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ものづくりで起業した弊社が伝える事業継続のための資金調達のカギ

こんにちは!ケアウィルコミュニケーションチームのハルです。

ケアウィルは、あなたの「着たい、選びたい、着て人と会いたい」という意思を第一に尊重した服づくりを目指し、「ケア衣料※」という専門ブランドで、ものづくりをしている会社です。

弊社では現在、以下の製品を販売しています。加えて、現在はレインウェアも開発中です!

この記事では、9月で創業5期目に入ったケアウィルの代表・笈沼、そしてリサーチディレクターである感護師・つぼを直撃取材!

ものづくりで起業した方や、これからものづくりで起業したい方なら誰もがぶつかるであろう、事業継続のための“資金調達”の悩みについて、ケアウィルの実際の体験談を交えながらお伝えします!


1、まず知るべき「ものづくりの進め方」

まずはものづくりで起業するための「進め方」についてチェックしましょう。大きな流れは以下のようになっています。

実際のケアウィルのものづくりの進め方については、こちらの記事で紹介しています。気になる方は参考にしてみてください。

さて、ものづくりにおいて必ずついて回るのが「資金」です。
試作品を作るにも、開業するにも、製品を守るための知財を申請するにも資金が必要になってきます。資金がないと次のステップには進めませんし、資金繰りが障壁となることも…。だからといって闇雲に資金集めをすればよいというわけではありません。
大事なのは、自分の事業のために “どのくらい”の額が、 “いつまでに”必要なのか、そしてそれを“どこから”調達するかを明確にすることです。
ここから先は、その3つの観点から資金調達について話をしていきたいと思います。

2、そもそも資金はいくら必要?

2-1、必要資金の捉え方
まず必要なのは、自分に必要な資金の額を把握することです。まずは必要最低限の金額を押さえましょう。ここで大事なのは、「開業費」と「運営費」を分けて考えることです。

弊社の場合、具体的には以下のような費用が含まれます。

2-2、開業費はどのくらい必要?
次にそれぞれの具体的な金額をみていきましょう。開業費は、会社の設立形態によって必要な費用が変わってきます。設立形態による総額の目安は、以下の表のようになっています。

また、事業形態が個人事業主か法人かで、「開業費」に含めて処理できるものが異なるので注意しましょう。

2-3、運営費はどのくらい必要?
次に、会社設立後にかかる運営費です。自分の会社の形態や事業内容によって必要となる運営費は変わってきます。設立後に慌てないよう、どのくらい必要か事前に把握しておくことが大切です。
運営費の内訳としては、以下のようなものがあります。

上記に加え、弊社のようなものづくり企業の場合は、ものづくりに関わる費用がかかります。この際、製品を自社でつくる(自社製造)か、仕入れでつくる(製造委託)かによって費用が変わります。製造委託には、ODM、OEM、外注といった方法があります。

自社製造、および製造委託が担う工程範囲は、以下の図の通りです。

自社製造」は、商品の企画・開発・製造・販売すべてを自社で行わなければいけないため、多額の初期投資が必要になります。また、工場の設備だけでなく人件費や仕入れも毎月発生するほか、在庫を抱えるリスクも高くなります。

ODM」は、企画・設計・製造を外部に委託することで、ほとんどの工程を外注化できるため、大幅なコストカットにつながる可能性があり、業界に関して知識や経験がなくてもオリジナル商品を製造・販売できるというメリットがあります。一方で、品質や販売価格をコントロールするのが困難、知的財産権が自社に残らないというデメリットもあります。

OEM」は、製造業務を外部に委託することで、初期投資を抑えて商品を開発・製造することができるほか、コストを抑えて製造することで販売価格も抑えられるメリットがあります。一方で、製造に関するノウハウが蓄積しない、委託先が将来的に競合化するリスクがあるというデメリットもあります。

 どういった形をとるかは、コストの面だけで考えると、自社製造>OEM>ODMの順で抑えることができますが、判断する際には「コスト」「品質」「長期的な運用」の3要素を加味し、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで検討しましょう。

2-4、ケアウィルの場合はこうでした!

3、その資金いつまでに必要?

どのくらいの額が必要か分かったら、次に“いつまでに”を検討していきましょう。

3-1、まずは事業計画書をつくる
いつまでに資金が必要かを考えるうえでは、「事業計画書」が大事になってきます。
「事業計画書」とは、事業内容や戦略、収益見込みなど、事業をどのように展開していくかを具体的にまとめた計画書のことです。作成することで、自分の頭の中にある事業のイメージや資金計画などを可視化して整理することができます。
金融機関や投資家は、この事業計画書を見ながら事業の将来性などを予測し、融資や出資の判断材料にします。そのため、損益見込みや資金計画の現実性、売上に対する根拠に説得力のある事業計画書を作成しましょう。
事業計画書に決まったテンプレートはありませんが、主に以下のような内容で構成されます。

今回は、この中から資金調達に関連する8~10について以下に内容を補足します。ここでは、以下の点に留意して記載します。

3-2、売上に関する計画
ここでは、どのように売上をあげていくか、原価はどの程度になるかといった計画を書きます。

3-3、利益に関する計画
ここでは、事業における売上や原価、販売管理費、借り入れ、法人税など利益を計算するための項目を記載します。利益計画は非常に重視される項目です。

3-4、資金調達に関する計画
ここでは、事業に必要な資金をどこから調達し、どのように運用していくかといった計画を書きます。大きく分けて「運転資金」と「設備資金」の2つに分けられます。利益計画と同様に重要視される項目です。銀行からの借入の際、返済可能な資金があるかなどの判断を適切に行ってもらうためにも、資金計画の作成は重要となります。

3-5、ケアウィルの場合はこうでした!

