あずさ@訪問記

山梨県在住。歴史好き、縄文好き、山梨・信州の特色ある博物館、美術館を紹介しています。私…

あずさ@訪問記

山梨県在住。歴史好き、縄文好き、山梨・信州の特色ある博物館、美術館を紹介しています。私大文学部卒(歴史分野)。山梨郷土研究会会員。郷土史(言い伝え、口承、鉄道忌避伝承など)を調べています。公開中のnote記事161本。ヘッダ画像は教科書で有名な京戸川扇状地

記事一覧

固定された記事

【岩下温泉旧館】明治の半地下浴室と山梨最古の温泉

はじめに  山梨市に所在する岩下温泉は山梨最古の温泉と伝わる28度の冷泉(霊泉)があります。また旧館といわれている建物は1875年(明治8年)頃の建築で、2016年(平成28年)…

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【歌舞伎文化公園】團十郎家の紋にちなむぼたん園(2024.4.27)

はじめに  甲府盆地を望む市川三郷町の三珠地区は、市川團十郎家(堀越家)発祥の地であり、先代團十郎が熱心に携わって開園した歌舞伎文化公園があります。  團十郎家の…

【山梨県立考古博物館】春季企画展「一の沢遺跡出土品展」を見に行く

はじめに  一の沢遺跡は縄文時代中期を主体とする集落遺跡で、山梨を代表する遺跡のひとつです。本年は一の沢遺跡が国の重要文化財に指定されてより25年となります。  …

【山梨県立博物館】企画展「富士川水運の300年」を見に行く

はじめに  山梨県立博物館では企画展「富士川水運の300年」(2024.3.16~5.6)を開催しています。  江戸、明治、大正時代にかけて、300年に渡り富士川水運は山梨の物流を…

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【勝沼の甚六桜】散り始めたスイッチバック駅の跡の桜(2024.4.13)

はじめに  JR中央本線の勝沼ぶどう郷駅の甚六桜は、かつてのスイッチバックの引き込み線跡を中心におよそ1000本の桜が植えられた県内有数の桜の名所です。  大日影トン…

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【釈迦堂遺跡博物館】桃と桜、満開の饗宴(2024.4.6)

はじめに  今年も、釈迦堂遺跡博物館と隣接する農園にて桃と桜の花見が楽しめました。  釈迦堂遺跡博物館周辺は、扇状地の斜面を利用した桃畑が広がっている地域です。…

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【わに塚の桜】ライトアップ、韮崎の一本桜(2024.4.4)

はじめに  山梨の桜の名所のひとつとしてわに塚の桜があります。韮崎市の山間部の小さな塚にそびえる樹齢約330年のエドヒガンザクラです。  本年の開花はソメイヨシノ同…

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【勝沼トンネルワインカーヴ】廃線トンネルを利用したワイン貯蔵庫

はじめに  甲州市の勝沼ぶどう郷駅の東側では、トンネルが3つ並ぶ光景が見られます。2つのトンネルは現役の中央本線のトンネルで、端にある古いレンガ積みのトンネルは役…

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【大日影トンネル遊歩道】明治時代の廃線トンネルを歩く

はじめに  甲州市の勝沼ぶどう郷駅の東側では、トンネルが3つ並ぶ光景が見られます。2つのトンネルは現役の中央本線のトンネルで、端にある古いレンガ積みのトンネルは役…

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【ひらしお源氏の館】企画展示「ニホンオオカミと私」を見に行く

はじめに  以前紹介した、市川三郷町の大門碑林公園とその隣にある巨大な多目的ホールを備えた木造建築のひらしお源氏の館ですが、2階展示室にて「ニホンオオカミと私」(…

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【AIRY】大方岳個展「天気雨を待つ」を見に行く

はじめに  甲府の中心部、昭和時代の面影を残す白い3階建てのビルディングに「AIRY(エアリー)」(アーティスト・イン・レジデンス山梨)はあります。  今回は、開催中だっ…

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【AIRY】甲府中心部、山梨最初のアーティスト・イン・レジデンス

 note150回目の記事となる今回は、ふとした縁から代表とお知り合いになり、訪ねたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)を紹介します。 はじめに  甲府の中心部にある小…

