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芦沢さんとぼく(仮名) 第7話 こんにちは。そしてお帰りなさい
私が哲也さんの面接に同席するようになり、半年が過ぎた。過ぎたあとも私は哲也さんの面接に同席した。自分のために、これからどうなっていくのか見ていきたい。そう思い、お願いした。年をまたぎ、哲也さんの通信制高校の卒業も決まった。嬉しいはずが、1月に入ってからの相談は卒業後の不安を哲也さんが口にするようになった。
卒業したら何をしたいですか?芦沢さんが聞くと、哲也さんは「警察官になりたい」、「ビルの管
芦沢さんとぼく(仮) 第6話 僕の夢は世界平和
哲也さんに面接の同席を許可されて以降も、哲也さんと芦沢さんの面接は変わらなかった。哲也さんがチャットでのトラブルを話し、それに芦沢さんが付き合う。何か結論が出ることはない。先日も同じ話をしていたように感じる。何回、同じ話を繰り返すのだろうと思う。でも、ループのように同じ話が繰り返しされた。
前回、チャット内で知り合った人と会うと話していたが、チャットでの会話を通じて、哲也さんが行動することも増
芦沢さんとぼく(仮)第5話 気をつかうって何ですか?
ハローワークの出来事があった夜、私が自分がしたことを振り返ってみた。哲也さんが約束なく、相談に来た。私は芦沢さんの不在を伝えた。哲也さんは困ったと言い、私でも良いから相談したいと言った。芦沢さんが担当との認識はあった。芦沢さんに話をするようにと言うこともできた。でも、言わなかった。芦沢さんがこれまでしてきたことが相談だとは思えなかった。私の方が相談員ぼく振舞える。そんな気持ちもあった。哲也さんか
もっとみる芦沢さんとぼく(仮) 第4話 もう話したくないです
県職員になり、私がしたことは、英語の勉強、100mダッシュ・・。一体、何をしているのだろう?就職した当初、私は困っている人の相談に応じ、答えている自分の姿を想像していた。でも1か月以上が経過し、私は想像とは違う毎日を過ごした。この先、どうしたら良いのだろう?どうなっていくのだろう?
先輩の芦沢さんのところに相談に来ている飯塚哲也さん(仮名)は、強い人になりたいと話し、空手の道場に通った。基礎体
芦沢さんとぼく(仮) 第3話 強い人になりたいです。
評価をしない。計画を立てない。ただ、関係を築く。先輩の芦沢さんはそう言っていた。関係を築くことが大切なのは分かる。でも、それで私は何をするのだろう?評価もしない。計画も立てない。何のために私はいるのだろう?芦沢さんが言っていたことが繰り返し、私の頭の中を回るが、私にはよく分からなかった。芦沢さんは何をしたいのだろう?
チャットでトラブルになっていた飯塚哲也さん(仮名)は変わらず、芦沢さんのと
芦沢さんとぼく(仮)第2話 ぼくのどの辺が優しいですか?
県職員になり、3週間が経過した。初めの頃は緊張していたが、徐々に人にも慣れた。ただ、一つだけ、先輩である芦沢さんの面接には慣れなかった。
私は相手の話を聞き、課題を見つけ、それに対して解決策を提示するのが仕事だと学んできた。学生実習で指導を受けた精神科病院の相談員もそうしていた。だから、私はそれをする相談員になると思っていた。でも、芦沢さんは違っていた。
相手の話は聞く。でも、課題についての
高年齢の未婚の女性がひきこもりに至るプロセス
ひきこもりは男性の問題とされてきた。これまで、国は3回の実態調査を実施している。2016年に実施された初めての調査では、15歳から39歳が対象とされ、37%が女性との結果が示された。ただ、分析対象として「家事手伝い・専業主婦」を除外していたことから、ひきこもり女子会を運営する「ひきこもりUX会議」は、内閣府の調査結果を受け、2017年にひきこもり女性を対象にインターネット等を通じた調査を実施し
もっとみる何もしないことに頑張る日々
「何もしない」、それが本当は難しい。支援者という職業を選ぶ人は、基本はおせっかい。世話を焼き、相手の状態が良くなることに喜びを感じる傾向があります。それが一方的になり、大きなお世話になることもありますが、支援者は何かをすることに価値を求める。でも、私はひきこもり支援を本格的に行うようになり、何もしないことに価値を求めるようになりました。どういうことだろう?以下、一人の男性との関わりから見ていきた
もっとみる子どものミカタ~ 不登校 ~
不登校、30万人。そんなニュースが今年、流れた。増え続ける不登校。少子化で子どもの数が減っているのに、不登校は増える。何が起こっているのだろう?
不登校が問題が指摘されると、その原因がまず言われる。最初に言われるのは「いじめ」次は本人の問題。無気力など、精神的、心理的な問題が言われる。そして、家庭の問題。最近ではヤングケアラーが言われたりもする。
原因が言われると、対策が言われ、登校を勧奨せ
支援しないことが支援になる
11月25日、山梨県笛吹市で講演会を開催した。タイトルは「生きづらさの声でつむぐ ラジオとくるま」。事前に「生きづらさ」をテーマにメッセージを募集。講演会はNHKの栗原アナウンサーとともに、メッセージを紹介しながら、感じたことを話していくというもの。
メッセージは、細かく指定せず、「生きづらさ」というテーマだけで募集しました。取り上げるメッセージも順番は決めず、ランダムに。メッセージを受け、話
「それでも、ソーシャルワーカーになりたくて(仮)」第3回
毎朝、病院から貸与されたPHSの電源を入れると、すぐにアカネさんの病棟から電話が入る。表示される病棟名。「またか・・」と電話に出て、「B病棟の田中です。アカネさんから面接希望が出ています。午前中は作業療法が入っているので、午後が良いかもしれません」との話を聞き、「分かりました」と返事。それがルーティンのように続きました。アカネさんの話は、「家族と連絡が取れましたか?」から始まり、「まだ取れていま
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