知古文庫[知古文庫の造るほう]

世の中の人たちがすなるnoteというものをしてみようと思ってするなり。 知古文庫の造る…

知古文庫[知古文庫の造るほう]

世の中の人たちがすなるnoteというものをしてみようと思ってするなり。 知古文庫の造るほう、知古が書いていきます。 日々、閉じこめておいてるものが、だだ漏れてしまったときにしれっと書きます。 だだ漏れの「だだ」ってなに? 手ぬぐいTwitterの補足を書いたりもします。

記事一覧

[📕ゆる読書録]『優しい女』ニンチ

SNSで書影が流れてきたので、ピンときて購入。並製本。函入り。取り出すと、鉛筆で描かれた女性のヌード画が表紙になっているが、まあ、助平な気持ちで買ったわけではない…

'elseのこと

どうして歌謡曲と恋愛の思い出を結びつけてしまうのだろう。音の魔力は言葉の重みより蠱惑的だ。自分は詩や俳句を読むのが苦手で、行間とかではなく、できるだけ順を追って…

文学フリマ東京38回録

まずは今回の出店にあたり、ブースに来てくださったかた、足をとめていただいたかた、ご購入くださったかた、そして、気に掛けてくれたかたへ、感謝申しあげます。 まこと…

忘却書籍振返 〜文学フリマ東京38に向けて〜

まず、告知をいたします。 きたる2024年5月19日の『文学フリマ東京38』に知古文庫はG-10で出店します。2年ぶりの参加となります。 前回は、手ぬぐい蒐集本を造り、今回は…

四十七都道府県閑歩覚書 ~長野編(上田・長野・穂高・松本)~

47都道府県を制覇するとの目標をもっている(まるでヤ○キーのようだが、ただすべての県に行ってみたという話)。長期休みがせまると、残りの未踏の地を埋めようと旅行の計…

+28

旅情看板発掘録 ~兵庫編(坊勢島・姫路)~

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旅情看板発掘録 ~島根編~

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旅情看板発掘録 ~長野編~

訃報について

最近、訃報を聞くことが続いた。身内の話ではない。たとえばよく公演を見に行っていた劇団の劇作家や、動画でよく見ていた解説者とか。楽しませてくれたり、あこがれたり、…

例えることについての暴力性について

なにかで例える行為はすこし暴力的だ。いや、暴力とは言い過ぎで、せいぜい傲慢か、あるいは雑さと言えばいいようにも思える。 たとえば、自分の描いた絵を「〇〇みたいだ…

てぬ歩き#03 | 上野、マティス展

アートという言葉はなんだか軽い。商業主義的な匂いがプンプン漂う。商品にアーティスティックという付加価値をつけて、装飾を施した、瀟洒で不毛な販売戦略。芸術思考とは…

てぬ歩き#02 | 常滑

日焼け止めを忘れてきたのが一番の失敗だった。事前に調べた休暇中の天気予報は、どの日もいやなものばかり。旅の2日目にフェリーに乗る予定があったので、もし海が荒れて…

てぬ歩き#1

三鷹市に三鷹市芸術文化センターという場所がある。ここの星のホールという劇場はよく演劇の公演がおこなわれていて、質の高い演目を見ることができる。演劇に造詣が深い企…

フィジカルでないアレルギーについて

ふと、noteを始めてみようかと思い立った。「今更感が否めないな」というアレルギーが出て、ひとマス戻る。 ひとまず会員登録。はじめてみましょうの催促からの、使い方の…

自己肯定感とか表現とか

自己肯定感という言葉にゾワゾワする。いわゆる、ゾワる。ゾワりを感じるワードというものが世の中にはいくつかあって、たとえば「ウザい」なんかがそうだ。はじめにこの言…

[📕ゆる読書録]『優しい女』ニンチ

[📕ゆる読書録]『優しい女』ニンチ

SNSで書影が流れてきたので、ピンときて購入。並製本。函入り。取り出すと、鉛筆で描かれた女性のヌード画が表紙になっているが、まあ、助平な気持ちで買ったわけではない(と、一応エクスキューズ)。ただ、この画の魅力に釣られたのも否定しないし、函から滑らせると覆っている衣服をはぎ、素肌を晒すように現れる表紙は示唆的。手にとってくれと息をひそめて待っているような本に惹かれる。しつこく帯にキャッチコピーを入れ

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'elseのこと

'elseのこと

どうして歌謡曲と恋愛の思い出を結びつけてしまうのだろう。音の魔力は言葉の重みより蠱惑的だ。自分は詩や俳句を読むのが苦手で、行間とかではなく、できるだけ順を追って書いて読ませてくれる文のほうがしっくりくるのだけれど、旋律が乗ると格段に情景が浮かびやすくなる。
音楽はずるい。心を揺さぶりやすすぎる。



'else

'elseというバンドがあった。
今となっては情報も探してみても、わずかな断片し

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文学フリマ東京38回録

文学フリマ東京38回録

まずは今回の出店にあたり、ブースに来てくださったかた、足をとめていただいたかた、ご購入くださったかた、そして、気に掛けてくれたかたへ、感謝申しあげます。
まことにありがとうございました。



寄る年波もあり、今回は全体的に落ち着いていこうと思って望んでいた。いつも設営でへとへとになっていたし、一番の悩みどころの自意識……上手く話そうという感情は、もう仕方ないという諦めも出てくる歳だ。
そのせい

