あずさ@訪問記

山梨県在住。歴史好き、縄文好き、山梨・信州の特色ある博物館、美術館を紹介しています。公…

あずさ@訪問記

山梨県在住。歴史好き、縄文好き、山梨・信州の特色ある博物館、美術館を紹介しています。公開中のnote記事182本。私大文学部卒(歴史分野)。山梨郷土研究会会員。地域の埋もれた歴史や意外な人物のつながりを調べています。ヘッダ画像は教科書で有名な京戸川扇状地

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【山梨県立美術館】特別展「ベル・エポック-美しき時代」を見に行く

はじめに  山梨県立美術館では特別展「ベル・エポック-美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に」(2024.4.20~6.16)を開催しています。  「ベル・エポック」とは、19世紀末から20世紀初頭までのパリを中心に繁栄した華やかな文化とその時代のこと。日本初公開となるワイズマン&マイケル夫妻の絵画コレクションを中心に「美しき時代」の華やかな文化を美術作品で紹介する展示です。  本展は、山梨会場を皮切りに、栃木、東京(汐留)、岡山と全

    • 【井戸尻史跡公園】咲き始めた大賀ハスを見に行く(2024.7.13)

      はじめに  富士見町の井戸尻考古館に隣接する井戸尻史跡公園では、今年も大賀ハスが咲き始めました。  開花第1号は昨年よりやや遅い7月2日だったそうで、見頃は7月中旬から8月にややずれ込みそうです。  井戸尻考古館の企画展示の始まりに合わせ大賀ハスを見物したものの、筆者が訪れたときは開花している花は少なめでした。それでも沢山の膨らんだつぼみが出ており、この先に見ごろを迎えることを強く印象づけるものでした。  昨年も同時期に訪れています。その時の模様はこちらをご覧ください。

      • 【山蘆】俳人飯田蛇笏、龍太の居宅と俳諧堂

        はじめに  笛吹市境川町小黒坂にある山蘆(さんろ)は著名な俳人飯田蛇笏、龍太親子が住んだ家です。現在は龍太の長男で飯田家の十一代当主の住居となっていますが、書斎など生活の跡をそのままに、「俳句の聖地」として大切に守られています。  山蘆では、年のうち数回一般公開日を設けています。郷土で著名な蛇笏、龍太の文化交流の場であった山蘆と近年移築復元された俳諧堂を見るために足を運びました。 飯田蛇笏  飯田蛇笏(1885年~1962年、明治18年~昭和37年)は、近代日本を代表す

        • 【市川三郷町花火資料館】夏のみ開館「神明の花火」の資料館

          はじめに  平成の合併により市川三郷町となっている旧市川大門町は江戸時代からの花火の町です。毎年8月7日には県下最大の花火大会「神明の花火」が行われます。  神明の花火の打ち上げ場所にほど近い公園の隣に市川三郷町花火資料館はあります。ただし開館は夏季限定(2024.6.1~8.20)のうえ、時間も11時~15時とたいへん短いため、訪問難易度は高く、あまり知られていない資料館です。 神明の花火  神明の花火は、毎年8月7日(花火の語呂あわせ)に開催する県下最大の花火大会で

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        【山梨県立美術館】特別展「ベル・エポック-美しき時代」を見に行く

          【山梨県立博物館】冨嶽三十六景と新紙幣の同時公開を見に行く

          はじめに  7月3日より新紙幣の流通の始まりました。これまで20年にわたり山梨に所縁のあるデザインとして、樋口一葉や本栖湖の富士山が親しまれてきました。  新紙幣では千円札の裏面の葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」に対して山梨県立博物館が原画となる作品を提供しました。  日本銀行からは「9番」の記番号を持つ新紙幣が博物館に進呈され、7月4日より進呈された新紙幣と作品の同時公開が始まりました。  トップ画像は博物館の公式Xからのものです(展示室の撮影はできません)。

