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エッセイ

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日々感じたことや面白かったことなどを書いていきます。 (駄)多発注意報が 常に発令されています。くだらなくても怒らないでくださいね。
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#翻訳

エッセイ338. 翻訳の沼(21)  アデル "Hello"  その4

エッセイ338. 翻訳の沼(21) アデル "Hello" その4

Hello, it’s me
もしもし 私よ

I was wondering if after all these years you’d like to meet
あれから何年も経つから
会ってもいいかなんて思ったりしてないかしら

To go over everything
会って全て 乗り越えようみたいな

They say that time’s supposed to heal ya,

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エッセイ337.翻訳の沼(20)  アデル の"Hello"その3.=  "California dreamin'"がわからないと訳せない

エッセイ337.翻訳の沼(20) アデル の"Hello"その3.= "California dreamin'"がわからないと訳せない

このテーマ、こだわりすぎてめちゃくちゃなことになっています。
ほんと、すみません。
行きます。

アデルの名曲、"Hello"を、拙いながらも翻訳しようと思うと、
一番つまづくのが、以下の部分です。

Hello, can you hear me?
I'm in California dreaming
about who we used to be
When we were younger and

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エッセイ334.翻訳の沼(18)アデルの"Hello"ーその1

エッセイ334.翻訳の沼(18)アデルの"Hello"ーその1

私は歌を聴いていると、何をしていても、「その歌のお話」を「うんうんうん」と聞いてしまうため、ながら仕事や勉強が全くできません。
そういう人間は珍しいのかと思っていましたら、意外に「聴き入ってしまうので、音楽を聴きながらは何もできない」という人がいました。
夫と二人の娘はそうではないので、私のことを理解できないと言います。
脳が違うのだから仕方ないです。

というわけで、音楽を聴くのは、歩きながらイ

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エッセイ328. 翻訳の沼(17) "When I was your man" by Bruno Mars

エッセイ328. 翻訳の沼(17) "When I was your man" by Bruno Mars

いつも考えるのですが、日本語は、話している人によって、
口調ってとても違ってきますよね。

英語のネイティブじゃないから断定してはいけないのですが、
例えば、
Did you eat my sandwitch?
を日本語で言うとすると、
「あなたは私のサンドイッチを食べましたか?」
では全然足りず、いろんな言い方があります。

4歳児⇨ママへ
マ〜マ〜、純くんのサンドイッチ食べた?

8歳児→4

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エッセイ322.翻訳の沼(15)アデル"Million Years ago"(1)

エッセイ322.翻訳の沼(15)アデル"Million Years ago"(1)

難しい、本当に難しい翻訳。
他人様の翻訳の中に、誤訳ではないかと思われるものを見つけては悩み、
(どうすればよかったのかと)、しかし自分だって必ず、気付かずに誤訳をやっているわけで・・。

自分のHPも、夫と、プロの翻訳家にと2回チェックしてもらいましたが、それぞれ国の違う人たち(アメリカとNZ)から、いくらでもダメ出しがきました。

だから、ずぶずぶと今日もはまる翻訳の沼。

訳していて、自分が

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エッセイ229.おうちでロスト・イン・トランスレーション(14)評価って

エッセイ229.おうちでロスト・イン・トランスレーション(14)評価って

昨日の続きです。

今日は、 evaluation と 評価 のずれについてです。

英語人の夫の中には、会社用語の「評価=evaluation」には、
年に一度、上司と面談して、自分のこの年に成し遂げられたことを披瀝し、評価されるっていうあれ、会社の文脈だと、それしかないのですって。

なので、

「頑張った社員は評価されるが、そうでない社員は評価されない」

という一文を、米国の本社向けに

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エッセイ147.翻訳の沼(13)  それが日本にないので  ②ブッククラブ

エッセイ147.翻訳の沼(13) それが日本にないので ②ブッククラブ

「デスパレートな妻たち」のような、アメリカのホームドラマを見ていると、
よく、

「ブッククラブに行く日だわ」とか、
「今日はブッククラブがあるの」

というような台詞が出てきます。

見ていると、誰かの家に近所の友達同士が集まり
(私がドラマで見たことがあるのは女性だけですが)、
お菓子や飲み物が そこに用意されていたりするようです。

そのときには、一緒に黙って本を読むのではなく、
かといって

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エッセイ146.  翻訳の沼(12)それが日本にないので①セイヴォリーズ

エッセイ146. 翻訳の沼(12)それが日本にないので①セイヴォリーズ

「翻訳できない外国語」という言葉を聞くと、
それほどに難しい文法なのかと つい思いますが、
もっと単純なことがあります。

そのときの日本に、その言葉の表すものがなかった場合などです。

以前にも書きましたが、「ナルニア国物語」一巻に、エドマンドが魔女に誘惑されて、食べたいものを言わせられる場面があります。
何を食べたいかと問われて、「プリン」と。
その「プリン」は、食べても食べても満足できず、も

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エッセイその105.翻訳の沼(11)いつかは?