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忘却書籍振返 〜文学フリマ東京38に向けて〜

忘却書籍振返 〜文学フリマ東京38に向けて〜

まず、告知をいたします。

きたる2024年5月19日の『文学フリマ東京38』に知古文庫はG-10で出店します。2年ぶりの参加となります。
前回は、手ぬぐい蒐集本を造り、今回は、オリジナル手ぬぐいを造りました。造ったからには、多くの人に使っていただきたい……という気持ちが芽生えています。覗きにくるだけでもよいので、お立ち寄りいただければと思います。
当方、たいへんコミュ障をこじらせておりますが、落

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四十七都道府県閑歩覚書 ~長野編(上田・長野・穂高・松本)~

四十七都道府県閑歩覚書 ~長野編(上田・長野・穂高・松本)~

47都道府県を制覇するとの目標をもっている(まるでヤ○キーのようだが、ただすべての県に行ってみたという話)。長期休みがせまると、残りの未踏の地を埋めようと旅行の計画を立てる。これを書いている時点で、あと7県。
踏破済みのリストを見返すと、ひとつ疑問の県があって、はて、長野へは、どこへ行っただろうか? リストにある以上行ってはいるはずだが、イマイチ思い出せない。いや、でも行っているはず……と、まあ、

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訃報について

訃報について

最近、訃報を聞くことが続いた。身内の話ではない。たとえばよく公演を見に行っていた劇団の劇作家や、動画でよく見ていた解説者とか。楽しませてくれたり、あこがれたり、心酔したり、妬んだり……そんなすてきな表現をする人たち。
そして、どれもまだ若くて、これからの人だった。才能のある人、あるいは研鑽を積んでいた。これからも世界を広げてくるだろう人が夭逝してしまうさまは、本当に悔しい気持ちになる。



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例えることについての暴力性について

例えることについての暴力性について

なにかで例える行為はすこし暴力的だ。いや、暴力とは言い過ぎで、せいぜい傲慢か、あるいは雑さと言えばいいようにも思える。

たとえば、自分の描いた絵を「〇〇みたいだね」と言われると、内心ムッとする。顔には出したことない(はずだが、出てはいただろう)。絵を描く行為が、(はじめは誰かの模倣であったことは事実なのだが)、ある程度すると、自分の個を追求して表象させるべきものになっていくからだろう。オリジナリ

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てぬ歩き#03 | 上野、マティス展

てぬ歩き#03 | 上野、マティス展

アートという言葉はなんだか軽い。商業主義的な匂いがプンプン漂う。商品にアーティスティックという付加価値をつけて、装飾を施した、瀟洒で不毛な販売戦略。芸術思考とは相反し調和を蔑ろにした行為。芸術を薄めて大衆化させる、その工程には芸術なんて字は固すぎる(「芸」なんて、本字にすれば「藝」ですよ)。横文字でアートにすればフレンドリー。求道の末磨き上げられるべき芸術が、カジュアルで、オシャレなアートに成り下

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てぬ歩き#02 | 常滑

てぬ歩き#02 | 常滑

日焼け止めを忘れてきたのが一番の失敗だった。事前に調べた休暇中の天気予報は、どの日もいやなものばかり。旅の2日目にフェリーに乗る予定があったので、もし海が荒れて運行停止になったとき、どう予定を変更しようか、そればかり考えていた。前日になっても予報はずっとかわらず、旅行中はずっと曇りだろうと、高を括っていたところもある。男なので、肌のことなんてさほど気にしなくてもいいと思っていたフシもある。
常滑駅

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てぬ歩き#1

てぬ歩き#1

三鷹市に三鷹市芸術文化センターという場所がある。ここの星のホールという劇場はよく演劇の公演がおこなわれていて、質の高い演目を見ることができる。演劇に造詣が深い企画スタッフがいるのがポイントで、まあ、ここでやる作品なら間違いないだろうなという信頼がある。
毎年3組くらい、いま勢いのある若手劇団を選出する三鷹ネクストセレクションという企画があり、育成にも貢献している。以前、若手劇団の公演を(なぜか)貪

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フィジカルでないアレルギーについて

フィジカルでないアレルギーについて

ふと、noteを始めてみようかと思い立った。「今更感が否めないな」というアレルギーが出て、ひとマス戻る。
ひとまず会員登録。はじめてみましょうの催促からの、使い方の検索。「クリエイター」の文字が出てきてわりと痒めのアレルギー。わたしはそんな高尚な存在にはなれない、たりなさすぎる自己肯定感にアレルギー……きっと読者もすくないだろうなという卑屈感のアレルギー。



アイドルになりたい人ってどのくら

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自己肯定感とか表現とか

自己肯定感とか表現とか

自己肯定感という言葉にゾワゾワする。いわゆる、ゾワる。ゾワりを感じるワードというものが世の中にはいくつかあって、たとえば「ウザい」なんかがそうだ。はじめにこの言葉が流行ったとき、「なんて雑な言葉だ」と思った。たけど、そのころの職場の同僚が「いい言葉だ」と言っていた。そのときははてな?と思った。彼がどういう文脈で称賛していたのか、もう覚えていないのだけれど、あとから考えてみて、「うざったい」の互換性

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