          【山梨県立博物館】冨嶽三十六景と新紙幣の同時公開を見に行く

          【山梨県立博物館】シンボル展「郷土史をのこした人々」を見に行く

          はじめに  山梨県立博物館にて、シンボル展「郷土史をのこした人々」(2024.5.25~6.24)がありました。  地域の自然、文化などを記したものを地誌といい、奈良時代に編纂された「風土記」が最古といわれます。山梨の地誌は江戸時代に編纂された「甲斐国志」に始まります。  また、郷土資料としては、南アルプス市出身の功刀亀内の蒐集した「甲州文庫」があります。所蔵している山梨県立博物館も「甲州文庫」を裏付けとする展示が多いほど山梨の郷土、文化を知るうえで重要な資料となっています

          【山梨県立博物館】シンボル展「郷土史をのこした人々」を見に行く

          【釈迦堂遺跡博物館】特別展「変化する縄文土器」を見に行く

          はじめに  釈迦堂遺跡博物館にて土器文様の移り変わりをテーマとした特別展が始まりました。  釈迦堂遺跡といえば圧倒的な量の土偶で有名ですが、土器も多数出土しています。特別展「変化する縄文土器-釈迦堂遺跡の土器装飾-」(2024.6.19~9.1)は釈迦堂遺跡の土器の文様の変化を年代順に紹介する展示です。 変化する縄文土器-釈迦堂遺跡の土器装飾-  釈迦堂遺跡が栄えたのは、縄文時代中期のおよそ1000年間(5500~4500年前)です。この時代の土器は複雑な文様や装飾とも

          【釈迦堂遺跡博物館】特別展「変化する縄文土器」を見に行く

          【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(10) 「青楓の四季~春・夏編~」を見に行く

          はじめに  ぶどう畑の中にある山梨最古の美術館こと笛吹市青楓(せいふう)美術館では、展示替が行われ、2024年度前期の展示が行われています。  2024年度前期は「青楓の四季~春・夏編~」(2024.3.21~7.21)として、津田青楓が描いた作品のうち、春と夏に関する作品を展示しています。  過去の展示替えについてはこちらをご覧ください。  2022年度前期「青楓人物画展」  2022年度後期「小池唯則と津田青楓」  2023年度前期「花のあるくらし~津田青楓が描く花の

          【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(10) 「青楓の四季~春・夏編~」を見に行く

          【井戸尻考古館】藤内遺跡発掘調査 現地説明会に行く(2024.6.15)

          はじめに  本年度、富士見町教育委員会は藤内遺跡について新たな発掘調査を行いました。藤内遺跡といえば国の重要文化財に指定された「有孔鍔付土器」や「神像筒形土器」で有名な中部高地縄文を代表する集落遺跡です。  また、藤内遺跡にとっても実に16年ぶりの発掘となります。発掘は5月の連休明けから始まりました。終了するにあたり、6月15日(土)担当者らによる現地説明会が行われました。  昨年までは曽利遺跡の発掘調査が行われておりました。現地説明会の様子はこちらをご覧ください。 現

          【井戸尻考古館】藤内遺跡発掘調査 現地説明会に行く(2024.6.15)

          【切り絵の森美術館】企画展「前田尋きり絵展 創作の軌跡」を見に行く

          はじめに  少し日が経ってしまいましたが、5月の大型連休の狭間に身延町にある山梨県富士川クラフトパークへ出掛けました。  園内の切り絵の森美術館は企画展「前田尋きり絵展~創作の軌跡 きり絵に刻まれた心のふるさと 四季の詩~」(2024.3.23~6.23)が開催中でした。また、こちらも公園内のバラ園が有名で、訪問時は開花が遅れていましたが、見事に咲いている場所を探して楽しんでまいりました。  富士川クラフトパークについては、こちらの記事をご覧ください。 前田尋きり絵展

          【切り絵の森美術館】企画展「前田尋きり絵展 創作の軌跡」を見に行く

          【山梨県立文学館】特設展「生誕140年没後50年中村星湖展」を見に行く

          はじめに  中村星湖は富士河口湖町生まれの文学者で、代表作「少年行」で自然主義文学の作家として名をはせました。小説、翻訳、児童文学で活躍し、晩年においては山梨の文芸界や文化界に貢献した人物です。  山梨県立文学館では特設展「生誕140年没後50年中村星湖展」(2024.4.27~6.23)を開催し、節目の年にあらためて星湖という人物に光をあてるものです。  トップ画像は本展には関係ありませんが、「少年行」が登場する藤子不二雄A「まんが道」からのカットです。それだけ「少年行」

