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雑記『小さくて大きい』

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ただの日記。もしくはエッセイ的な何か。曖昧な日常。
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2020年3月の記事一覧

またひとつ、歳を重ねて

今日、またひとつ歳を重ねて、気付いたことがある。
外で仕事をしていた頃は、誕生日が嫌いだった。
月末…どころか、年度末の3月31日。
そもそも、忙しくないわけがなかった。

まあ、産まれてきてしまったものは仕方がない。
予定日よりもひと月程も早く産まれたというのだから、きっと、この日を選んだのは自分なのだ。何故この日なのかは覚えていないのだけれども、きっと何か理由があったのだろう。

年度末の平日

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母は料理が出来ない

「かのこさんは家事が“嫌い”だよね。」
ふと、そう言われて、確かに。と思う。
出来るか出来ないかで言ったら、出来る。
得意か不得意かで言ったら、得意。
こと料理に関してに限れば、仕事に出来るレベルではあるし、実際、お店の厨房に立っていたこともある。

しかし、私は、料理をはじめとする家事の一切が嫌いだ。
なので、極限まで手を抜いている。
やらなくていいのなら一生やりたくないと思っているし、機械化出

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桜と共に降る雪は、

桜と共に降る雪は、

昨晩は暖かく、明け方まで強い雨が窓を叩いていた。
朝から雪が降るという予報を、半ば他人事のように聞き流して、そろそろ起きだすであろう家人に叱られないようにベッドに潜り込んだ。

寒さで目が覚めたのは、それでもギリギリ朝と呼べる時間帯だった。
9時25分。
スマートフォンの画面に表示されている いくつかの通知を無視して、カーテンを開ける。
窓の外に広がるのは一面の雪景色だった。
雪原のようになった庭

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春の散歩

春の散歩

天気が良かったので、旦那さんとふたりで大きな本屋さんまで散歩をしてきた。
家の近隣には、大きな本屋さんが存在しない。
読みたい本を確実に買うのなら、少し遠くまで足を運ぶのが確実だと思う。
(このご時勢に外出が賢明なことだとは思わないが、通信販売だって、様々な倉庫や人の手を渡って対面で届けられるのだ。)

家からその本屋さんまでは、ゆったりと静かな住宅街を抜け、大きな公園の横を通り、また住宅街を抜け

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3つの質問

3つの質問

「で、実際のところ、かのこさんはどうなのよ?」
「何の話?」
「3つの質問。」
「あー。あったね、それ。」

というわけで、3つの質問。
忘れてたわけじゃないよ。

質問1 読む方が好き?書く方が好き?読むのも書くのも好き。
読むのは雑食。絵本から学術書まで、何でも読む。
でもミステリーは読まない…ような気がする。
書くのは、恋愛小説っぽいものとか、日常を切り取った系のショートショートが多い。

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海に行くつもりだった リベンジ

海に行くつもりだった リベンジ

「もう一度、海に行こう。」
って、車に乗り込んで、私たちはまた海を見に行くことにした。

先日とは逆の方向に針路を取って、大きな川を渡り、広い畑の中の一本道を、延々と走る。

私たちのドライブは、いつもカーナビを使わない。
(そもそも車にナビを付けていない。)
時々、スマートフォンの地図アプリを使うこともあるけど、だいたいは方向を決めて走るだけだ。

道路沿いの町並みが、ふるい農家の集落から、石造

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海に行くつもりだった

海に行くつもりだった

唐突に。
「海に行こう」って、二人で車に乗り込んで、無目的に海ほたるまでドライブをしてきた。
アクアラインはその名の通り、まっすぐに海の真ん中を走る道で、ひらけた空と遠くに見える都会の街の風景が広がる。
その景色にワクワクしたのは、海の上を走り始めて数分だけだった。
昨晩の雨が嘘みたいに、春の空はスッキリと晴れて青く、遠くに富士山が見えている。
だけれど、私達は気付いてしまった。

求めていた海は

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家族の概念が曖昧なので

今になって思えば、随分と大人が出入りする環境に産まれたのだった。
“家族”というコミュニティに対する、自分の軸が世間一般のそれとズレていることに気付いたのは、大人になって随分と経ってからだ。

私は、大人がたくさん出入りする家に産まれて、広すぎる人間関係の中で、家族の概念が曖昧なまま育った。
ママ(母上)とママとお母さんと母さんとママさんとあーちゃんは全部違う人。
パパ(父上)とパパとお父さんと父

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トイ・カプセルを開けるみたいな、ワンコインの暇つぶし。

トイ・カプセルを開けるみたいな、ワンコインの暇つぶし。

トイカプセルが好きで、ガチャガチャマシーンを見つけるとついつい開けたくなってしまう。
そんなあなたの為の、ショートショート・ガチャガチャ・マッシーン。

<< 遊び方 >>

このマガジンはガチャガチャマシーンです。
1カプセル(1記事)100円で中身が見れます。
カプセルの中身は短編小説がメインですが、小説以外ものや、極稀に既に公開済みの記事が紛れ込むこともあります。
(こいつ、この記事気に入っ

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同じ方向で向き合う

同じ方向で向き合う

長い間ずっと、それなりの量の文章を書いてきた。

最初に小説と言えるようなものを書いたのは小学校3年生の頃で、当時大好きだった工藤直子の「ともだちは海のにおい」と宮沢賢治の影響を多分に受けた内容だったと記憶している。
中学生くらいからお芝居を観ることにハマり、高校に入って、演劇部と文芸部を掛け持ちし、1年で演劇部を退部して外部の劇団に入った。そのうち、友人の誘いで映画も撮るようになり、映像と舞台、

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『夜中の散歩と一夜城』

『夜中の散歩と一夜城』

「一夜城を作りたいんす。」

いつものように唐突に彼は言う。突然現れた城に、驚く人もいれば、面白がってその城の下に街をつくり住む人もいると思うのだと。

「やれば?」
「え?」
「やればいいじゃん。それ、誰かの許可が要るもんなの?」
 ほんの少し、意表を突かれたような沈黙のあと、彼は笑い出した。
「要らないっすね……。」
「どんな城がいいの?」

「夜中の散歩」

それから私は笑って、Twitte

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夜の友だち

夜の友だち

まだ、ほとんど学生みたいな暮らしをしていた頃。
深夜ドライブが好きだった。
そろそろ日付が変わる。そんな時間に友人から「今からドライブ行かね?」ってメールが来て、15分後くらいには車に乗っている。
1〜2時間くらい走って夜景を見たり、思い付きで海に出て釣りをしたり、遠くの山に朝日を見に出掛けたりした。
だいたいボリュームを絞ったラジオをつけているけど、私たちはそんなの聞いていなかった。いつも、どち

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