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【山梨県立美術館】メタバース融合展「まだ溶けていないほうの山梨県美」を見に行く

はじめに  山梨県立美術館では、アートの可能性を模索する展示企画シリーズ「LABONCHI」を2023年から始めました。本年は、LABONCHI 02.雨宮庸介「まだ溶けていないほうの…

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【井戸尻考古館】縄文ウィークエンド「特別な展示解説」を見に行く

はじめに  2月23日は令和に入り天皇誕生日ですが、その前から山梨県では「富士山の日」、井戸尻考古館のある長野県富士見町では「ふじみの日」となっています。  そして…

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【山梨県立考古博物館】交流展「フォッサマグナがつなぐ新潟・長野・山梨・静岡」を見に行く

はじめに  山梨県立考古博物館では、山の洲文化財交流展「発掘が語る地域交流─フォッサマグナがつなぐ新潟・長野・山梨・静岡─」(2023.12.9~2024.1.21)が開催されまし…

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【甲斐敷島梅の里】敷島総合公園と矢木羽湖の梅園(2024.3.2)

はじめに  甲府盆地の北西端に位置する甲斐市の牛句地区(旧敷島町)は梅の里として山梨県内の梅の名所のひとつとして親しまれています。  敷島総合公園にある梅園からは…

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【岩下温泉旧館】明治の半地下浴室と山梨最古の温泉

【岩下温泉旧館】明治の半地下浴室と山梨最古の温泉

はじめに

 山梨市に所在する岩下温泉は山梨最古の温泉と伝わる28度の冷泉(霊泉)があります。また旧館といわれている建物は1875年(明治8年)頃の建築で、2016年(平成28年)に登録有形文化財に登録されています。浴室は明治大正時代の温泉に見られる半地下の造りとなっており、立ち寄り湯として気軽に入ることができます。

岩下古墳群

 岩下温泉は、山梨市(上岩下地区)に位置しますが、笛吹市春日居町

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【歌舞伎文化公園】團十郎家の紋にちなむぼたん園(2024.4.27)

【歌舞伎文化公園】團十郎家の紋にちなむぼたん園(2024.4.27)

はじめに

 甲府盆地を望む市川三郷町の三珠地区は、市川團十郎家(堀越家)発祥の地であり、先代團十郎が熱心に携わって開園した歌舞伎文化公園があります。
 團十郎家の紋(替紋)である牡丹にちなみ、園内にはぼたん園があり4月下旬に見頃を迎えます。
 訪問時は、すでに見頃を過ぎていましたが、それでも色とりどりに花が残っていました。以前記事で紹介したのは猛暑の時期でした。すっかり雑草に覆われていたぼたん園

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【山梨県立考古博物館】春季企画展「一の沢遺跡出土品展」を見に行く

【山梨県立考古博物館】春季企画展「一の沢遺跡出土品展」を見に行く

はじめに

 一の沢遺跡は縄文時代中期を主体とする集落遺跡で、山梨を代表する遺跡のひとつです。本年は一の沢遺跡が国の重要文化財に指定されてより25年となります。
 山梨県立考古博物館では、春季企画展「重要文化財指定25周年記念 一の沢遺跡出土品展」(2024.4.20~6.16)を開催し、出土資料の持つ意味や魅力を再確認しようとするものです。一の沢遺跡の重要文化財全176点が一堂に展示されるのは初

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【山梨県立博物館】企画展「富士川水運の300年」を見に行く

【山梨県立博物館】企画展「富士川水運の300年」を見に行く

はじめに

 山梨県立博物館では企画展「富士川水運の300年」(2024.3.16~5.6)を開催しています。
 江戸、明治、大正時代にかけて、300年に渡り富士川水運は山梨の物流を担いました。とくに江戸時代は年貢米を江戸まで輸送せねばならず、物流の拠点として設置された3か所の河岸(鰍沢、黒沢、青柳)は大いに栄えました。とくに規模の大きかった「鰍沢」は葛飾北斎《冨嶽三十六景》や落語の演目などにも名