          【山梨県立文学館】特設展「生誕140年没後50年中村星湖展」を見に行く

          【勝沼・祝橋】ワイン発祥の地に掛かるコンクリートアーチ橋

          はじめに  祝橋は、甲州市勝沼に所在する昭和初期のコンクリートアーチ橋です。  ワイナリーの集中する地域の東寄りにあり、かつては、道路橋としてぶどうやワインの出荷を支えました。めがね橋とも呼ばれ、近代勝沼のシンボル的存在です。現在は歩行者専用橋として、また水路橋としても地域の生活を担っています。  (久しぶりに建築物の紹介です。) ワイナリーの地域  祝橋のある岩崎地区(旧祝村)は勝沼ワインの発祥の地であるとともに、現在もワイナリーが集中するワイン生産地域です。下記画像

          【勝沼・祝橋】ワイン発祥の地に掛かるコンクリートアーチ橋

          【南アルプス市ふるさと文化伝承館】テーマ展「身だしなみの民具展」を見に行く

          はじめに  南アルプス市ふるさと文化伝承館については、前回、常設展示の内容を紹介しました。今回は、同時に開催していた「身だしなみの民具展」(2024.1.26~4.17)を紹介いたします。  この展示は明治から昭和時代に使われた身だしなみに関する民具を紹介しています。また、展示スペースを共用している常設展示の民俗資料も併せて紹介いたします。(続きましたが、これでひとまず終わりです。)  常設展示(考古関係、水との闘い)の模様はこちらをご覧ください。 身だしなみの民具展

          【南アルプス市ふるさと文化伝承館】テーマ展「身だしなみの民具展」を見に行く

          【南アルプス市ふるさと文化伝承館】縄文から水との闘いまで「にしごおり」の歴史資料館

          はじめに  これまで、南アルプス市ふるさと文化伝承館についてはミニ企画「鋳物師屋遺跡 全点公開」の機会にて紹介いたしました。  紹介しきなかった、常設展示の縄文時代から中世の考古、水害や干ばつといった地域と水の関わりについて紹介いたします。(ずっと後回しにしておりました。スミマセン。)  「重要文化財鋳物師屋遺跡出土品 205点全点特別公開」の模様はこちらをご覧ください。 常設展示  常設展示は、「足下に眠る 旧石器~縄文」(2階展示室)、「足下に眠る 弥生~中世」「

          【南アルプス市ふるさと文化伝承館】縄文から水との闘いまで「にしごおり」の歴史資料館

          【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(9) 市が統合計画を白紙撤回

          はじめに  ぶどう畑の中の最古の美術館こと笛吹市青楓美術館については、2025年度までに笛吹市内の春日居郷土館・小川正子記念館への統廃合が計画されていました。その件について、美術館の存続を願う立場から以前note記事にして紹介しました。  その後、署名運動の広がりを受け、市は統合計画をいったん白紙に戻すことを表明しました。本稿では、白紙撤回までの経過と今後の懸念点をまとめます。 合計画は白紙となる  美術館存続のための署名運動の広がりを受けて、昨年(2023年)の12月

          【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(9) 市が統合計画を白紙撤回

          【芸術の森公園】バラ園を見に行く(2024.5.18)

          はじめに  山梨県立美術館などがある芸術の森公園では、園内のバラ園が見頃を迎えています。開花時期は昨年よりやや遅れ大型連休後になりましたが、満開を迎え家族連れやご近所なのか散歩の方などが訪れていました。  また、山梨県立美術館では特別展「ベル・エポック-美しき時代」(2024.4.20~6.16)を開催中です。  昨年のバラ園の模様はこちらをご覧ください。 バラ園  バラ園は1090平方メートルの広さに48種類およそ1300本のバラが植えられています。美術館の正面を通

          【芸術の森公園】バラ園を見に行く(2024.5.18)