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読んだ本についてあれこれ語るマガジン

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#書評

闇の国々 1巻

闇の国々 1巻



見事な構築。
冒頭に地図があり、そこにある国々でおこる物語が掲載されている。
1巻の時点では、それぞれの話はまだつながっていない。

読者は壮大なイマジネーションの中をさまようことになる。
巨大な建造物、奇想天外なストーリー。
スクイテンは昔、リトル・ニモを描いていたと記憶しているが、当時から建物を見事に描く作家だった。

徐々に時代が変わっていくのも楽しい。巻が進むにつれて、現在や未来が描か

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誰にでも才能はある。問題はその「原石」をどう見つけて磨くかだ

誰にでも才能はある。問題はその「原石」をどう見つけて磨くかだ



社会人向けの自己啓発書と言ってしまえばそれまでなのだが、それぞれの人が持っている素質を分類し、それを組み合わせることによって、より成功に導けるようにと言う配慮がなされている。
それぞれの素質に関して、質問表がついており、回答することによって、自分のメリットデメリットがわかった。長所短所がわかった。
そして、それぞれの能力の組み合わせによって、飛躍的に社会で役に立つ能力となる。
これを使えば、自

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はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫)

はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫)



考えるとは何かについての本。
自分が考えているのかどうか、ということは自分自身よく思い悩む。考えが浅いというか、ただぼんやり生きているだけなんじゃないかと。そういう人はこの本を読むと、手がかりを得られるかもしれない。

基本原則にさかのぼって考えることの大切さを教えてくれる。当たり前のことを当たり前と考えず、それはなぜそうなったのか、それはどういうことなのかというのを考えるのは大切なことだ。

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江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫)



これは、江戸川乱歩の最高傑作かもしれない。少なくとも僕が今まで読んだ中では1番面白い。
まずキャラクター普通のサラリーマンである主人公とその恋人初代を中心に、主人公に横恋慕する男、あっさり殺されてしまう素人探偵、曲馬団の少年など、曲者ぞろいのキャラクターが勢ぞろいする。
謎の殺人事件、そこに関わるのは家系図。

次々と明かされていく新事実。まさに点と点がつながって線になっていくのを見るようだ。

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反脆弱性

反脆弱性



非常に面白い。

反脆弱性、反脆さは耐久力や頑健さを超越する。衝撃を糧にする。

土地の反脆弱性について。著者の故郷であるベイルートは8回破壊され、8回再建したらしい。今回の爆発で、9回目ということか。

人間の反脆弱性について。心的外傷後成長。心的外傷後ストレス障害とは逆で、過去の出来事で心に傷を負った人々が、それまでの自分より強くなるという現象。

逆に、脆さについて。暇な人は時間を無駄に

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夜と霧 新版

夜と霧 新版



ヴィクトール・E・フランクルの名著。
新板で読んだ。

以前読んだときの衝撃はなかった。
ただし、そこに伝えられるメッセージは変わらず胸を打った。

フロイト派の精神医学社である著者はユダヤ人であるがゆえにアウシュヴィッツに送られる。システム的に、もしくはきまぐれに、収容者たちはガス室に送られたり、単に衰弱して死んでいく。この世の地獄で、著者はどうして生き延びられたのか。
ただ生きたのだ。

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