エッセイその105.翻訳の沼(11)いつかは?

いろいろ書いておいてあれですが、自分が翻訳家になるのは無理だと思う理由があります。

一つは、
「翻訳家になるためには、対象言語を、母語を読むのと同じスピードで、
辞書なしで、楽しいと思って読める能力があること」
というのがあります。

私なら、英語で書かれた本を、日本語で読むのと同じように読めないといけないということです。

残念ですが、それは私には無理でしたし、今も無理です。

もう一つは、需

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エッセイその102.翻訳の沼(9)どういう口調で喋らせるか③クララとお日さま

エッセイその102.翻訳の沼(9)どういう口調で喋らせるか③クララとお日さま

しばらくの間 夫と、カズオ・イシグロの新作、
「クララとお日さま」を毎晩同時に読んでいました。
1日に何ページと決めて読むことにしたのでした。

最後の日、私が最後まで先に読み終えまして、
夫が読み終えるのを待ちながら、末尾の「解説」を読んでいました。

そこでかなり驚くことがありました。
大袈裟ですが、ビックリハウスで ぐるっと体が反転させられた
ぐらいの感じです。

このあとはネタバレですので

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エッセイその95.翻訳の沼(8)どういう口調で喋らせるか②

エッセイその95.翻訳の沼(8)どういう口調で喋らせるか②

昔は 洋画というものは、平日夜9時から2時間弱の枠で、
吹き替えで観るのを楽しみにしていたものでした。

野沢那智さんはアラン・ドロンと決まっていて、
同様に、広川太一郎さんはトニー・カーチスと、
超当たり役だったスノーク(ノンノンのお兄さんね)。

武藤礼子さんはエリザベス・テーラー、
向井真理子さんはマリリン・モンロー、
納谷悟郎さんはチャールトン・ヘストン、
大塚周雄さんはリチャード・ウィド

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エッセイその90.翻訳の沼(6)紳士はマニキュアはしていなかったの巻

エッセイその90.翻訳の沼(6)紳士はマニキュアはしていなかったの巻

誤訳あるあるの一つの例です。

自分の誤訳は、(自分では気づけないだけに) 思いっきり棚にあげ、
面白かったものを記録します。

以下は、米国人翻訳家A氏とのやりとりです。
全く手を加えていませんので、
A氏の日本語の素晴らしさがおわかり頂けると思います。

From: 私tamadoca
To: A 氏
件名:紳士はマニキュアをしてなかった件

Aさん

おはようございます。
面白

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エッセイその89.翻訳の沼(5) 私もしょっちゅう誤訳例大祭

エッセイその89.翻訳の沼(5) 私もしょっちゅう誤訳例大祭

先日、米国人で 日本語⇨英語 の翻訳を仕事にしているAさんに、
私の拙訳を直していただく機会がありました。

Aさんは、言いにくそうに教えてくれました。

「tamadocaさん、翻訳、よかったのですが、
一つだけちょっと気になることがありまして・・」

(ちなみに、会話は全てこの通り、日本語のみです)

この翻訳は、去年翻訳コンクールに応募して、
かすりもしなかったものです。

以下に
原文 ⇨

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エッセイその90. 翻訳の沼(4)例えば[ナイーブ]という言葉

エッセイその90. 翻訳の沼(4)例えば[ナイーブ]という言葉

私と、翻訳の師匠A氏(ネイティブ・英語話者)が、話すたびに

全くその通りですね! 

と 手を取り合わんばかりに意見が一致するのは、これです。

・翻訳家というものは、対象とする言語を、
流暢でなくていいから喋れるレベルであることが望ましい。

・できるなら、それを使って生活しているのがよい。
(=しゃべったり、見たり聞いたりしていないと、
見えてこないことが多くある。
多くは、辞書に載ってない

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