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【勝沼の甚六桜】散り始めたスイッチバック駅の跡の桜(2024.4.13)

【勝沼の甚六桜】散り始めたスイッチバック駅の跡の桜(2024.4.13)

はじめに

 JR中央本線の勝沼ぶどう郷駅の甚六桜は、かつてのスイッチバックの引き込み線跡を中心におよそ1000本の桜が植えられた県内有数の桜の名所です。
 大日影トンネル遊歩道の通行再開を聞き、4月の初めに訪れた時は、まだ2分咲き程度でした。夕刻でしたが再び近くまで来たついでに覗いてみましたが、こんどは満開を過ぎ風に吹かれ散り始めていました。なかなか思うようにはいかないものです。

 昨年の模様

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【釈迦堂遺跡博物館】桃と桜、満開の饗宴(2024.4.6)

【釈迦堂遺跡博物館】桃と桜、満開の饗宴(2024.4.6)

はじめに

 今年も、釈迦堂遺跡博物館と隣接する農園にて桃と桜の花見が楽しめました。
 釈迦堂遺跡博物館周辺は、扇状地の斜面を利用した桃畑が広がっている地域です。桃が開花すると辺りは濃いピンク色に染まります。
 今年は桜の開花が遅れており、そのため後から咲く桃と開花時期が重なり、桃と桜がほぼ同時に満開を迎えました。見下ろす盆地もあちこちに桃や桜で濃いや薄いのピンク色が目に入ります。

 昨年の模様

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【わに塚の桜】ライトアップ、韮崎の一本桜(2024.4.4)

【わに塚の桜】ライトアップ、韮崎の一本桜(2024.4.4)

はじめに

 山梨の桜の名所のひとつとしてわに塚の桜があります。韮崎市の山間部の小さな塚にそびえる樹齢約330年のエドヒガンザクラです。
 本年の開花はソメイヨシノ同様に遅れていましたが、満開の時期を迎え連日ライトアップされていると聞き、夕方から足を運びました。

 昨年の模様(昼間)はこちらをご覧ください。

わに塚(再掲)

 わに塚は韮崎の山間部である神山町にあります。2015年(平成27年

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【勝沼トンネルワインカーヴ】廃線トンネルを利用したワイン貯蔵庫

【勝沼トンネルワインカーヴ】廃線トンネルを利用したワイン貯蔵庫

はじめに

 甲州市の勝沼ぶどう郷駅の東側では、トンネルが3つ並ぶ光景が見られます。2つのトンネルは現役の中央本線のトンネルで、端にある古いレンガ積みのトンネルは役目を終えたトンネルで、観光向けの遊歩道に転用されている旧大日影トンネルです。旧大日影トンネルの先には旧深沢トンネルがあります。こちらはワインカーヴ(貯蔵庫)に転用されています。

勝沼と中央本線

 明治36年の中央本線の開通とその後の

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【大日影トンネル遊歩道】明治時代の廃線トンネルを歩く

【大日影トンネル遊歩道】明治時代の廃線トンネルを歩く

はじめに

 甲州市の勝沼ぶどう郷駅の東側では、トンネルが3つ並ぶ光景が見られます。2つのトンネルは現役の中央本線のトンネルで、端にある古いレンガ積みのトンネルは役目を終えたトンネルで、観光向けの遊歩道に転用されている旧大日影トンネルです。
 この遊歩道は、安全上の問題が指摘され長らく閉鎖されていましたが、対策を施し2024年(令和6年)3月より通行が再開されました。

 勝沼ぶどう郷駅は甚六桜と

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【ひらしお源氏の館】企画展示「ニホンオオカミと私」を見に行く

【ひらしお源氏の館】企画展示「ニホンオオカミと私」を見に行く

はじめに

 以前紹介した、市川三郷町の大門碑林公園とその隣にある巨大な多目的ホールを備えた木造建築のひらしお源氏の館ですが、2階展示室にて「ニホンオオカミと私」(2024.3.10~3.31)という展示が行われていました。
 ニホンオオカミ愛好家の絵画作品やオオカミ関連の書籍、レプリカ等のコレクションを展示するものです。

