った。

僕は10年前、認識の及ぶ範囲の親戚や知人を失ってはいない。

財産も、住む場所も、大切な人も、何も失わなかった僕の言葉が、10年経った今誰かに響くのかどうかは疑問だけど、

何も失わなかった人間だから何も言わないってのも、なんか違う気がする。

だから、書く。

俺たちは何をやってたんだ?平穏無事な日常であれば、家から一歩も出なくても、誰かと繋がっていなくてもひとりで生き

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薄利多売は大嫌い。小さな農業を考える。

薄利多売は大嫌い。小さな農業を考える。

農家はふと考える。

「売り単価を2倍にできるなら、作付けを半分にしても経営は成り立つよね?」

なんか、すごくアホっぽいな。笑

でも、実は割と本気でそう思ってる。

農作物の単価の話。そもそも農作物の単価がどうやって決まるのか、という話から。

農家が自分の作物を売る場合、大きく分けて2つの方法がある。

1、農協に出荷する

2、自分で売る

2の自分で売るというのは細かく分けるとほんとはい

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スイカのオンラインショップ販売を終えて。「農産物ネット販売」のひとつの戦い方。【振り返り】

スイカのオンラインショップ販売を終えて。「農産物ネット販売」のひとつの戦い方。【振り返り】

今シーズンのスイカの収穫・出荷が無事終了。

今年ほど天気に頭を悩まされたことはなかったけれど、なんとか乗り越えてここまで来れた。

無事に終えてホッとひと息つきたいところだけれど、今年は「オンラインショップ開設」という新しい試みもあったので、そこは振り返っておきたい。

と同時に、僕が考える「農作物ネット販売」でのひとつの戦い方も示せるような気がする。

ネット販売初挑戦の成績。まずは、今シーズ

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農協出荷か、直販か。みんなが思ってる以上にこの問題は深いよ。

農協出荷か、直販か。みんなが思ってる以上にこの問題は深いよ。

今の時代、農家の販路の作り方にはいろんな選択肢がある。

農協、直売所、小売店、ECサイト…

細かく分けるといっぱいあるけど、大きく分けると

1)農協に出荷する

2)自分で売る

に分けられる。

新規就農で若手も参入する中、「農家が自分で販路を作る」ということは当たり前になりつつあり、「農協出荷か、直販するか」の二者択一が農家のテーマになることも多い。

一見すると、農家として成長し、時代

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「一銭にもならねぇ仕事」と向き合え。

「一銭にもならねぇ仕事」と向き合え。

梅雨はスイカ農家が頭を抱える季節。

割れたスイカをハウスからせっせと運び出す。

なんなんだ、この時間。

割れたスイカは、もうそれでおしまい。

お金にならないスイカに時間をかけても、儲けがないどころかむしろマイナス…。

でも、この「お金にならない時間」が大事だったりする。

農業における「3つの仕事」。農業には、大きく分けて3つの仕事がある。

収益を出すための「プラス仕事」

損害を出さ

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なぜ「感動」をつくるのか。「担い手が減り続ける農業の未来」にスイカ農家が見出した答え。

なぜ「感動」をつくるのか。「担い手が減り続ける農業の未来」にスイカ農家が見出した答え。

また「日本の農業者が減ってるよ〜」なニュースが飛び込んできた。今さら驚かないぞ!

この記事で取り上げられてる「基幹的農業従事者」ってのは、

自営農業に主として従事した世帯員(農業就業人口)のうち、ふだんの主な状態が「主に仕事(農業)」である者

てことになってるけど、とりあえず「がっつり農業やる人」ってことで。

担い手が減り続ける”いま”。今回の記事を読むまでもなく、農業やる人はどんどん減っ

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これからの生き方と、選ばれる地域とは?「援農」仕掛け人の思い。

これからの生き方と、選ばれる地域とは?「援農」仕掛け人の思い。

ども。

ある時はスイカ農家、またある時はほうれん草農家、そしてまたある時は「援農仕掛け人」。

そんな僕です。

今回は「援農」のお話。

「農を援(たす)ける」と書いて援農。

農作業には他の仕事にはなかなか無いくらいの「忙しさの波」がある。
例えばスイカなら、

4月植え付け
〜6月栽培
7月〜8月収穫・出荷
みたいな感じ。(あくまで僕の地域の話ね)

この時期はまあアホほど忙しい。猫の手も

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他人の不幸は蜜の味?農家が市場と付き合うということ。

他人の不幸は蜜の味?農家が市場と付き合うということ。

今回の台風19号は想像を超えて多くの被害を出したようです。

長野県の千曲川の反乱は衝撃的でしたね。

この他にも関東・東北でも水害・土砂崩れ・停電などの被害が出て、復旧にはかなり時間がかかりそうです。

幸い、僕の住む山口県は雨も風も大したことはなく、通常通りの日々を過ごしています。

こんな時、やはり現地の人たちの暮らしのことや、復旧のことを心配するものですが、農家である僕は他のことも考えてし

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農業をやってると見えてくる日本人の宗教観

農業をやってると見えてくる日本人の宗教観

宗教、と聞くとどんなイメージをもつでしょうか。

キリスト教の教会での礼拝や聖書の言葉。

仏教での坐禅やお経。

イスラム教の戒律を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。

でも、それぞれの宗教について知識として知っていても、「信仰の本質」を気にする人はあまりいないかも?

神に救済を求める人々。

キリスト教などの一神教を信仰する人々は、神に”許し”や”救済”を求めます。

神を信じ、決まりご

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