4、資金調達の方法って何があるの?

事業計画書を書くことで、事業を展開させるタイミングで資金が必要になってくることがわかります。ここからは“どこから”調達するか、資金調達の具体的な方法について解説していきます。

4-1、資金調達の方法
資金調達の方法には、以下があります。

それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

①自己資金
自己資金とは、会社設立時に自分が用意できるお金のことです。自己資金がどのくらいあるかで、融資を受ける際の審査基準が変わります。
自己資金として含まれるものには、以下があります。

他人からの借入金は、自己資金の対象外となるため、注意が必要です。自己資金ではなく、「資本金」として加算しなければなりません。
自己資金の割合が一定以上に到達していないと、融資が受けられない可能性が高まります。自己資金額の目安としては、必要な開業資金総額の30~50%程度は準備できると良いでしょう。

②補助金
補助金とは、国や自治体の政策目標に合わせて、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するものです。
主な補助金の例としては、“ものづくり補助金”、“”IT導入補助金“、”小規模事業者持続化補助金“が挙げられます。

③助成金
助成金とは、労働者の職の安定を目的に、法人あるいは個人事業主を支援するため国や自治体が支給するお金のことです。
例えば、“雇用調整助成金”、“業務改善助成金”、“働き方改革推進支援助成金” といったものが挙げられます。

④融資
融資とは、金融機関が事業主に資金を貸すことで、消費を目的とした借金とは異なります。創業時や事業拡大、資金繰りの改善時に検討します。
融資には、国や地方自治体など公的な窓口から借り入れる「公的融資」と、銀行などの民間の金融機関から借り入れを行う「民間融資」があります。

「公的融資」は、低金利・無担保のことが多く、借入のハードルも比較的低いです。中小企業やスタートアップなどでも、融資が受けやすい傾向にあります。
各融資の特徴は以下のようになっています。

*参考サイト:日本政策金融公庫
*参考サイト:日本商工会議所

一方「民間融資」は、銀行から直接融資を受ける“プロパー融資”よりも、公的な保証がついた“信用保証付き融資”のほうが融資を受けやすい傾向にあります。
各融資の特徴は以下のようになっています。

融資を受ける際には、事業に合った融資(金利・担保・保障・利用条件・限度額等)を検討し準備しましょう。

⑤ビジネスコンテスト
ビジネスコンテストとは、個人や法人が、ビジネスプランの内容を競い合うイベントです。コンテストによって、プレゼンテーション形式、討論形式などの違いがあります。
代表的なビジネスコンテストには、「キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)」「日経ソーシャルビジネスコンテスト」「Japan Venture Awards」「TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)」「ビジネス創造コンテスト」等があります。

ビジネスコンテストに出るメリット・デメリットとしては、以下が挙げられます。

コンテストのため、受賞特典として、賞金・資金支援・人的支援等が用意されており、受賞できれば資金調達のチャンスになります。それだけでなく、参加することで高度な知識やノウハウを得られる、他のビジネスや事業者・起業家とマッチングが叶う可能性がある、有名なビジネスコンテストであれば知名度アップにも繋がる機会にもなり得ます。
注意すべきは、賞そのものを目的とするのではなく、自分の事業とマッチしているテーマのコンテストを選ぶこと、たとえ受賞しなくてもビジネスプランを洗練させ実現に近づけることを目指して取り組みましょう。

4-2、ケアウィルの場合はこうでした!
ケアウィルも「TOKYO STARTUP GATEWAY2019」に参加し、幸運にも「オーディエンス賞」を受賞しました。さらにTSG2019ファイナリストの中から6名が競う「TOKYO STARTUP DEGAWA 2020」では、「最優秀出川賞」を頂くことができました。

⑥クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを使って、事業に協賛してくれる不特定多数の人々から資金を調達する手法です。購入型、寄付型、融資型、株式投資型、ファンド型、ふるさと納税型といった方法があります。
メリット、デメリットには以下が挙げられます。

注意する点としては、クラウドファンディングを始める前に、プロジェクトの成立確率はどれくらいか、成立させるためにはどれくらいの人から支援を見込めそうか、手数料はどのくらいか(一般的に寄付金の10~20%)、それ以外に資金を集める方法はないか、といった情報を事前に調べておくことが重要です。
現在は様々なクラウドファンディングサイトがありますし、自作のサイトでセルフクラウドファンディングを行っている人もいます。自分のプロジェクトに合った方法を探してみましょう。

