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【図解読書】AI vs. 教科書が読めない子どもたちのレビュー

この図解レビューでは、筆者が価値高く感じたビジネス書を中心に、図解による概念化と引用を用いながら重要なエッセンスをレビューしております。

「AIが将棋の名人に勝利した」
「AIがクイズ番組で優勝した」
AIが人間を超越した存在であると思わせる出来事が巷には溢れています。
その中で人間の未来を憂いている人も多いのではないでしょうか?

本著はAI(人工知能)の登場によって起こること我々人間に求められることを述べています。
著者は数学者であり「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのリーダーを務める新井紀子氏。

・AIに仕事が代替されることに不安を抱いている
・AIが活躍する未来に生きる方法を知りたい
という方はもちろん、これからの社会を生きるあらゆるの人におすすめしたい一冊です。

「ロボットが東大に入れるかプロジェクト」での試行錯誤をもとに、AIにできること、できないことが明らかにされました。

2011年にはじまったこのプロジェクトの過程で明確にされたのは、AIは暗記や数式計算は得意であるが、文章の意味の読み取りはできないということです。

しかし、読解力がなくても正答するためのデータをたくさん暗記させることができれば、暗記と計算を応用することで本来読解力が必要な問題を正答できる可能性を上げられることがわかりました。

暗記と計算の応用の結果、2015年には受験生の上位20%のレベル(MARCH合格レベル)まで達しましたが、読解力のないAIは東大に入れるレベルまで達することはできませんでした。

それならば、読解力が必要な仕事は人間がしなければなりません
しかし、著者の中高生読解力調査によると、中学3年生の半数しか読解力がない(=教科書が読めない)という結果がでました。
読解力がなければ丸暗記するしかなく、それではAIに敵うはずがありません。

アメリカの大学の研究結果によると今ある50%の仕事がAIに代替可能な仕事と言われています。
その50%の仕事に従事している人はAIに仕事をとられてしまう可能性が高いです。
一方で、残りの50%の仕事はAIができない読解力が求められる仕事ですが、この調査結果からみると、AIができない仕事をできる人間は50%しかいません。

よって、働きたいのに働けない失業者が溢れる状況と、AIができない仕事はできる人がいないという人手不足の状況が、同時に起こるという最悪の事態が想定されます。

AIと共存するには、人間にしかできない読解力を養う教育がこれからの社会に必要です。

いかがでしたでしょうか?

なんとなく抱いていたAIは万能であるという考えが変わったのでないかと思います。
また、この本の印税は全て教育現場で読解力を上げるための取り組みをしている「教育のための科学研究所」に寄付されるそうです。

今回取り上げていないたくさんの興味深い事例が載っておりますのでぜひ読んでみてください。

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