ひらしお源氏の館

 このひらしお源氏の館は、現在はジャンボ硯の展示や和

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【AIRY】大方岳個展「天気雨を待つ」を見に行く

【AIRY】大方岳個展「天気雨を待つ」を見に行く

はじめに

 甲府の中心部、昭和時代の面影を残す白い3階建てのビルディングに「AIRY(エアリー)」(アーティスト・イン・レジデンス山梨)はあります。
 今回は、開催中だった大方岳個展『天気雨を待つ/Waiting for a Sunshower』(2024.3.8~3.10)の模様を紹介いたします。

 「AIRY(エアリー)」については前回の記事をご覧ください。

大方岳個展「天気雨を待つ/W

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【AIRY】甲府中心部、山梨最初のアーティスト・イン・レジデンス

【AIRY】甲府中心部、山梨最初のアーティスト・イン・レジデンス

 note150回目の記事となる今回は、ふとした縁から代表とお知り合いになり、訪ねたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)を紹介します。

はじめに

 甲府の中心部にある小学校の向かいに昭和時代の面影を残す白い3階建てのビルディングがあります。
 このビルディングに「AIRY(エアリー)」(アーティスト・イン・レジデンス山梨)はあります。主に海外のアーティストに滞在型で創作の機会と場所を提供す

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【山梨県立美術館】メタバース融合展「まだ溶けていないほうの山梨県美」を見に行く

【山梨県立美術館】メタバース融合展「まだ溶けていないほうの山梨県美」を見に行く

はじめに

 山梨県立美術館では、アートの可能性を模索する展示企画シリーズ「LABONCHI」を2023年から始めました。本年は、LABONCHI 02.雨宮庸介「まだ溶けていないほうの山梨県美」(2024.2.27~3.24)を開催しています。
 雨宮氏は、溶けるりんごの彫刻などで有名なアーティストです。本展では溶けるりんごとともに、VRコーナーにて仮想空間と現実空間の往来を楽しむプログラム映像

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【井戸尻考古館】縄文ウィークエンド「特別な展示解説」を見に行く

【井戸尻考古館】縄文ウィークエンド「特別な展示解説」を見に行く

はじめに

 2月23日は令和に入り天皇誕生日ですが、その前から山梨県では「富士山の日」、井戸尻考古館のある長野県富士見町では「ふじみの日」となっています。
 そして井戸尻考古館では、「ふじみの日」の新たな企画として3連休を「223縄文ウィークエンド」と称して学芸員が日替わりで、"沼のように深い"展示解説を行いました。そのうち筆者が訪れた初日の模様を紹介します。

ふじみの日

 これまでも井戸尻

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【山梨県立考古博物館】交流展「フォッサマグナがつなぐ新潟・長野・山梨・静岡」を見に行く

【山梨県立考古博物館】交流展「フォッサマグナがつなぐ新潟・長野・山梨・静岡」を見に行く

はじめに

 山梨県立考古博物館では、山の洲文化財交流展「発掘が語る地域交流─フォッサマグナがつなぐ新潟・長野・山梨・静岡─」(2023.12.9~2024.1.21)が開催されました。
 2020年頃より、本州の中央部にある4県(新潟・長野・山梨・静岡)は「山の洲」と称して地域経済圏を作る構想があり各分野での交流を進めています。山の洲文化財交流展は、文化財の分野で地域の特色や魅力を発信していく取

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【甲斐敷島梅の里】敷島総合公園と矢木羽湖の梅園(2024.3.2)

【甲斐敷島梅の里】敷島総合公園と矢木羽湖の梅園(2024.3.2)

はじめに

 甲府盆地の北西端に位置する甲斐市の牛句地区(旧敷島町)は梅の里として山梨県内の梅の名所のひとつとして親しまれています。
 敷島総合公園にある梅園からは甲府盆地を一望でき、自由に散策しながら梅の花を楽しめます。また、近くの矢木羽湖は湖畔の斜面に梅園があり湖の景観と梅の花が楽しめます。
 3月に入り梅が満開との地元紙の報道もあり出掛けてまいりました。

盆地を見下ろす

 甲斐敷島梅の里

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