⑦POファイナンス®
PO(purchase order=受発注)ファイナンス®とは、発注企業、納入企業、金融機関をインターネット上でつなぎ、受発注書を電子記録債権化することにより、これまでは難しかった金融機関による受発注時点からの担保融資を可能としたサービスです。補助金の採択を担保にして融資を得る、というものです。対象となる補助事業も、ここ1年で増えてきているので、チェックしてみるのも良いでしょう。

4-3、資金が入金されるタイミングを把握する
資金調達の方法を選ぶ際に注意すべき点として、入金のタイミングがあります。申請すればすぐにもらえるわけではないため注意しましょう。
補助金でみてみると、申請から給付までは以下のような流れになっています。

資金が入金されるまでには、融資の場合は最短で1か月、助成金の場合は約2~3か月、補助金の場合は約1年~1年半といわれており、種類によって様々です。
補助金や助成金を受けようと思うと、事務処理が増える、時間的な制約がつくといったデメリットがあることも事実です。自分の事業に必要な調達方法を見極めて申請に臨みましょう。

5、資金調達探しに役立つサイト

最後に、自分に合った資金調達方法をどうやって探すか、どう選ぶかについて紹介していきます。

5-1、資金調達手段を探したい
融資・制度融資、補助金・助成金・給付金全般から探したい場合には、こちらのサイトがおすすめです。

①「資金調達ナビ by弥生
開業する地域や事業形態に合わせて、資金調達方法を検索できます。自分に合ったおすすめの補助金・助成金の診断もできます。

②「J-Net21支援情報ヘッドライン(自治体も含めた支援情報)
独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイトです。具体的な補助金等だけでなく、様々な経営課題ごとに知りたい情報を幅広く検索できます。

補助金・助成金に絞って探したい場合は、こちらのサイトがおすすめです。
③「ミラサポplus(国の支援制度)
 日本政府公式のサイトで、中小企業向けの補助金・総合支援について、補助金だけでなく、税や認定に関する支援制度も検索できます。「何に使うための資金を調達したいか」という困りごとからも検索できます。

5-2、ケアウィルの場合はこうでした!

5-3、資金調達について誰かに相談したい
自分に合った融資の種類がわからない、資金調達について誰かに相談したいという方には、以下のような相談先があります。

日本政策金融公庫
融資先としても紹介した、政府系金融機関である日本政策金融公庫でも、融資に関する相談をすることができます。全国にある各支店での相談や、オンラインサービスで予約することもできます。

②税理士
制度の選定・紹介だけでなく、融資制度利用時の面談の手助け、事業計画書等の書類作成のアドバイスを行ってくれます。
税理士のなかでも資金調達に力を入れている税理士に依頼する、あるいは顧問税理士に依頼することもできます。報酬相場は、依頼内容や利用制度によって異なりますが、大きく分けると以下が目安です。

③中小企業診断士(よろず支援拠点
よろず支援拠点は、国が設置した中小企業や小規模事業者からの経営に関するあらゆる相談に応えるための無料の相談所です。中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家である“中小企業診断士”といった専門家が相談に乗ってくれます。
よろず支援拠点は 47都道府県に設置されており、電話、メール、FAX等で相談することができ、何度でも無料ですることができます。

④開業予定地の商工会、商工会議所
商工会と商工会議所は、個人事業主や中小企業の経営相談や融資の斡旋、記帳指導のサポートなどを行っている団体です。違いは管轄エリアで、主に町や村を管轄するのが商工会、市や区を管轄するのが商工会議所です。
いずれも経営相談、創業支援、公庫の融資の斡旋、補助金助成金の申請支援、記帳や申告の指導などの支援を行っています。
商工会等で相談のサービスを受けるには、原則として、会員になる必要があります。

中小企業基盤整備機構(中小機構)
中小企業基盤整備機構は、国内で唯一の中小企業政策全般にわたる総合的な支援・実施機関です。ポータルサイトによる情報提供のほか、中小企業大学や29のインキュベーション施設を通じ、中小企業の課題解決への支援・相談を行っています。
経営相談は、Webもしくは対面、メール、電話で対応しています。

5-4、ケアウィルの場合はこうでした!

*参照:「東京創業ステーション

6、採択率は平均50%!めげずにトライ!

ケアウィルがこれまで実際に行ってきた資金調達方法には、自己資金にはじまり、融資、クラウドファンディング、各補助金・助成金が挙げられます。創業4年で19件提出し、そのうち採択されたのは12件でした。しかし、こちらの記事でも紹介しているように弊社も資金繰りには苦労しています…。
補助金の採択率は平均50%!不採択でもめげずに、共にトライしていきましょう!

ケアウィルは、これからも同じようにものづくりで起業したい皆さんを応援します!
ものづくり起業について、「ここのところ、もっと知りたい!」という声がありましたら、ぜひコメントにもお寄せください。


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