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エッセイ322.翻訳の沼(15)アデル"Million Years ago"(1)

難しい、本当に難しい翻訳。
他人様の翻訳の中に、誤訳ではないかと思われるものを見つけては悩み、
(どうすればよかったのかと)、しかし自分だって必ず、気付かずに誤訳をやっているわけで・・。

自分のHPも、夫と、プロの翻訳家にと2回チェックしてもらいましたが、それぞれ国の違う人たち(アメリカとNZ)から、いくらでもダメ出しがきました。

だから、ずぶずぶと今日もはまる翻訳の沼。

訳していて、自分がどうしても訳せなかったところにこだわり、
日本人の私はこう思ってしまうけれど、こう訳したけれど、
多分とんちんかんだろう、間違っているだろう、と思いながら訳しています。

そして、恥を晒してここに書き留めようと思います。

その前に、アデルについて。

絶対日本に来てくれないアデルのコンサートに、
コロナ前最後の夫と一緒の帰省のときに行けました。

アルバム「25」を出したばかりだったかな。

この人、中島みゆきさんと同じで、歌声と喋る声のギャップが凄い。
そして、MCが本当に面白くて(とはいえ、私にはほぼ理解できなくて、満場がどっと湧いている中で、「え?え?」と言っていた・・)、
そのあたりも、二人は似ていると思います。


アデルは、聴いているこちらの胸が潰れるような辛い恋の歌をたくさん作っています。
それは、ほぼ実体験から来るそうです。

聞いた話によるとあるとき、アデルの元彼が、

「君がその歌を書けて、大金を得たのも、
僕との体験によるものなのだから、少しお金をよこしなさい」

という趣旨の訴訟を起こしたそうです。
結果は、彼の敗訴。
はい、お馬鹿さん一丁あがりですね。


ではでは早速・・・

直訳は、私も含めて、日本人には「まずはこう理解される」ド直球の、まんまの訳で、意訳はそこから抽出していったものです。

"Million Years Ago"
直訳  何百万年も前
意訳  遠すぎる昔・昔は遠すぎて ・はるかな昔  

I only wanted to have fun
直訳  私は楽しみたかっただけ
意訳  楽しくやりたいだけだったの

Learning to fly learning to run
直訳 飛ぶことを学び走ることを学び
意訳 空を飛びたい、大地を駆け回りたいと

I let my heart decide the way
直訳    自分の心に行先を決めさせていた
意訳    心の赴くままに生きてきた

When I was young
直訳   若かったとき
意訳   若かったのね

Deep down I must have always known
That this would be inevitable
直訳   心の深いところではいつもわかっていたに違いない
          このままでは済まないと
意訳   心の奥で本当は いつもわかっていたの
          いつまでもこうしてはいられないと

To earn my stripes I'd have to pay
直訳   上に行くには代償も払わなければならない
意訳   這い上がるには代償がいるのよ

And bare my soul
直訳  魂をむきだしにしなければならない
意訳  自分をさらけださなければいけないと

長くなりましたのでここまでにしますね。

次回で終わりますが、ネイティブに相談して理解できたりした部分も入れ込んでいきます。


トップ写真は、2017年3月のアデル・オークランドコンサートの幕切れで、
紙吹雪が飛んできまして、拾って帰ったら、アデルの歌の歌詞や題名が一つ一つに書いてありました。アデルの直筆の印刷じゃないの? といろめきたちました。
その紙吹雪の一つです。
今はどこにあるのか、もうわかりません。



コンサートが始まったら、アデルの写真の目がパチっと開きました。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。