「一銭にもならねぇ仕事」と向き合え。
梅雨はスイカ農家が頭を抱える季節。
割れたスイカをハウスからせっせと運び出す。
なんなんだ、この時間。
割れたスイカは、もうそれでおしまい。
お金にならないスイカに時間をかけても、儲けがないどころかむしろマイナス…。
でも、この「お金にならない時間」が大事だったりする。
農業における「3つの仕事」。
農業には、大きく分けて3つの仕事がある。
収益を出すための「プラス仕事」
損害を出さないようにするための「ゼロ仕事」
出てしまった損害に対応する「マイナス仕事」
例えば、スイカの栽培そのものは「プラス仕事」、
スイカのハウスにタヌキやカラスが入らないようにネットを張るのは「ゼロ仕事」ということになる。
ゼロ仕事は、それをしている時間こそ稼げていないけど、「損害を防ぐとこで未来の収益を守る」という大事な意義がある。
ネット張りをサボってカラスにスイカをつつかれたら、シャレにならないほどの大損害が出る。
で、問題なのは、割れたスイカを運び出して処分するという仕事。
正直、スイカ農家やってて一番しんどい仕事。
メンタル的にもこたえるし、これをやってる時間は一円も儲からない。
スイカが割れてるんだからむしろマイナス。
まさに「マイナス仕事」。
「マイナス仕事」は基本的にやらないほうがいい。
無駄なマイナス仕事を減らすことは、経営の健全化にも繋がる。
だったら、割れたスイカも放っておけば良いのでは…?
割れたスイカはもうお金にはならないし、時間を割く必要はないのでは…?
「一銭にもならねぇ仕事」と向き合え。
割れたスイカは、当然だけど放っておけば腐る。
水分が多いスイカは腐るとグズグズになって、辺りがベチャベチャになる。
腐ったスイカの汁で水たまりができるほど。
とても、その光景はお見せできたものではない。
それを放置すれば、近くで生き残っている他のスイカも腐らせてしまう。
腐敗臭に誘われてタヌキやカラスが寄り付いてくる。
そう。
農業においては、損害を放置すると2次被害が発生するリスクがあって、これは何としても回避したい。
スイカのハウスの中の環境を守ることで、生きているスイカを最後まで守り抜ける。
つまり割れたスイカを運び出す仕事は、
損害に対応する「マイナス仕事」であると同時に、さらなる損害を防いで収益を守る「ゼロ仕事」でもあるということ。
確かに、やってるときは苦痛でしょうがない。
どんなに時間を割いても、一銭にもならねぇ。
でも「一銭にもならねぇ仕事」から逃げてはいけない。
その仕事で守れるものがあるかも知れないから。
僕が守りたいのは、生き残ったスイカたち。
生き残ったスイカたちを、みんなに美味しく食べてもらえること。
最高のスイカを届けています。
よかったらのぞいてみてください。
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